Salesforceが指摘する、大企業向けにソフトウェアを販売するのが難しい理由

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 via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
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<ピックアップ>In one paragraph, Salesforce explains why it’s so hard to sell to big companies

法人向けにシステムやソフトウェアを販売するエンタープライズの分野においても、成長中のスタートアップは多い。コンシューマー向け製品を開発するスタートアップは「グロースハック」を駆使してユーザーを拡大することに懸命になるが、販売ターゲットが法人、特に大企業の場合にはこうしたグロースハックの技も効果をなさないことも多い。

その点、Business Insiderの記事が紹介していた、顧客関係管理ソリューションを提供する Salesforceが指摘する「大企業向けにソフトウェアを販売するのが難しい理由」が面白い。Salesfoceが最近、証券取引委員会向けに提出した年次報告書の中で「リスクファクター」として法人顧客への営業の難しさを挙げている。

その内容をかみくだくと、次のようなものだ。

  • 営業サイクルが長く、コストがかかる。大企業の契約は一度取れれば、その後安定するというメリットがある反面、契約がクローズするまで数ヶ月ときには何年もかかることも。
  • ディスカウントへの要求。大企業の契約は一件ごとに大きいため、その分ディスカウントを要求されることも多い。
  • カスタマイゼーションの作業が多い。顧客ごとにシステムやワークフローに合わせて、仕様をいじる必要が出てくる。その作業量は結構多い。
  • 決済に時間がかかり、収益が読みにくくなる。大きい契約であればあるほど、顧客に合わせた製品の調整にも時間がかかり、決済までに時間がかかることも。その分、将来的な収益が読みにくくなる。

特にスタートアップにとっては、大企業との安定した契約は喉から手が出るほど欲しいものであることは間違いないが、その分かかるケアやサポートも多く、契約や決済が完了するまでに考慮するべき要素も多い。

一方で、最近法人向けにも展開も始めた DropboxのCEOドリュー・ヒューストンは、法人顧客を拡大する上で、営業のコストがかさむことはないと言っている。というのも、無料のユーザーベースが巨大なものであれば、企業内の「ボトムアップ」効果で契約が取れるから、という論理だ。そして、営業やマーケティングへの支出が多い競合のBoxについても「我々のアプローチの方がずっと良い」とも言い切る。

法人営業がどれだけ重要で、かつリスキーなものであるかは、DropboxやSalesforceの今後の結果で証明されるだろう。

via Business Insider

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