イベント管理サービス「Peatix」がピボットーー「グループ機能」を設けコミュニティプラットフォームへ

Junya Mori by Junya Mori on 2016.2.9

Peatix

事業の方向を転換することをピボットと呼ぶ。このピボットをしたことによって成功したサービスも、世界には数多く存在する。

既存事業が順調ではなく、ピボットを検討せざるをえないというパターンが多いが、中には順調に成長しているサービスであても、より成長することを目指してピボットする場合もある。

イベント管理サービスを提供するPeatixも、ポジティブなピボットを実施したスタートアップのひとつとなった。昨年、3月に大きく資金調達したPeatixは、どう変化するのだろうか。

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彼らは、本日、新たにイベント参加者や、同じ興味・関心などを持つ人が集まることができる「グループ機能」を正式にリリースした。

「Peatix」は、2011年5月にスタート。イベント主催者にとってチケット販売やイベントの管理が可能なサービスとして人気を集め、延べ100,000を超えるイベントで活用され、累計200万人を動員した。

海外への展開も積極的に行っており、日本、アメリカ、シンガポール、マレーシアなど27カ国のユーザに利用されている。Peatixでの流通総額は、約60億円となっており、このうち海外比率は25%ほどだという。


2016年、ピーティックスはコミュニティプラットフォームに from Peatix.com on Vimeo.

順調に成長してきたように映るPeatixだが、イベント管理サービスからコミュニティプラットフォームへとピボットすることを決意した理由は、一体どのようなものだったのだろうか。同社CEOの原田 卓氏は、こう語る。

原田氏「Peatixは単にチケットを売るだけのサービスにはなっておらず、Peatixを通じてイベントが開催され、コミュニティができていました。次々とコミュニティが育っていく様子を見ていて、「ここに集中すべきだ」と考えるようになったんです」

ユーザの様子を見ていての決断。そして、ビジネスサイドから検討しても、コミュニティに注力していくべきだという結論に至った。

原田氏「チケットサービスはいくつか存在していますが、ビジネスとしてしっかりと成立させるには興行のような大きなイベントで利用されることが必要になります。ですが、そのためには現地に事業所を置き、営業等を行っていく必要も出て来ます。

そうなれば、売上の伸びと比例して、人件費も増えてしまう。せっかくのウェブサービスを運営しているのであれば、それはしたくありませんでした。コミュニティのプラットフォームとなり、機能の一つとしてチケットサービスを提供する。ビジネス的にはこちらのほうが可能性が大きいと考えました」

イベントの管理も可能なコミュニティプラットフォームといえば、「Meetup.com」を思い浮かべる。既存のプラットフォームとPeatixはどのように競争していくのだろうか。

原田氏「Meetup.comは、2002年からスタートしたサービス。最初は無料で利用できていましたが、2003年からコミュニティの管理者は月額で課金することが必要になりました。当時はユーザ数が減少したそうですが、いまではしっかりマネタイズはできていて、世界各地で利用されるサービスとなっています。

Peatixは、まずイベント管理サービスからスタートしていることで、イベントの管理やチケット発行といった側面で他のサービスよりも優れたユーザ体験をもたらすことができると考えています。また、コミュニティプラットフォーム化を進めていくものの、マネタイズのモデルは異なります」

そのマネタイズに向けた動きはすでに始まっていた。昨年、8月にPeatixがリリースしたイベント協賛の広告サービス「リアルイベントPMP」だ。広告にかぎらず、濃いコミュニティと企業とのマッチングを行うことが、今後のPeatixの収益の中心となっていくという。

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今回、グループ機能を設けたことにより、Peatixではオンラインでも交流ができるようになる。オンラインにコミュニティがあり、交流が可能になるというと、オンラインサロンのサービスがある。Peatixではどのようにコミュニティを運営していくのだろうか。

原田氏「オンラインで交流できるようにはするが、オンラインがメインになってしまわないように気をつけたいですね。Peatixのコアバリューは、同じ関心事や問題意識を持った人がつながり、実際に会いにいけるコミュニティがあることだと考えていますから」

コミュニティのボリュームゾーンは、100人前後。Peatixには、何千人という規模のコミュニティが存在するそうだが、プラットフォームとしては、Peatixが存在したからこそ生まれたようなコミュニティを育んでいきたいと原田氏は語る。


グループ2_ グループ3_

グループ機能の他、サービスとして磨ける点はまだまだある。たとえば、レコメンド。すでにPeatixでは、参加履歴などのインタレストグラフからメールやプッシュ通知でイベントのレコメンドを行っている。今後、ソーシャルデータなど、ユーザから能動的にデータをもらうことで、プロアクティブに何かを探している人のためにレコメンドの質を高めていくという。

彼らのスタンスが変わったことを示す大きな動きは、今後Peatixでチケッティングされていないイベントも、Peatixの検索から探せるようになっていくということだろう。Peatixから見て良いイベントがあれば、Peatixでの検索にひっかかるようになるという。

原田氏「Peatixには、Amazon出身者も多く、AmazonのDNAが流れています。Amazonが、マーケットプレイスを始めたときにも、新品が売れなくなるという声が社内から上がりました。ですが、間違いなくユーザにとっては価値があることだったため、マーケットプレイスはスタートしました。今ではあの判断は正しかったとわかります。

Peatixも別のイベントを取り扱うようにしていくというのは、自分たちのサービスをチケッティング以外の点で磨いていくという覚悟を示すもの。短期的にはカニバッたとしても、長期的に見たら価値が高まるはずです」

Peatixは今後、プロダクトを磨きながら、世界へと展開していく。当面は日本語と英語に集中するとのことだが、今後中国語など多言語に対応していくことも視野に入れている。

日本からスタートし。世界へと展開しているPeatixが、今回のピボットによりどのような進化を遂げるのか。楽しみだ。

Junya Mori

Junya Mori

モリジュンヤ。2012年に「Startup Dating」に参画し、『THE BRIDGE』では編集記者として日本のスタートアップシーンを中心に取材。スタートアップの変革を生み出す力、テクノロジーの可能性を伝えている。 BlogTwitterFacebookGoogle+

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