グループチャットに振り回されている君へ:グループチャット「Basecamp」創業者が語る「リアルタイム/非同時」を使い分けるコツ

ゲストライター by ゲストライター on 2016.3.30

Jason-Fried-profileJason Friedさんは、BasecampのファウンダーでCEOです。「Getting Real」「Remote」、そしてニューヨーク・タイムズのベストセラーで日本でも話題になった「REWORK」(邦題:「小さなチーム、大きな仕事」)の著者でもあります。本稿は、もともとIncに投稿され、Mediumにも再掲された記事をご本人から許可を得て翻訳したものです。Twitterは、@jasonfriedでフォローできます。


君はこんな感じだろうか?または、他者をこんな気持ちにさせているだろうか?

君はこんなことになっていない?または、他者をこんな気持ちにさせていないだろうか?

グループチャットは、アジェンダのない、行き当たりばったりの参加者と共に参加する1日中続く会議のようなものだ。

2006年、僕たちは「Campfire」をリリースした。それは、SAASの現代風ビジネス向けグループチャットとメッセージツールの先駆けだった。

それ以来、Hipchat、Flowdock、Slackといったビジネス向けチャット&メッセージサービスが登場している。そして、僕らはグループチャットとインスタントメッセージ(僕たちはこれを“pings”と呼んでいる)を新サービス「Basecamp 3」としてリリースした。

一企業として、今日存在する他のグループ・ビジネスチャットよりも長く存続している。何年にも及ぶ顧客らのフィードバックに加えて、僕たち自身が実施してきた10年分のグループチャット体験が、何が機能して何が機能しないのかを教えてくれた。 37signalsとBasecampを合計して、累計1,000万件にのチャット行数をメッセージし合ってきた。

僕たちは、特定の状況下でグループチャットを控えめに活用することの価値を学んだ。でも、チャットを組織内のデフォルトのコミュニケーション手段として使うのはナンセンスだ。パイの一部分に使うなら、いいだろう。でも、パイが丸ごとグループチャットなのはいただけない。企業が、物事を一行ずつしか考えなくなるとき、よろしくないことが起こり始める。

また、人が職場で感じる感情には、そのコミュニケーション手段や作法が大きく影響することを確信している。消耗し、擦り切れて、いつも気がかりで仕方がない?それとも、君はクールに構えて、落ち着いているだろうか?これは単なる心理状態ではない。これは、僕たちが使うツールによって引き起こされた状況であり、ツールによって促進された態度だ。

これらの発見に基づいて、組織におけるグループチャット活用のメリットとデメリットについてまとめてみた。もし、君やその組織がチャット主導、またはその方向性に進みそうなら、その決断が与えうる以下のインパクトについてよく検討してみてほしい。

メリット

グループチャットはこういう点で使える…

1. 細切れになった物事をスピーディに進める。少人数でアイディアについて意見を交換する時、チャットほど優れたツールはない。言葉を放り込んで、画像をドラッグして、フィードバックを迅速に受け取り、次に進む(再び引き込まれてしまう前に、とっとと退出すること)。

2. 緊急警報。チームに危機的な情報を共有しなければいけない時がある。例えば、サーバーが落ちたりデプロイに失敗したりした時などは、グループの注意を一瞬にして引く必要がある。この情報をチームに瞬間的に伝える手段は複数存在する。優先順位が高いチャットルームやチャネルに情報を流すことは、間違いなくその手段の一つだと言える。

3. 楽しむこと。職場において、仕事をすることが大切なのと同じくらいに、楽しむこともまた重要だ。ここでは、チャットがすごく役に立つ。そこには文化が育まれ、仲間内だけで通用するジョーク・絵文字・音を使ったおふざけ(Campfireの機能)が生まれていく。チャットルームやチャネルは、ミームを生むのに打ってつけの場所なのだ。

4. どこかに所属しているという感覚。これは特に、遠隔で仕事をしている人にとって大切だ。ただそこに顔を出して、おはようと言ったり、お昼に出かけると伝えたり。どこかに所属しているという感覚が、離れていることで感じる情緒不安定を和らげてくれる。

デメリット

グループチャットを、グループや組織全体にまたぐ主流のコミュニケーション方法にすることはこんなことを導く…

1. 精神的な疲れと疲労困憊。グループチャットの内容を追い続けることは、一切アジェンダが存在せず、行き当たりばったりの参加者と共に参加する1日中続く会議のようなものだ。頻繁に、その1日会議は何度も繰り返される。

