既存のユーザ慣習に沿ったサービスをーーバイクフリマアプリ「RIDE」のチームが語るユーザファーストな開発姿勢

Junya Mori by Junya Mori on 2016.3.24

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ここ数年で、フリマアプリの認知は大きく向上した。日々、テレビCMが放送され、ユーザたちは活発に売り買いを行っている。フリマアプリによって拡大したC2Cマーケットは、新たな市場を開拓しようと動き始めている。

フリマアプリ「Fril(フリル)」を開発しているスタートアップ Fablic が新たにリリースしたバイクフリマアプリ「RIDE(ライド)」も、C2C領域における新たなサービスのひとつだ。

バイクフリマアプリ「RIDE(ライド)」

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「RIDE」は、iOSAndroidで提供されているバイクに特化したフリマアプリ。バイクが多数の写真と車体情報とともに出品され、ユーザはそれを見てウォッチリストに追加したり、気になったことをコメントで聞くことができるようになっている。バイクを買いたいと思ったら購入リクエストを送り、承認されると取引が成立する。

ここだけ聞いていると、既存のフリマアプリと差はないようにも映るが、商材がバイクである「RIDE」では、どんな特徴があるのだろうか。「RIDE」の事業責任者である山本圭樹氏は、

山本氏「バイクは他のフリマアプリで売買される物品と異なり、購入の前に自分の目で商品を確認することがほとんどです。そのため、見て買うことができるサービスになるよう意識し、買いたいバイクが自分のいる場所からどの程度の距離にあるのかがわかる「距離検索」機能などを設けています。」

と同アプリの特徴を説明する。これまでもオークションサービスやコミュニティサービス等を通じて、バイクの売買は行われていた。「RIDE」は、元々存在していた取引行動をより便利にするべく開発されている。「距離検索」機能も、そのひとつだ。

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その他にも、バイクならではの特徴として、売買に関する書類作成や公的な手続きがある。バイクは持ち主が手放す際に車体の廃車手続きが必要(125cc以下の場合)であったり、納車後は名義変更の手続きなどが必要になるなど、様々な手続きが発生する。RIDE」では、こうした手続きの流れをわかりやすく説明することで、取引をサポートしている。

「RIDE」のデザインを担当している割石裕太氏は、こうした工夫は、至るところに施されていると語る。

割石氏「写真の登録枚数を多めに設定できるようにしており、車体の状態も細かく設定できるようにしています。出品時に細かく情報を設定できるようにしておくことで、あとはコメントでやりとりすれば判断できるようになります。」

出品時に細かく情報を設定できるようにすることも、ユーザに購入判断をしてもらう上で重要だ。

山本氏「バイクの売買も、決まった質問が多いんです。たとえば、「自賠責は入ってますか?」「保険はどうなってますか?」など。こうしたよくある質問を、最初の出品時に入れてもらうことで、購入側が判断しやすくなるようにしています。」

バイクの売り買いをかなり便利にしてくれそうな「RIDE」だが、数人の開発チームにはバイクに乗るメンバーはいなかったという。バイクに乗らないメンバーで、どうやってアプリを開発していったのだろうか。

ユーザの慣習に合わせてサービスを開発するユーザフォーカスの姿勢

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割石氏「『距離検索』機能は、正確な住所はいれないようにしているんです。あんまり正確な場所がわかるとバイクが盗まれてしまう可能性があるらしくて。これはユーザに聞かないとわからないことでした。」

デザイナーの割石氏は、そう語る。「RIDE」のチームは、バイクの売り買いに関する手続きについてや、バイクを実際に売り買いする際にどんなことを気にして、どう行動しているのかを、ユーザにインタビューしてサービスを開発していった。

割石氏「『Fril』の開発で培われてきたユーザインタビューの手法は「RIDE」でも採り入れています。ユーザファーストを掲げているサービスから恩恵を受けているな、と感じますね。」

「Fril」を開発してきたスタートアップが新たに開発する「RIDE」では、「Fril」の経験が活きる場面も多い。カスタマーサポートの体制もそのひとつだが、最たる例がユーザファーストな開発姿勢だと山本氏は語る。

山本氏「デザイナーやエンジニアまで、こちらから呼びかけることなく当たり前のようにユーザヒアリングに参加しようとするカルチャーが会社にあります。その文化のおかげで、バイクに乗らない人の集まりでも、バイクユーザに「いいね」と言ってもらえるアプリを作ることができました。」

取材で話を伺っていると、彼らは繰り返し「まずは足元を固めること」という言葉を口にする。彼らは、「RIDE」の開発を始めるタイミングで、将来このプロダクトがどうなっているべきかを話したという。

山本氏「半年から1年くらいかけて、バイク乗りの間で「RIDE」の名前が出てくる状態にしたいと考えています。ちゃんと、ユーザに使ってもらえるアプリにしていきたい。そのためには、まずしっかりとプロダクトとして成立させることを重視しています。上手くいった場合の展開に思いを馳せすぎることのないよう、まずは足元の数字とユーザの反応をしっかりと見るようにしています。これも会社のカルチャーなんだと思いますね。」

足元をしっかりと固めていこうとしている「RIDE」が、まず注力しているのは、中古バイクを買ってきて自分で修理して売っているような業者や半業者の人々にリーチし、「RIDE」へと商品を出してもらうこと。

割石氏「『距離検索』を試して、自分の近くで10、20台のバイクが売っているとわかったら、その人の世界が少し変わると思うんです。そのために、まずはバイクを出品してもらえるようにして、バイクを買いたいと考えているユーザがルーティンでチェックする先のひとつになれたら。」

「RIDE」は、現在はプレオープン期間として、手数料無料で提供されている。フリマアプリによくある、物品などを売買する際に取引の安全性を保証する仲介サービスであるエスクローサービスはなく、個人間で直接やりとりする形式となっている。

直接会って購入を決定するタイプのサービスでは、手数料によるマネタイズではなく、クラシファイド系サービスのようなマネタイズモデルが合っているのかもしれない。「RIDE」のチームは、きっとそのあたりもユーザの反応を見ながらアプローチを変えていくのだろう。

Junya Mori

Junya Mori

モリジュンヤ。2012年に「Startup Dating」に参画し、『THE BRIDGE』では編集記者として日本のスタートアップシーンを中心に取材。スタートアップの変革を生み出す力、テクノロジーの可能性を伝えている。 BlogTwitterFacebookGoogle+

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