メルカリが産・育休8カ月分給与を100%保証する新人事制度「merci box」開始ーー創業3年目のDL数は世界で3100万件に

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フリマアプリを展開するメルカリは2月1日、新たな人事制度として「merci box(メルシーボックス)」を開始すると発表した。これまでにも副業推奨やフレックスタイムの導入など、就業支援策を実施してきたが、ここから更に産休や育休、介護や怪我といったトラブル時のセーフティーラインに関する支援を充実させる方針。

具体的には産休・育休期間中の社員給与を100%会社が保証する。育休期間の規定については女性が産前10週、産後6カ月で、男性は産後8週間の期間となっている。また、育児や介護などで休暇を取得する際は5日間を特別有給休暇として最大10日間が取得できるようにする。その他詳しいガイドラインについてはこちらに掲載されている。

導入にあたり、同社取締役の小泉文明氏はこのように経緯を教えてくれた。

「導入に関しては社員が200名超えてきて、CSも含め女性社員が増えてまして、中途社員が多いので30代も多く、今後社員が出産を迎える方も多いと思うので、ここで導入しようと思いました。また病気による長期入院や死亡保険も対応してまして、もし何か働く上でリスクがあるものには会社が負担したいと思っています」。

また、同社は2月1日の創業日に合わせ、日米で合計3100万ダウンロードを達成したことも公表している。内訳は日本が2400万件で米国が700万件となっている。

スタートアップの産休、育休については昨年、米facebook CEOのザッカーバーグ夫妻が出産に伴い、2カ月の育児休暇を取得すると発表して話題になっていた。同社はその後、すべての従業員に対して4カ月の有給育児休暇を提供すると発表している。こういった動きはfacebookだけにとどまらず、SpotifyやLinkedInなど、成長期にあるネット系企業のトレンドにもなりつつあるようだ。

<参考記事>

この背景にあるのは優秀な人材の獲得に他ならないだろう。ただでさえ「ブラック」(私はこの単語表現が好きではない)と評されることの多いネット系の新興企業で、企業トップが率先して休暇を取るというのはある意味、重要な仕事でありメッセージなのかもしれない。

「ベンチャー=待遇悪いっていう暗黙的な認知がありますが、当社としてはネット企業は人(社員)が全てなので、人に投資していきたいと思っています。僕や(代表の)山田(進太郎氏)の子どもが産まれたのもありますが、会社も黒字化し、その辺りに投資出来る体力が出来たのが大きいと思います。産前を10週間にしているのは、僕が妻を見ていて、とても6週前からという今の国の制度は厳しいなと思ったのはありますね」(小泉氏)。

今年に入ってBASEへの出資など成長期に入った感を見せるメルカリ。今後のさらなる躍進は如何にして優秀な人材をこの場所に惹きつけるかにかかっているのが明白なだけに、こういった制度設計は打ち手として参考になる。

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