君も聞いたことがあるだろうーこれほど疲れるものはない。常に会話が行われ、おしゃべりが止まらず、そこには始まりもなければ終わりもない。注意を払わないと決めることはできるが、すると今度は取り残されてしまうかもしれないという不安がつきまとう。

2. ASAP(As Soon As Possibleの略)の文化。グループチャットとリアルタイムのコミュニケーションの根幹には、「今」がある。そのため、特定の状況においては力を発揮する。チャットはすべてのことを迅速に議論するよう仕向けてくる。でも実際、今すぐ議論すべきことや、ASAPに注意を傾ける必要があることがどれだけあるだろうか。

ASAPはまた、インフレを誘発する。ASAPと明記されていない要望の価値を下げてしまう。ふと気がつけば、何かを達成するには、それをチームの前に放り投げ、彼らの瞬時のフィードバックを得るという方法しか残らなくなる。まるで、常に誰かの肩を叩いているようなものだーまたは誰かのシャツを引っ張るような。彼らが手を止めてこちらを振り向き、君の頭の中にあるものにまず対処することを求める。決して持続可能な習慣とは言えない。

3. 自分に発言権がないと感じたり、取り残されているのではないかという恐怖。常時注意を向けていないと、何かが起きた時に君に発言権はない。会話が起こるスピードが早く、すぐにベルトコンベーヤーで流れてしまうため、順番が来たときに指定の位置に立っていないと、後からチャンスは回ってこない。だから、必要と感じた時にすぐに会話に参加できるよう、1日中チャットルームやチャネルを覗くようそそのかされる。

4. 思考ごとに考えるのではなく、1行ずつ考えてしまう。しっかり議論すべきことには、時間をかけて詳細に議論する価値がある。チャットは1行ずつ表示されるため、思考の塊は1行ずつ展開されることになる。でも、君がその思考を伝え切る前に他の人がいつでも飛び込めるため、何かを伝えることがあっという間に苛立たしい体験になる。

また、中途半端な思考や、ピアノで言うスタッカートのような反応は、特定の議題を漏れなく検討し、重要な意思決定をすることを困難にする。特に、グループ間においては。誰もが1行ずつしか発言しない会議に参加することを想像してみてほしい。そして意見を言おうとすると、常に人に遮られることを。そのやり方で、どこかにたどり着くことができるだろうか?時間がいくらあっても足りないのではないだろうか?

5. 暗黙の総意。「チャットルームで話したのだから、知るべき人は知っている」。君も経験したことがあるだろうーチャットルームで何かが議題に上り、でも、誰もそれに反対しない。それによって、発言者は、全員がその議論を目にし、同意したものだと推測してしまう。

でも、実は誰も読んでもいなければ、同意もしていない。議論が行われたその瞬間にそこにいなかったがために、メンバーの合意なしに意思決定がされていく。これは、上述したポイントにも繋がる。「今」という瞬間が、「議論をすること」と「意思決定を行うこと」の2つに同時に適していることはない。

6. 無条件反射的な反応。チャットルームで何かを議論することは、バスケで言うところのショットクロックのようなものだ。反応しようと思う瞬間から、それがスクロールされて流れてしまうまでの時間はわずかだ。だから、相手の耳に届くことを願って何かを叫んで終わる。

同じ現象がTwitterでも起きている。加速していく会話が、深みにかけた浅い話題とサウンドバイトになっていく。テレビのレポーターが、3分の時間切れになる前に急いで意見を主張することと変わらない。

7. 積み上げとゆだねられた会話。何かの議題について、複数人が会話を始める。なかなかいい感じに進んでいる。でも、別の誰かが通りすがって1行コメントを残したことで、会話が別の方向に進み始める。頻繁に、好ましくない方向に。

すると、今度はまた別の誰かが入ってきて、彼の1行を投げ入れる。もともと会話をしていたメンバーは、会話の方向性を見失ってしまう。わずか数人が議論していたことが、6人以上の会話になる。物事があっという間にゆだねられていく。

会話の背景に追いつくことなく、誰でも後から会話に参加できることは、破壊を助成する。勢いよく始まったとしても、時間の経過とともにチャットの威勢は弱まっていく。

8. とりとめもなく喋ることが繰り返される。数分で終わるはずの会話が、グループチャットで行うと20分以上を要する。グループ間における継続的な会話に終止符を打つことは難しい。特に、いつでも誰か新しい人がやってきてその1行を放り投げられる状況では。

