月次流通総額は約36億円にーー買収後も成長し続けるミクシィとフンザのM&Aストーリー #tbfes

Junya Mori by Junya Mori on 2016.2.19

左から:東洋経済オンライン 編集長の山田 俊浩氏、フンザ代表取締役社長の笹森 良氏、ミクシィ代表取締役社長の森田 仁基氏

左から:東洋経済オンライン 編集長の山田 俊浩氏、フンザ代表取締役社長の笹森 良氏、ミクシィ代表取締役社長の森田 仁基氏

「Tech and Life」をテーマに開催された「THE BRIDGE Fes」。100社のスタートアップのブースが会場にひしめく中、中央のステージではトークセッションが開催された。

最初のセッションを飾ったのは、ミクシィとフンザの2社。ミクシィに買収された後も、大きくサービスを成長させているフンザの話を聞くことで、国内スタートアップにおけるM&Aの今後を考える。

ゲストは、ミクシィ代表取締役社長の森田 仁基氏、フンザ代表取締役社長の笹森 良氏。モデレーターは東洋経済オンライン 編集長の山田 俊浩氏が務めた。

M&Aに至るまで

2. 【確定】笹森

資料:チケットキャンプの月間流通総額変遷

山田氏:「チケットキャンプ」は2015年3月に買収された後、成長が加速しており、2015年12月時点で流通総額が約36億円を超えています。今日は、そもそもどうして買収に至ったのか、買収された後で何が変わったのか、といったことを伺っていけたらと思います。まず、きっかけは一体どういったことだったのでしょうか?

森田氏:元々、笹森さんのことは知っていたんです。仕事でミクシィアプリを一緒に作っていて。一緒に仕事をしていくうちに「すごい人だ」ということはわかっていて。あるとき、久しぶりに会ったらチケットのサービスをやっていて、「ミクシィと何かできないか」という話をされました。

笹森氏:なぜ僕がミクシィに声をかけたかというと、僕が外部プレイヤーで最もミクシィのポテンシャルを評価している人間だと自認しているからなんです。チケットを売るために、どうアプローチするかを考えたときに、ミクシィのコミュニティとツイッターのハッシュタグを活用するくらいしか、個人のニーズをセグメントする方法がない。では、前者にたいしてどう入り込んでいくかと考えたのが、最初に相談したきっかけでした。それが2013年の冬のころでしたね。

山田氏:そのとき、出資の話は?

笹森氏:まだそのときはしていなかったですね。

山田氏:では、2社はどこで化学反応が起きたんですか?

森田氏:当時、ミクシィはモンスターストライクが出始めたころ。自分たちの狙いを理解してブログを最初に書いてくれたのがフンザだったんです。その前からわかっていたことでしたが、「この人センスいいな」と思って、話をするようになり、話を進めていくうちに「一緒にやろうよ」となって、今に至ります。

山田氏:買収の話がスムーズに進んだのは、フンザには出資が入っていなかったこともある、と聞いています。

笹森氏:フンザの資本政策は変わってるんです。外部資本を一切いれませんでした。なぜ調達しなかったかいうと、創業メンバーは全員が30歳を超えていて、家族もいました。この先の数年間どう生きるかというのはとても重要なことだったんです。そこで、僕たちは起業にリミットをつけようと決めました。3年で結果が出なかったら辞めようと。そのためには、辞めどきは自分たちで決められないといけないので、100%自分たちで運営できるよう自己資本だけでやらないといけなったんです。

山田氏:それで素早く意思決定できたんですね。オフィスがない状態でM&Aしたという話については?

笹森氏:正確には、オフィス賃貸料を払わずにM&Aした、ですね。友達のオフィスにずっと間借りしてたんです。その会社のオフィスが移転したら一緒にくっついていきました(笑)

山田氏:それはすごい(笑)ミクシィは上場企業で、慎重に将来の価値を計算しなければならなかったかと思います。このM&Aのすごいところは、森田さんが自分で交渉の先頭に立ったこと。大企業のM&Aにありがちなのが社長は最初だけ交渉の席について、後は担当者に任す。話を重ねるうちに、だんだんと話が変わってきてしまうというケース。自らしっかりと話をしたところがすごいですよね。

森田氏:フンザのものづくりに対してリスペクトしていたんですよね。ぜひ一緒にやりたかった。志に共感していたので、交渉は自分でやるべきだと思ったんです。そこはブレずに半年くらい話し合いを重ねました。時には夜中に会ったりすることもありましたね。比較的短い期間で意思決定したと思います。

笹森氏:途中、不安になってしまった時期もあって、森田さんに揺さぶりをかけようと思ったことがあったんです。夜中なのに「どうしても話がしたい」と連絡して、ちゃんと来てくれるか確かめようとした(笑)そしたら森田さんは、会食を途中で抜けて、夜間通用口から入ってきてくれました。いま考えると悪いことしたなって思います(笑)

森田氏:モンストなど、既存事業が順調な間にワクワクできるものを探していたんです。そしたら、「チケットキャンプ」があったので、楽しかったですね。115億円という金額はけして安い金額ではありませんが、モンスターストライクで生み出した資金を使って買収するだけの価値があるとミクシィのみんなに言えると思っていました。

アフターM&A

2. 【確定】笹森

資料:チケットキャンプの月間流通総額変遷

山田氏:買収が終わった後の話を聞いていきたいと思います。買収後も、「チケットキャンプ」の数字は爆発的に成長していますよね。新しい試みをはじめて、大きな成長になったのだと思いますが、ブーストの要因はなんだったのでしょうか?

