Googleが非ITビジネス向けチャットアプリ「Pie」を買収——新興国向けアプリ開発チームを組成へ

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Pie の共同創業者 Pieter Walraven(左)と Thijs Jacobs(右)。

シンガポールの日刊紙 The Straits Times のシニアレポーター Grace Chng が Facebook に投稿いたところでは、シンガポールを拠点とする業務用チャットアプリの Pie は、Google の東南アジアにおける最初の買収対象になった。この投稿(友人からのみ参照可能)が正確であれば、9人いる Pie のエンジニアリングチームは、明日(19日)にも Google に加わることになる。Grace は、Pie のサービスは終了するだろうとも伝えている。

興味深いことに、Pie のエンジニア陣は、新興市場進出を図るべく Google がシンガポールで組成中のチームに加わる模様だ。Google の製品担当 VP である Caesar Sengupta 氏は、Google が Pie を買収した理由として、そのモバイルの方向性と起業家精神を挙げている。

この話について Pie の創業者である Pieter Walraven 氏と Thijs Jacobs に確認を求めたが、Google からコメントをもらうよう促された。

18日19時更新:Google は、同社のアジア太平洋地域ブログで Pie が買収されたことを確認した。後の投稿で、同社は新しいエンジニアリングチームが「これからインターネットにつながる数十億人のユーザに近づき、彼らに役に立つプロダクトを開発するため」に組成されたと述べている。シンガポールや海外から集まった Pie のエンジニア陣は、この新しいシンガポール拠点のチームの先駆けとなり、Google は新卒者や経験豊かなエンジニアらとあわせ、そのチームを増強することになる。

Google の投稿は、「母国に戻るか、シンガポールを母国と呼ぼう」と考えるエンジニアにとっては示唆を含んでいる。同じような思いは、シンガポールの Lee Hsien Loong 首相からもしばしば聞かれ、彼は最近のシリコンバレー訪問で、Facebook や Google にいるシンガポール人労働者と会い、ソフトウェアエンジニアリングを、シンガポールでより魅力的なキャリアパスにしたいと話した。

当然のように、Pie の買収の詳細については、現在のところ不明である。Pie にとって、直近の調達ラウンドは2015年6月に実施した120万ドルのシリーズAで、これには Wavemaker Partners、Gree Ventures、投資家の Koh Boon Hwee 氏、Ivan Yeo 氏、Dennis Goh 氏が参加した。

Slack や Flowdock のようなプレーヤーが支配する競争激しい分野であるが、Pie は直感的かつユーザフレンドリーで、技術に疎いユーザにも使えるプロダクトに特化している。このマインドセットは Google で新しい役割を担い、これからインターネットにつながる新興国のユーザにアプリを作るエンジニアリングチームにとって良い影響をもたらすに違いない。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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