福岡で開催中の招待制カンファレンス、「B Dash Camp 2016 Spring in Fukuoka」の会場にやってきている。
本稿は最初のセッションの続き。チームづくり、事業づくりときて、最後は起業家の失敗の話だ。大きな失敗は終わりを意味するが、小さな失敗は経験となり次の道のりを作ってくれる。
(登壇者はウェルスナビ代表取締役の柴山和久氏、ソラコム代表取締役の玉川憲氏、ユーザベース代表取締役共同経営者の梅田優祐氏、モデレーターはグリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏)
やはり資金調達関連は不可逆ということもあって、スタートアップには荷の重い話らしい。ユーザベースの梅田氏は、創業期の資金調達についてこのような経験を共有してくれた。
「金融機関出身ということもあって、資金調達については自信もあったんです。でもやはり創業したての頃って心細いんですね。結果的に色んな方にストックオプションを渡してしまったり、方向性が変わったりしてしまって。それで色々な方に相談すると買い戻すべきと言われたんですが、それなりの金額が必要になるわけです。今を逃すと更に大きな問題になるということで買い戻したんです。今思うと先人たちのアドバイスは聞いてよかったです」(梅田氏)。
また、梅田氏はNewsPicksの前にひとつ、間も無くリリースというタイミングで情熱が冷めてしまったサービスというものがあったそうだ。そこで梅田氏はモデレーターの田中氏にどうやったら情熱を継続できるのかと逆に質問する場面があった。
「継続というのは本当に難しいです。ほとんどの人が辞めるので、続けるということに最中力しています。簡単に辞めたり妥協したりしない。成功させるっていうのはよく考えることだと思うのですが、続けることを考える人は少ないかもしれません」(田中氏)。
また、ある程度のお金を持ったことでやる気をなくしてしまう経営者も見てきたという。
「月収300万円の壁っていうのがあるんですね。これぐらいあると、普通の生活をしていて困ることはないんです。その時ですね、多くのベンチャー経営者がやる気をなくしてしまう。満足しちゃうんでしょうね。これを超えて、社会の問題を問いかける、そういう瞬間があるんです」(田中氏)。
なかなか具体的な事例で興味深い。さて、柴山氏の失敗談は結構身近かもしれない。こちらもまた資金調達時の問題だ。
「シリーズAラウンドで大失敗したんです。何かというとリード投資家をきちんと決めなかった。周囲にいたベンチャーキャピタルがいなくなってしまったんです。投資家もリードが決まってないチームに賭けてみようという気にならなかったんでしょうね。一緒に入ってくれる投資家も柴山は腹が決まってない、本当にできるのだろうか、と感じたんではないでしょうか」(柴山氏)。
浪花節的かもしれないが「腹を決める」という部分は案外見落としがちで、一番大切な部分だったりする。
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