買収後のクラウド請求書サービス「Misoca」が描く個人間取引プラットフォーム構想とフィンテックへの道

Junya Mori by Junya Mori on 2016.3.15

misoca

会計ソフト大手の弥生が2月21日、クラウド請求書サービス「Misoca」を開発する名古屋のスタートアップ Misoca の買収を発表した。弥生は Misoca の発行済み株式を約10億円で全て取得、100%子会社化した。

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「Misoca」は、中小企業を主なターゲットにPCやスマホから請求書を発行できるサービス。納品書や見積書、請求書の管理に加えて、郵送を代行するサービスまで手掛けている。

今回の買収はどのような経緯で行われたものなのか、今後 Misoca はどうしていくのか。 Misoca 代表取締役の豊吉 隆一郎氏、同社執行役員の奥村 健太氏のお二人に話を伺った。

左から:Misoca 代表取締役の豊吉 隆一郎氏、同社執行役員の奥村 健太氏

左から:Misoca 代表取締役の豊吉 隆一郎氏、同社執行役員の奥村 健太氏

Q. どういった経緯で買収の話が出てきたのですか?

奥村氏:次の資金調達に動いていた中で、いろんな選択肢を検討しようとしていたんです。そのなかで、弥生さんと通常の打ち合わせをしている中で、一緒にやるという話が出て、それが実現しました。

Q. 資金調達ではなく、M&Aを選んだ理由はどういったものだったんでしょうか。

豊吉氏:自分たちは仕組みで世の中をシンプルにしたいと創業しています。創業当初はIPOをしてみたいという気持ちもありましたが、それよりも Misoca を作りきって、もっと社会を良くしたい、生み出したシステムを残したいという思いが強かった。そのために、弥生さんと一緒にやるのがいいと思いました。

Q. 子会社化しても名古屋拠点なのは変わらず?

豊吉氏:そうですね。 Misoca は開発者にとって良い会社にしたいと作ってきた会社なので、チームがそのままの状態で働けることは必須事項でした。今の状態は、リモートワークがOKだったり、出勤時間もフレックス。もちろん、名古屋で働くこともOKであることなど。これは弥生さんも快諾してくれて、むしろ「これからはそういうやり方じゃないと」と前向きな姿勢でしたね。

Q. M&A後の展開として、どういったことを期待されていますか?

豊吉氏:現在、毎月5000事業者以上のペースでユーザが増加しています。合計のユーザ数は2月末時点で9万ほどです。

奥村氏:弥生さんは全国に100万事業者ほどユーザを抱えてらっしゃるので、そこまでユーザを拡大するのはまずやっていきたいですね。弥生のネットワークと、あとは会計士さんのネットワーク。サービスの性質場、会計事務所を抑えられると強いですから。

Q. 「Misoca」はずっとマネタイズをしてきていなかったかと思うのですが、今後はどうされる予定ですか?

豊吉氏:これまではずっと掘ってきていたんですが、今後はサポートを強化するなど、手厚いプランを提供していきたいと考えています。

奥村氏:詳細はまだ決まってはいませんが、現状のサービスに付加価値をつけていって有料版を提供していけたらと思います。

Q. クラウド請求書サービスは、次に展開していくとすると、どんな可能性があるのでしょうか。

奥村氏:請求書のやりとりをする前に、見積書や契約書などの取引が行われていますが、まだここはアナログになっていることがほとんど。そこを抑えていきたいと考えています。

豊吉氏:メルカリやクラウドソーシングサービスに代表されるように、個人間で取引をすることも増えてきました。Misoca は個人間取引のプラットフォームになっていきたいと考えています。

Q. 個人間取引のプラットフォームに向けた動きはすでに始まっているんですか?

豊吉氏:見積書は自分と相手が同じ画面を見ながら、コメントでやりとりできるようになり、相手が発注するかどうかを選べるような機能を実装しました。

奥村氏:将来的に「この相手との取引はこの画面を見ればすべてわかる」という状態を作り出していきたいと考えています。

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Q. クラウド請求書サービスの対応範囲が広がってくると、他のバックオフィス系サービスとカニバる場面も出てくるかと思います。他のプレイヤーとの競争優位性はどういったところになってくるのでしょうか。

奥村氏:請求書が肝になっていると考えています。取引に関するやりとりは色々ありながらも、請求と決済は必ず行うこと。請求というプロセスは必ず通るんですね。その部分を抑えられているのは、他のバックオフィス系サービスにはない優位性だと思います。将来的には、請求書が送られてきてクリックすれば決済が終わるようなプラットフォームにしていきたいですね。

豊吉氏:請求書は出さなくてはいけないので、まず使いはじめる人が多いのがクラウド請求書サービスだと考えています。僕たちはビジネスの入り口を抑えられている。バックオフィス系サービスのマネタイズは最終的に金融に行き着く事が多いですが、僕たちは金融の領域をオリックスさんと一緒に作っていけるんじゃないかと考えています。

Q. 金融の話が出ましたが、クラウド請求書サービスは売掛金が把握できるので与信につながり、融資につなげているサービスも海外にはありますよね。Misocaも、個人の取引のプラットフォームの次はフィンテック領域へと?

豊吉氏:そうですね。取引の安心を作り出すことができたら、次はお金の課題をクリアすることで、お金の安心を作り出せたらと考えています。長期的なアプローチをしながら、足元を固めるアプローチも進める。この両方を自分たちだけで進めるのは大変だったので、今回のM&Aに至ったという経緯もありますね。

Q. 足元を固めるための施策はどういったことを?

奥村氏:先ほどの取引に関するコメントを行う機能もそうですし、弥生IDとの連携や複数人での管理機能等をリリースします。

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Q. 複数人での管理機能はまだなかったんですね。

豊吉氏:そうなんです。チーム機能は利用者の「複数の人で作業したい」「誰が何をしたか確認できるようにしたい」と言った声から誕生しました。これまではシンプルさを優先して一人で使うことだけを想定していましたが、Misocaの登録事業者数も90,000事業者を超え、多様なチームや組織で使われるようになってきたということだと思います。おすすめなのは税理士さんにチームメンバーになってもらって請求書を見てもらうこと。最新の情報がいつでも見れるのでお互いに業務が簡単になります。

Q. チーム機能ができると、使いやすくなりそうですね。

豊吉氏:今後、利用者の要望を聞きながらチーム機能もパワーアップしていく予定です。

Q. M&A後のMisocaが楽しみです。ありがとうございました!

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Junya Mori

Junya Mori

モリジュンヤ。2012年に「Startup Dating」に参画し、『THE BRIDGE』では編集記者として日本のスタートアップシーンを中心に取材。スタートアップの変革を生み出す力、テクノロジーの可能性を伝えている。 BlogTwitterFacebookGoogle+

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