お遊びはもう終わりーー投資家の願いは資金を回収すること

VentureBeat ゲストライター by VentureBeat ゲストライター on 2016.3.9

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Vineet Jain氏はエンタープライズ・ファイルサービス企業Egnyteの共同設立者兼CEOで、資本効率のよい企業の設立において20年の実績を持つ。

 via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

via Flickr by “Tax Credits“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

ここ10年間の良い面を振り返ってみると、シリコンバレーのテック企業はドットコムバブルがはじけた後に落ち込んでいた数年間の埋め合わせをするために突き進んでいるようにも見えた。新しいオフィスは見違えるほどに良くなり、セールスのキックオフは素晴らしいイベントになり、ホリデーパーティは豪華以外の何物でもなくなった。しかし残念ながら、このような熱に浮かれていた企業の大半にとって、楽しい冒険が厳しいものになりつつある。

S&P500の代表銘柄で「消費者関連」と考えられているAppleの株価は今月初め、年初来最安値の92.11米ドルをつけた。同社株価の動きはテック市場全体の方向を示している。Twitter、GoPro、Fitbitなどかつてユニコーン・クラブの申し子と言われていた企業が、今年に入って深刻な株価の下落に見舞われ、いずれもIPOでの売出価格を下回る水準で取引されている。さらに悪いことに、原油価格が2003年5月以来の安値となるなど、世界中で商品市況が悪化している。

これにより、当然だがウォール街では目に見える恐怖感が広がっている。企業が投資家の自信を取り戻す方法はただ1つ。それは利回りを生み出せる能力を示すことだ。

これは、最近数週間にわたって株価が低迷している公開企業だけでなく、近く上場を考えている非公開企業にも当てはまる。企業が投資家に一番安心してもらえるのは利益をあげて投資に報いること。今のように、ベンチャーキャピタルが次の投資機会を求めてひたすら流動性を求めている弱気相場の時にそれが言える。

利回りを求めた結果が、成績悪化

商品市況がアンダーパフォームし、テック業界がGoogleやFacebookのようにホームランを放つなか、投資家は非公開市場に機会を見出そうとしてきた。残念ながら、この選択は利益よりリスクの方が大きい。

企業の中には見栄えのするトップライン(営業収益)にしようとユーザ獲得に関心を持つところもあれば、良好なボトムライン(最終利益)にすべく収益性の改善に注力するところもある。その結果、フリーミアムのビジネスモデル、幾度もの資金調達ラウンド、異常なほど競争の激しい市場が生まれた。

投資サイドからすると、これによりベンチャーキャピタル資金への扉が開かれたことになる。VCはスタートアップのエコシステムに資金を投じており、2015年通年で588億米ドル超がもたらされた。 「フリーマネー」が流れ込んでいるため企業の中にはその機会をつかんだところもあるが、損失を出したところもあった。

例えばJawboneはこれまでに10億米ドルの投資資金を獲得し、時価総額は30億米ドルほどに増加していたが、評価額15億米ドルで1億6,500万米ドルのラウンドにまで調達規模の縮小を余儀なくされた。投資家の注目度は大きかったが、一方で期待値も高すぎたのだ。

資本が枯渇しつつある

多くの起業家たちは当初、IPOを「聖杯」として崇めてきたが、今では彼らの多くは公開市場を避けるようになっている。長らく非公開でいようとするのは、VC資金が最終的には枯渇することを意味する。公開される企業が少なくなるにつれて、投資からのリターンが少なくなるため、VCが投じる資金も少なくなるからだ。投資家は苛立ちを感じるかもしれないが、初回の出資をしたときの動機もしぶしぶ認めざるを得ない。

同時に、スタートアップは資金の出所についてますます気を配るようになっている。MattermarkのCEOであるDanielle Morrill氏は、ニューヨークタイムズのFarhad Manjoo氏に対してこの事情をうまく表現している。「もし非公開の資金で2億米ドルを手にできたら、そうですね、ビジネスを理解していない無知な大衆の詮索の目に自分の会社を晒したくないです。」

非公開の資金がお手軽なキャッシュであることは別として、公開市場には1つの恐れがある。CEOは2015年を通して、IPOに際し低めに売出価格が設定されていたのを目の当たりにした。それは取引初日に株価を上昇させて、その後数か月にわたって投資家に自信を与えるためだった。ここで明らかなのは、とりわけ最近のように市況が低迷している時期、公開市場は頭でっかちのS-1(上場申請書)を提出するような企業を支援する意思がないということだ。

基本に立ち戻る

1990年代終わりのITバブルを経験しているくらいシリコンバレーに長くいる私たちは、輝かしいインターネットのスタートアップが生み出した活況の存在を証明することができる。あの勢いは急だったが、落ちるのも劇的だった。ビジネスモデルは管理下に置かれ、高騰した株価は暴落し、キャッシュへの需要は瞬時に消えた。

今回の動きもあの頃のバブルの二の舞だと信じているわけではないが、テック業界は持ち直そうとしているものの長い時間がかかっている。今は起業家にとっては支払いをすべき時、 別の言葉で言えば、投資してくれた人たちに報いる時だ。

1人のCEOとして言えるが、企業に属する全てのステークホルダーを満足させるのは難しいかもしれない。しかしながら、基本を守り、会社のコアとなる価値(キャッシュフロー、利益、持続可能性)に忠実であることが大事だ。2016年に入ってVCが自社のポートフォリオを見直しつつある中、彼らを安心させるのは、どのような投資についても収益性確保への道筋をつけることが最も重要な課題であることだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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VentureBeat ゲストライター

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VentureBeat へのゲスト寄稿の翻訳です。

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