そろそろ会話が終わりに近づいていると思った途端、またそれは始まりに戻る。そして大半、それは前の会話の焼き回しにすぎない。世界中のチャットルームで、「もうそれは話した」という言葉が繰り返される。

9. リアルタイムな情報共有を過多に行う。数日前、営業データを使って、新しく案件が決まる度にチャットルームに通知するアイディアに熱くなっている奴と話していた。僕は、それが1日何回になりそうか聞いた。彼は、「たくさん」と答えた。「1日中、読まれない通知をチャットルームに流すのか?」と聞くと、彼は「そうだ。悪いことだろうか?」と逆に聞いてきた。

営業の「今」の成績を常にみんなに知らせる必要はあるのか?1日分の営業成績をまとめて共有するほうが、読まれない通知を送りつけて仕事を妨げるよりいいのではないか?彼はこうしたインパクトを考えてすらいなかったが、最終的には理解してくれた。

いろいろと連携させてチャットに流し込むことは楽しい。だからこそ、要注意だ。人の注意を妨げることのコストを考えなければいけない。仕事に向かう人たちの集中力を、待って後から伝えれば済むものを、1日に何十回と妨げる(みんな未読をなくことが大好きだから)だけの価値があるかどうかを。

10. チャットは、君が遅れをとっていることをリマインドしてくる。グループチャットは、僕たちをまるで1日中何かを追い続けているかのような感覚にさせる。

もっと酷いのは、グループチャットが頻繁に「離れることへの不安」をもたらすことだ。ちょっと離れて戻ってくると、数十、数百の未読ラインに出迎えられる。それを1行ずつ読むべきなのか?読まなければ、何か大事なことを見逃してしまうかもしれない。そこで全てを読んでいくか、リスクをとってすっ飛ばさなきゃいけない。まだ読みきれていない内容があるかもしれない中、断片的な会話のパズルを完成させていく。

やっと追いついたと思ったら、また遅れをとっている。まるで2つの仕事を同時にこなしているようなものだ。一つは自分がやるべき本来の仕事。もう一つは、たぶん知らなくても支障のない情報に常に追いつこうとする仕事(でも、自分が無関係かどうかは読んでみないことには判断できない)と。

11. 25という数字は、以前は1を意味するものだった。1件の未読メールがあれば、それは「1」として受信箱に表示された。その1件の未読は、塾考されたアイディアかもしれないし、12行の文章かもしれないし、もっと長いかもしれない。でも、1件が1件であることに変わりはない。吸収すべき1件のユニットだった。

同じことをチャットルームでやり取りするために必要な行数を考えてみてほしい。チャットは基本的に一度に1行ずつ進むため、それが長い1行だったとしても、未読の数はどんどん掛け算されていく。1、2件のメールを送れば済んだ会話が、今では25件、40件、または100件以上を要する。

それだけでなく、誰かが話している最中にも反応が追加されていく。グループチャットは、巨大な数字を生んでいく。その数が大きければ大きいほど、君が見逃しているものの数も大きくなる。そして、その悪意あるサイクルが繰り返される。

12. 未読の何だって?分散されたカテゴリー・チャットルーム・チャネル名の横にある数字が会話を象徴する時、その内容が見るに値するかは、実際に入って新着を見て判断する他はない。数字は、そこで繰り広げられる会話を表現してはくれないし、単純に新しく何かが追加されたことしか教えてくれない。

数字の裏にあるものを判断することは極めて難しく、すでに進行している会話に後から入って行って、議論の内容を確かめる必要がある。それによって、「今」参加する必要がない議論に引き込まれてしまう。一方、Eメールには決まったヘッダー部分があり、参加者も一目でわかるため、即対応すべきか、後でいいのか、そもそも反応してなくていいのかが瞬時に判断できる。

13. めまぐるしいコンテキストの移行と、継続的な関心の分散。メンバーの多くは、そのスクリーンの端またはセカンドモニターにチャットのウィンドウを開いたままにしている。片方の目はチャットのウィンドウにやり、もう片方を仕事に使う。問題は、チャットウィンドウが君の関心を吸い込むブラックホールだということだ。常に君の視線を引っ張り、君の集中力を少しずつ削いでいく。

チャットルームやチャネルにまたいで、もぐらたたきゲームのように未読表示を追いかけることで、めまぐるしいコンテキストの移行が生じる。コンテキストの移行は、本来やるべき仕事に取り掛かるためのまとまった時間を奪ってしまう。

