マーケター必読:2016年はより科学的なパーソナライゼーションが鍵になる

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Momchil Kyurkchiev氏は、LeanplumのCEO兼共同設立者である。

via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “Garry Knight“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

2016年になったが、マーケターたちは未だに顧客へのアウトリーチのパーソナライゼーションに苦労している。カスタマーの行動の推移を予測的に理解できているというマーケターはわずか5%で、より高品質のユーザエクスペリエンスを提供するために顧客データを使用しているというマーケターもたったの31%だ。

マーケターのうち、アプリ戦略をパーソナライズできているのは19%のみであり、新規ユーザからの高い期待に応えようと画策しているブランドにとって、パーソナライゼーションは未だに死活問題である。

しかし、この現状にも変化の兆しが表れているのかもしれない。先週行われた2016年度のMobile Resolutionsに関するカンファレンスで、私はLyftShopkickPoshmarkSmuleなどトップモバイルブランドとWalmartの元幹部と席を共にした。

そこでの重要な学びは、こうした企業は2016年にパーソナライゼーションを攻略するために、2015年のうちに準備を進めていたという点である。以下は、各企業がパーソナライゼーションを管理しやすく科学的なアプローチで攻略するにあたって得た考察である。

データから、アプリのライフサイクルのどこで顧客と出会うべきかを理解する

Shopkickのグロース・データサイエンスVPであるManu Sharma氏は、2015年はユーザーに関する仮説を検証するためにテストをし、実験を通じて仮説の精錬を行った年だったと表現した。

ショッピングポイントアプリであるShopkickにとって、それはつまりエンゲージメントを測ることのできる繰り返し使えるメトリクスの精度を上げることを意味した。検証を重ねた結果、Shopkickにとって最も重要なメトリクスの一つとなったのは、アプリサービスが適用されている店内で、アプリがダウンロードされてから1週間以内に使用されたかどうかということであった。

他のブランドもShopkickのケースから学べることは多い。考えもしていなかった変数のA/Bテストをやってみることにより、さらに上質のデータを得たりモバイルを科学化したりすることができる。既存のKPIよりも、独自のKPIを設定することが重要だ。

たとえば、Lyftは数十件の変数の検証を行い、ユーザが他のアプリに流れたり、アプリを放置したりする割合を業界レベルで70%減少させることができた。

LyftのエンジニアリングVPであるPeter Morelli氏によると、アプリをダウンロードした最初の時点で望ましい使い勝手を得られなかったユーザはアプリを削除してしまうことに気づいたという。また、Lyftがアプローチするユーザーには、ドライバーと乗車客の2グループがある。

したがって、Lyftでは時間や場所、人口統計学的な特性といった基本要素だけでなく、ユーザーフローの中でどこに情報を配置するかといった詳細事項に関しても検証を行った(これはユーティリティアプリにとっては重要な教訓だ)。

A/Bテストの結果を活かして、パーソナルな瞬間を重要なものにする

ファッション系マーケットプレイスアプリであるPoshmarkは、顧客の経験の中で重要な事を見つけ、それを活用することでエンゲージメントを10%から20%上げる計画を設計することが大事だと学んだ。たとえば、Poshmarkの設立者兼CEOであるManish Chandra氏によれば、Poshmarkユーザーにとって重要な事は、ユーザーの友達がアプリをダウンロードする事だという。

そのため、友達がアプリに参加したことをユーザに通知してソーシャルグラフを展開するようにした。Poshmarkはまた、シンプルなパーソナライゼーションのもう一つの例として、ユーザーがアプリを使い始めたときがエンゲージメントを高める上でも重要な期間であると気づいたため、ユーザに服のサイズ情報をあらかじめ入力させ、ユーザーの「店」がすぐにユーザー仕様の服でいっぱいになるようにするようにした。

Shopkickにとって、パーソナライゼーションはコンテキストによって左右される。「エンゲージメントを増やすことは、コンテキストを押さえることだ。ユーザーにとって重要な瞬間に、リアルタイムに通知をすることが重要だ」とSharma氏は指摘した。

そのため、Shopkickはユーザーへのプッシュ通知、特にジオターゲティングにおいてよりスマートになっている。ロケーションターゲティングは多くの人にとっては、まだ未知の領域ではあるが、マーケターにとってはGPSよりもコンテキスト化に役立つ存在だ。

たとえばShopkickは、ユーザーが高速道路で運転中にMacy’sの近くに来たときに通知を送れば、ユーザーは集中を妨げられイライラするが、ショッピングモール内を歩いているときであれば逆に通知が役立つと思ってもらえることを学んだ。

重要な瞬間におけるパーソナライゼーションで、エンゲージメントが高まる

モバイルブランドは自らに高い基準を課すことが可能であるし、実際にデータを活用して理想的なタイミングでユーザーにパーソナルに出会うことができれば、そうした高い基準を満たすことができる。ソーシャルミュージックアプリを開発するSmuleのマーケティング部長Alessandra Sales氏は、プッシュ通知によってGoogle Mapのようなパーソナルで効率化されたアプリになることを目指しているという。

Sales氏は朝目覚めると、Googleがその日の最適な通勤ルートや通勤予測時間を教えてくれる。もっとも意義を持つタイミングで、価値のある情報交換がなされているのだ。彼女は、こうしたレベルのサービスを自らの顧客にも提供したいと考えている。

モバイルパーソナライゼーションの限界は皆無に近い。ブランドも顧客も、今まさに到来している、より科学化されたモバイル時代の恩恵を受けることになるだろう。データはマーケターにとって、パーソナライゼーションと日々より良い経験を作り出す上で大きな助けとなるはずだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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