Olaが食品と日用品のデリバリーサービスを終了、Uberは攻勢を強める

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Olaのロゴをつけたインドのタクシー
Olaのロゴをつけたインドのタクシー

輸送テクノロジーは厳しい業界である。特にインドではなおさらだ。Uber や Ola の状況をチェックしてみるとよいだろう。

この市場競争の中で、両社はインドの顧客を呼び込むためにいくつもの異なるサービスやカスタマイゼーションを行った。例えばバイクタクシー、WiFi 対応タクシー、現金支払いなどである。

Ola はここでさらに一歩踏み込み、日用品と食品のデリバリーサービスも提供し始めたが、批評家はこれを、Uber がアメリカで試験的に開始したサービスの猿まねとみていた。

しかし、新たな試みは時には失敗することもある。Ola は木曜(3月10日)に日用品と食品のデリバリーサービスを終了することを発表し、最も得意な分野である輸送ビジネスに集中するとした。

Ola は同社ブログでこう表明している。

当社は10億人の人々を輸送するシステム構築に集中するため、今回この2つの実験的サービスを終了し、お客様により良いサービスを提供すべく、ここから得た教訓を生かしていく所存です。

Uber のプレッシャー

興味深いことに、Ola の発表は Uber がインドにさらに力を入れようとする最近の動きを発表したのと同日に行われた。サンフランシスコ拠点の Uber は、バンガロールにアジアのエンジニアリングセンターを設立した。

バンガロールの交通渋滞. via Flickr by Mr Thinktank
バンガロールの交通渋滞. via Flickr by Mr Thinktank

アジア初のエンジニアリングセンターをバンガロールに設立したことは、当社がインドへの投資に最大限の努力を投じている証です。このチームがインド中で目覚ましく成長しているビジネスをサポートし、そこからイノベーションが生まれることを心待ちにしています。(Uber の技術チーフによる声明より)

Uber は昨年来、一貫してインドでの競争を激化させており、コア技術への投資を集中させている。

それに対して、Ola が多方面に手を出そうとしていることについては、多くの投資家が疑問を投げかけていた。

Ola は過去数ヶ月の間、大規模サービスのローンチで Uber に遅れをとっており(例えばバイクタクシーのように、発表のタイミングでも遅れをとっていた)、業界ウォッチャーは、インドのスタートアップである Ola がこの勝負に敗れるのではないかと予想していた。

メディアに談話を載せる立場でないため、匿名であることを条件に、ある投資家は Tech in Asia にこのように語った。

Uber のような大規模なライバルと争うのであれば、ピンポイントで焦点を絞るべきです。こんなに競争が激化しているのにいくつもの作戦を実行して彼らに勝つのは不可能でしょう。

他の投資家も同意している。

「実験することに問題はありません。しかし、企業のコアとなるサービスに沿ったビジネスに特化すべきです。」ある国際 VC インド部門のチーフはこのように述べている。

Uber がニューヨークで行ったからといって、Ola が食品の配送をインドでやってみるというのは正しくないでしょう。インド特有の事情は何なのかを見つけ出し、それを解決するのが正しく、他社が他国で行った実験をコピーするべきではないのです。

食品サービスには経験が必要

Photo credit: Wikipedia.
Photo credit: Wikipedia.

インドで成功したスタートアップは収益をより高めようと、コア事業以外のビジネスへの参入をこれまでいろいろ試みてきた。

コンサルタント会社 TechnoPak によれば、食品と日用品の売上は小売業の全売上のおよそ3分の2以上を占めており、2020年までには6,860億米ドルに上ると予想されている

また、食品はマージンの高いビジネスであり、利益重視のスタートアップが売上を伸ばそうと安易な選択をすることがある。他の輸送アプリ、たとえばGo-Jekはそこそこの成功を収めているものの、インドではそれが困難であることがわかってきた。

このビジネスは容易ではない。それに加えて、インドの消費者は食品や日用品の買い物には Big BasketGrofers といった専門店を今でも好む傾向にある。

Flipkart は同社の食品デリバリーサービス Nearby を先月終了し、Amazonインドのサービスもまた、これといったトラクションは得られていない。

食品販売は T シャツや携帯電話を売るのとは違います。ただインターネットに食品を掲載するだけでは e コマースストアになることはできません。Big Basket ではオフライン店舗で食品販売を何年も運営しており、サプライヤーやローカル販路に関してノウハウがあります。その経験をオンライン販売に生かしているのです。(Big Basket の CEO、Hari Menon 氏)

ある投資家はこう述べている。

これは一か八かのチャレンジであり、多くの資金がこれまでに投じられています。実験は必要でしょうが、自社のコア事業と関連のないものには大金を投じるべきではありません。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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