さらに、君の筋肉が連続するタスクを記憶するように、君の心もまた同じことをする。1日中、会話から会話へと行ったり来たりすることで、「関心の残余」が生じる。一つ前の会話を忘れて、次の会話を始めることが難しくなる。これから参加する新しい会話に完全に集中することができない。この点については、Economistの素晴らしい記事を読んでほしい。

14. 見直して後から参照する能力の欠如。チャットルームやチャネルでされた大事な会話を、後から見返そうとしたことはないだろうか?上手くいけば、その断片が見つかるかもしれない。でも、それが全てだとどうして言い切れる?一週間前に、同じ内容が議論されて、異なる意思決定がされているかもしれない。それは、230スクロール前に議論されているかもしれない。

終わりのないベルトコンベヤーのような会話は、すべてを分散された瞬間の連続に変えてしまう。より大きな視点や完全な記録が明確になることはない。それはどこから始まるのか?どこで終わるのか?誰かがそれを全部見たのか、それとも一部だけ見たのか、または全く見ていないのかどうしてわかるだろう。

15. コンテキストの欠如。ひとつ場所で議論が行われる時、そしてそれを隔てるものが時間しかない時、その議論にはコンテキストが不足している。「この会話は、このドキュメントに基づいています」とは言いにくい。なぜなら、そのドキュメントはどこか他にあって、その会話はもとの素材から離れた場所で実施されているものだから。

後からドキュメントを見返した時に、それが議論されたかどうかは定かではない。その会話は、違う場所に存在しているのだから。これは、捉えにくく微妙なポイントではあるが、すごく重要な点だ。

16.プレゼンス、推測、そして期待。多くのチャットプラットフォームには、その人がオンラインかどうかを表示するために小さな緑色のドットマークが存在する。これが、なかなか辛い機能だ。なぜなら、チャットにログインし続けるプレッシャーが生じるからだ。それは、まるで「君のドットは緑じゃないから仕事をしていないんだね」と言っているかのようだ。

このプレッシャーによって、人はチャットルームを常時開くことを強いられる。すると、本来やるべき仕事に向かいながら、1日中続く妨げをすべて吸収することになる。自席に着席してことが求められた昔の職場環境の現代版だ。Do not disturb(取り込み中)と言うこともできるが、本当の邪魔をなくすことは、チャットをやめることでしか叶わない。

17. タイムゾーンをまたいだコミュニケーション。チャットは、遠隔で仕事をする上での必須ツールだと考えられている。遠隔で仕事をする人間にとって、チャットが重要なツールであることは間違いないが、異なるタイムゾーンにいる人と仕事をする時、それは特にイケてないツールになる。

チャットは、永久に「今」に向けられたツールであるため、そして人にはそれぞれの「今」があるため(君の午前9時は僕の午前11時で、彼女にとっては午後3時で彼にとっては夜の8時といった具合に)、リアルタイムは「間違った時間」でしかない。世界中にチームが散らばっているとき、または複数のタイムゾーンにまたいでいるときは、非同時性のコミュニケーションのほうが圧倒的に有効だ。

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しつこいチャットを、主流のコミュニケーション方法にすることにどこまで反対すれば気が済むんだって?ほとんどの状況において、僕はそれには反対だ。37signals/Basecampでチャットを10年間使い続けてきたことで、それが妨げや不安、ストレスになり、数々の誤解を生んでしまうこともわかっている。そして、これらは全ての組織や人に多大なダメージを与える。

僕は、人が持つ最も重要なリソースは注意力だと思っている。もし、他の何かが僕の注意力を操作しているのだとしたら、その何かが僕の能力を操作していることになる。また、君の注意力は、素晴らしい仕事を成し遂げるための必須要件だ。だから、グループチャットの山や、そこから生じる期待値が僕から計画的にリソースを奪うとき、それは僕の敵になる。「今すぐ」は、無駄にされるのではなく、守られるべきリソースだ。

そうは言っても、コミュニケーションの道具箱において、グループチャットは重要なツールの一つだと思う。ただ、最優先のツールだとは思わないだけだ。グループチャットは、例外的なツールだ。一般的な状況よりも、特別な状況においてすごく役立つ。

適切に控えめに、そして正しいコンテキストに基づいて正しいタイミングで使われると、それは素晴らしい力を発揮する。それを抑制し、使うべきではない時を判断し、行動と雰囲気を観察することだ。そうしないと、それに支配され、いいものもダメにされてしまう。

