40歳手前の親父だからできたーーソラコム玉川氏が語る「創業チームの集め方」 #bdash

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福岡で開催中の招待制カンファレンス、「B Dash Camp 2016 Spring in Fukuoka」の会場にやってきている。

最初のセッションでは、注目の若手経営者として、ウェルスナビ代表取締役の柴山和久氏、ソラコム代表取締役の玉川憲氏、ユーザベース代表取締役共同経営者の梅田優祐氏が登壇し、それぞれのチームづくりやミッション、事業の立ち上げなどについてその経験を語った。

本稿ではそれぞれのテーマに分けて彼らの声をお届けする。なお、本セッションのモデレーターはグリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏が務めた。

田中氏がセッション冒頭に「ネットっぽくない」と紹介した3社に向けられた最初の質問はスタートアップにとっての最初の難関「チームづくり」に関するものだった。玉川氏は創業のきっかけをこのように振り返る。

「ソラコムの創業きっかけは安川(健太氏、現・CTO)とアメリカに出張して酒を飲みながら話しをしてたんですが、その日、時差ぼけで寝れなかったんですね。それで仮想のリリースノートを作ったです。これはアマゾン時代の習慣で、朝起きて見直してみていけるんじゃないかと。それがソラコムの元になりましたね」(玉川氏)。

ちなみにビジネスモデルを考えたりするのが好きという玉川氏は、先日から参加していたバルセロナのイベント滞在中にまた新しいアイデアを一つ書いたと話していた。(残念ながら本日ばーんと発表、という訳にはいかなかったが)。

さておき、単なるアイデアをどうやって実現したのかという質問についてはやはり、通信をクラウドに乗せるという部分が大きなチャンレンジだったらしい。これを玉川氏はサイドワークでテストを繰り返し、目処がついたことで起業に踏み切る。

玉川氏に目処がついた一方でチーム作りは大変だ。ソラコムには通信、クラウド、ビジネス、海外展開などありとあらゆる知識と経験が必要になる。ここを乗り越えたのはやはり玉川氏がベテランだったことが大きい。

「プラットフォームなので、世の中に出せるまで半年籠らないとダメなんですね。それで周りに出来る人で誰がいるかなと。私は40歳手前の親父なので、経験上、周囲に優秀な人っているじゃないですか。そういう人たちを思い浮かべて口説いていったんです。そうやって最初の8人のメンバーを集めました」(玉川氏)。

玉川氏と安川氏という国内アマゾン・クラウド立ち上げの中心人物が先頭に立ったこと、不可能を技術で「できる」ところまで目処をつけたこと、こういった技術者にとってわくわくするストーリーに彼のベテランとしての経験が重なってこのプロジェクトがキックオフできたのだろう。

相変わらずこの話はアツい。

ちょっと面白い最初のチームビルディングのストーリーを語ってくれたのが柴山氏だ。ウェルスナビは金融ビジネスをテクノロジーで変革させる意欲的な取り組みだが、当然、エンジニアが必要になる。しかし、官僚・金融畑を歩んできた柴山氏の環境は玉川氏のそれとは大きく異なる。

そんな彼がうまく使ったのがメディアだった。

「(諸事情で最初のプロダクトが)作れないことが分かって、一緒に起業しようとしていた2人がいなくなっちゃったんです。それでインキュベイトファンドの村田(祐介)さんとICCの小林(雅)さんとでプレスリリース作ったんです。そしたらこれまで諸事情でできなかったものが新聞にはできると書いてあるということで、金融機関向けのシステムを開発しているような人たちがサイト経由で応募をしてくれたんです」(柴山氏)。

ネット業界にいると、私たちのようなネットメディアがやはり近い存在になるのかもしれないが、別の業界では当然、それぞれにリーチが強い媒体が存在する。

こういったネット業界と既存事業の業界にある境界線をうまく意識して、双方の人材をうまく往来させる方法を考えるのは必要なのではないだろうか。(つづく)

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