笹森氏:M&Aする際に、マスマーケティングの展開についても話をしていました。名前の知られていない会社が、テレビCMを打つのは大変ですが、ミクシィのバックアップがついた。最速でマスマーケティングに向けた動きを進め、M&Aの翌週には代理店と打ち合わせをし、3ヶ月後の7月にはテレビCMを放映することができました。

山田氏:なるほど。フンザの社員はいまミクシィに転籍していると伺いましたが、人事制度なども一緒になっているのでしょうか?

森田氏:そうですね。ミクシィと同じになっています。

山田氏:笹森さんには、会社をとられちゃうんじゃないか、といった防衛本能はなかったんですか?社員をまるごとミクシィの社員にしてしまうまで、ミクシィに食い込むというのはどう決断したのでしょうか。

笹森氏:買収の際に、話していたことが2つあります。1つは、森田さんと僕の間に人を置かないで組織図で社長直下にしてもらったこと。もう1つは、買収時にいた10名の社員をとにかくかわいがってほしいというもの。M&Aを伝える瞬間まで、社員向けにも儲かっていないフリをしていたんです。そのため、社員の待遇はよくはなかった。ミクシィに入ることで、社員の待遇をよいものにしてあげたいと考えていたんですね。それなら、社内制度はミクシィに合わせたほうがいい。

山田氏:いまでも、森田さんの直轄というのは変わらず?

森田氏:それまで、グループ会社のどこの役員にも属してなかったのですが、フンザだけは役員になってコミットしています。

M&Aで両社に起きた変化

_MG_5361

山田氏:モンストが生まれ、社員の中からアイデアを出すための施策を行い、M&Aも行って、ミクシィ社内のモチベーションはどう変わりました?

森田氏:ものすごくいい影響がありましたね。モンストは、当時の社内の文化からすると、違う文化。異なる文化が混ざることで、組織内が活性化されました。もうちょっと違う文化があると、さらに活性化するんじゃないか?と考えていたところ、「チケットキャンプ」と出会って。

笹森氏:フンザのほうは、ミクシィを支えていたエンジニアの働きぶりを間近で見ることができて、エンジニアがとても刺激を受けていますね。

山田氏:来月で買収から1年が経過します。これからどういうことを仕掛けていく予定ですか?

森田氏:元々、一緒になるときに「チケットキャンプが成長して世の中に浸透するのは当たり前。次のサービスを一緒に作っていきましょう」と笹森さんから言われていました。チケットキャンプは想定より早く市場のシェアを獲得できたので、次の新しいチャレンジに向けて準備していきたいと思います。

山田氏:DeNAは自動車事業に着手したりと、新しいことといっても色々な可能性が考えられますが、何かヒントをもらえたりしませんか?

笹森氏:自分は、インターネットどっぷりな人間です。得意なことしかやらないと決めているので、ソフトウェアやサーバーなど、インターネットの強みを活かしたサービスを今後もやっていきたいと考えています。自分のキャリアの中で絶対やってみたいのは、コミュニケーションサービス。コミュニケーションサービスは当たると爆発的に成長します。これを成功させられるまで、何回か打席に立てたらいいなと思っています。

森田氏:笹森さんはいい意味でサバサバしてるのがいいですよね。そうすると、どんどん新しいチャレンジができる。打席に立つということはとても重要です。事業はやろうと思えばいくらでも続けられてしまう。ミクシィという会社で見ても、資金があって存続はできる。では、存在意義は何になるのか。世の中に価値を生むものを作れているのかを問いかけていきたいと思います。私たちのミッションは、「新しい文化を創る」ですから。

山田氏:M&Aをする上では、企業の本質を見ないといけませんよね。M&Aを決定する上で、どういった点を重視しますか?

森田氏:何かものごとを成し遂げる人というのは、お金で動かない人だと考えています。たとえば、笹森さんはM&A前と後で全く生活が変わっていない。何をしているときが楽しいのかといえば、サービスを作っているときが楽しい人なんです。こういう人が何かを成し遂げるんだろうなと思いますね。M&Aの際も、そういった点を見ています。

山田氏:提携先や買収先の想いをしっかりと見ないといけませんよね。それができているかどうかで、M&A後の両社の状態が変わってくる。企業の姿勢を示すうえでもM&Aは重要になりますね。

森田氏:今日も良い出会いがあればいいなと思ってます。

笹森氏:今日、森田さんは代表印をもってきているそうです。代表印を持った代表の人間が会場にいる。スタートアップの方々はこの意味を感じとってほしいですね(笑)

Junya Mori

Junya Mori

モリジュンヤ。2012年に「Startup Dating」に参画し、『THE BRIDGE』では編集記者として日本のスタートアップシーンを中心に取材。スタートアップの変革を生み出す力、テクノロジーの可能性を伝えている。 BlogTwitterFacebookGoogle+

メールマガジンに登録すると、THE BRIDGEに掲載されたニュースや、スタートアップイベント情報をゲットできます!

人気ニュース