公平性のために言うと、こうした問題はグループチャットに限った話ではない。でも、グループチャットの基盤(今参加、1行ずつ送られる不完全な思考、見逃すことへの恐怖心、参加するための障壁の低さ、そしてそれが誘発する過度な参加、ひっきりなしの通知など)は、意図しないネガティブな結果を拡大させる傾向がある。原因と効果を切り離して考えることはできない。

もっと興味深いのは、1対1、ダイレクトメッセージやテキストが、Eメールに類似していることだ。それは、頻繁に非同時で使われる。誰かのために何かを残しておくと、そこに戻った時に相手がそれを確かめることがわかっている。

でも、グループチャットの環境では、見てもらえるかどうかが定かではない。他の人が会話をすることで、もとの会話が流れていってしまうからだ。@mentionsなどの療法は存在するが、気休めに過ぎない。参加者の数によって進むスピードが異なる「ベルトコンベヤー上のコミュニケーション」の決定的な欠陥を、バンドエイドや松葉杖で覆い隠そうとするようなものだ。グループチャットで何が起こるのかを予測することはできない。

Osmo Wiioが言ったように、コミュニケーションは基本的に失敗に終わる。それが上手くいくのは、事故が起きた時だ。だからこそ、組織における主流のコミュニケーションツールとしてのチャットのインパクトについては、じっくり考える必要があると思っている。

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僕たちが目指すこと

時々リアルタイムで、ほとんどの時は非同時

Basecampのが目指すルールは、「時々リアルタイムで、ほとんどの時は非同時」だ。この理想にたどり着くためには、まだやらなければいけないことがある。チャットにまだまだ頼りすぎているし、もっとそれを控える努力をしたいと思っている。

基本的に、「今すぐ」は例外であるべきで、デフォルトであってはいけない。そうすることで、本当に今すぐ議論される必要があることに使う余裕と注意力が生まれる。そして、その他のすべてのことを非同時に、時間をかけて徹底して議論することが可能になる。

例えば、Basecamp 3(当然、僕らはすべてのプロジェクト、仕事、組織をまたいだコミュニケーションに使っている)では、たまに発生するリアルタイムコミュニケーションのために、Campfireのビルトインチャットを使っている。

一方、重要な非同時性のコミュニケーションには、Basecampのすべてのオブジェクト(to-doリスト、個々人のto-do、ドキュメント、発表、チェックインなどなど)に付随するメッセージボードやコメントスレッドを使う。

コメントスレッドでは、コンテキストを保ったまま議論を続けることができる。to-do(またはドキュメントやファイル、発表など)にまつわる議論は、永久的にそのto-doに紐付く。こうすることで、すべての会話にいつでも簡単に戻ることができ、それにまつわる会話の全容を把握していることを確信できる。

君が、Basecamp以外のツールを使っていても役立つ、組織におけるリアルタイム/非同時の使い分けのアドバイスにはこんなものがある:

  • 人が1日中チャットに参加することを期待するのをやめる。1日中、チャットのウィンドウを開いておくべきだという期待値を生んではダメだ。1日中つるむ場所ではなく、チャットはあくまで目的を持って入っていくものにする。
  • もし、それが重要なことなら速度を緩めよう。それが大事な会話なら、それはチャットルームで行われるべきじゃない。チャットは、すぐに済む一時的なものに使われるべきだ。重要な議題はその他のおしゃべりから隔離し、時間をかける必要がある。
  • 発表はチャットでは行わない。一つ前のポイントに関連するが、全員に目を通してほしい組織またはグループ全体に向けた発表があるときは、それをチャットルームに投稿してはいけない。非同時で(BasecampやEメールや君が使う非同時コミュにケーションを可能にする他の選択肢)それを送ること。
  • 道理をわきまえたスケジュールで持って、それを検討する機会を全員に与えること。しっかり考えられたフィードバックは、ただの返答ではなく、時間をかけて考察された返答を意味する。時間は、何かを塾考するために欠かせない要素だ。フィードバックを非同時で求めることで、人に考えるための時間を与えよう。彼らがそれぞれのタイミングで反応できるように。期限を儲けるなら、「明日までにフィードバックがほしい」「水曜の終わりまでこの議論を残しておく」などと伝えればいい。
  • チャットをサウナのように扱おうーしばらくは入っていてもいいが、必ず退出すること。チャットルームやチャネルに長くいる傾向があるなら、チャットルームをサウナやホットタブだと思えばいい。しばらくは心地よいが、長く居すぎるのは逆に不健康だ。
  • グループチャットをカンファレンスコールのように扱うー全員を呼ぶことはない。チャットは少人数であればあるほど良い。チャットをカンファレンスコールだと思えばいい。3人で行うカンファレンスコールはパーフェクトだ。6〜7人は混み合っているし、ひどく非効率だ。グループチャットもまた同じ。数人でいいのに全員を招いてしまわないように注意しよう。
  • 1行ずつ書く代わりに、まとめてもらおう。長引くチャットから抜け出せない?たくさん話しているのに進捗がない?一度会話を止めて、誰かにその内容を議事録に残してもらう。そして、日同時のコミュニケーションでもう少し時間をかける。誰かにポイントをまとめてもらい、参加者にはそれを吸収して反応するための時間を与えよう。
  • 情報を垂れ流すのではなく、まとめよう。何かが起きた瞬間に何もかもを流し込むのではなく、1日に一度または二度にまとめてみること。それで人を妨げる頻度を減らすことができる。
  • 人が仕事を終わらせられるためのまとまった時間を確保しよう。中断は、生産性の敵だ。グループチャットは、職場における中断の生成工場になってしまっている。人に素晴らしい仕事をしてほしいなら、それに集中するための適切な時間とスペースを与えるべきだ。ここで15分、あそこで30分、もう7分と細切れになった時間では不十分だ。人には、何時間という邪魔されない時間が必要だ。未読の表示が光るたびに、人は今やっていることを中断してそれを確認する衝動にかられる。中断のコストを意識すること。その価値があるのか?睡眠だと思えばいい。寝ようとしている人が、毎15分ごとに起こされたとしたら、間違っても熟睡したとは言えない。同様に、1日中、中断され続けることで、どうしていい仕事ができるだろうか。
  • 不在にしてもいいという期待値を広めること。君自身がオンラインの表示をオフにしてもいい。それができないなら、不在にしても良いことが人に伝わるようにすること。チャットを閉じる、一切やめる、スヌーズにする、形は何でもいいが、不在にしたって一向に構わない。その不在は、休憩中ではなく、彼または彼女が仕事をしていることを意味する。

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最後に、これは特定のツールや特定のプロダクトに限った話ではない。これは、コミュニケーションの方法にまつわる議論だ。それがどんなスピードで進むかを誰も操作できない、一度に1行ずつ流れるベルトコンベヤーについての。そこで会話は、瞬時に散ってしまうこともあれば、何時間、何日と居座り続けることもある。

ツールのメリットとデメリットを理解し、それがどんな影響を及ぼすかを理解することは、それを最大限に活用するために欠かせない。引き換えにするものを知ることが、価値を知ることに繋がる。メリットが最高だからといってデメリットを無視すること、またはデメリットが酷いからといってメリットを退けることは、君に誤った感覚の心地よさをもたらし、現実を曇らせてしまう。

頭を突っ込んだり出したりを簡単にできて、複数の人に同時に話すことができるため、グループチャットを愛してやまないマネージャーたちがいる。でも、終わらせなければいけない仕事があるにも関わらず、参加してことを装うために1日中オンラインでいようと汗を流している従業員が大勢いる。彼らは、遅くまで仕事をしなくてはいけないことを常に考えている。平日、ずっと中断が続くため、その分、日曜の夜も仕事をしなくてはいけないと考えている。これほどリアルな問題は存在しない。

ソフトウェア業界には、ユーザーを責める傾向がある。使い方を知らないユーザーが悪い。彼らが、間違った使い方をしている。これはやるべきで、これはやるべきじゃない。でも、ツールというものは、人に対して特定の行動を促すものであるはずだ。プロダクトは、特定の結果が想定された、デザインにおける意思決定の連続だと言える。

たしかにツールが意図された通りに使うことはできる。でも、ほとんどの人は、デザインによって定められたパターンにならう。だから、人が疲れ果てて追いつけないと不安になるのは、ツールの責任であってユーザーの責任ではない。ストレスを生むデザインは、悪いデザインだ。

君がこのどちら側にいても、どのツールを使っていても、それが人に与えている影響について意識してほしい。一見すると、仕事を終わらせるために役立っているかのように見える部分だけに目を向けず。もし、その道のりで人が破壊されているのなら、仕事を終わらせることになど、何の意味もない。

(翻訳:三橋ゆか里)

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