アジアの有名VC5人が語る、スタートアップの資金調達トレンドの変化〜Asia Leaders Summit 2016から

Tech in Asia by Tech in Asia on 2016.3.6

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これはインドネシア・バリ島で開催された、Asia Leaders Summit 2016 の取材の一部だ

Asia Leaders Summit 2016 のハイライトのひとつは、アジアに拠点を置く5つのベンチャー投資家によるディスカッションであった。Sequoia Capital の Tan Yinglan 氏、Beenext の佐藤輝英氏、Venturra Capital の Stefan Jung 氏、YJ Capital の平山竜氏、Digital Media Partners の Dmitry Levit 氏が登壇した。

このディスカッションのモデレーターを務めたのは、KK Fundの Alan Kuan Hsu(徐冠華)氏であり、現在の関心事から新年の抱負に至るまで多くの話題に触れた。そこでわかったことは、好む好まざるにかかわらず、ベンチャーキャピタルは今後20年にわたり、大きくは変わらないだろうということだ。

アメリカのテックスタートアップの価値暴落はアジアに影響するか?

記録的な資金調達ラウンドがアジア各所で発生した飛躍の2015年を終え、今誰もが抱いている疑問は、2016年がスタートアップにとって厳しい年となるかであろう。グローバル経済は冷え込むとみられているし、昨年アメリカでは大手テクノロジー企業がつまずいているのはご存知の通りである。

アジアのVCは、アメリカで起きていることはこの地域にそれほど大きな影響は及ぼさないとみている。

私は全く心配していません。私がもしアメリカの投資家だったら不安になったでしょう。アジア企業を見れば、健全なバーンレートであり、健全な財務状態であることがわかります。深刻なリセッションの状況下であっても、私は不安にはならないでしょう。(Stefan Jung 氏)

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Zenefits は昨年末、バリュエーションの切り下げを余儀なくされたスタートアップの一つだ。

Stefan 氏は、投資家心理が投資に影響を与え、貧弱なマクロ経済展望が、より慎重な投資判断につながることは認めた。

2~3年前に比べ、収益性がよりしっかり検討されています。(Stefan 氏)

Tan Yinglan 氏はそれに付け加えて、保守的な雰囲気に影響され、グロースラウンドがクローズするのに時間がかかるようになったが、シードラウンドへの影響はそれほど大きくないと述べた。

平山竜氏は、波及効果の可能性を指摘した。

アメリカで現在起きていることであれば、数年のうちにこの地域にも波及する可能性はあります。良いニュースとしては、皆さんには準備する時間があり、ダウンラウンド(企業価値が下がってしまうラウンド)回避のための対策を練ることができます。今のうちにできるだけ多くの資金を確保して、先に進むようにしてください。

彼は警告を発しつつ、スタートアップに手堅いアドバイスを送った。

スタートアップにとって、他地域へ展開する最良のタイミングはいつか?

「経済減速」に関する大きな疑問は別として、議論は、アジア地域のスタートアップを出資後にサポートすることに関する各論に入っていった。具体的には、スタートアップが新しい地域に展開するための条件とは何だろう?

Dmitry Levit 氏はシンプルなアドバイスを送った。

CEO が各地を回れる(余裕がある)くらいにマネージメントが整っていることが必要です。

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Dmitry Levit の Digital Media Partners, は、SNSアプリの Migme に出資している。2014 にはオーストラリア証券取引所に上場を果たしている。

Yinglan 氏は、従業員数から地域展開を判断する経験則を見出したと述べた。

10人未満のチームであれば、1つの国にとどまるべきです。2桁の従業員数であれば2ヶ国、3桁であれば3ヶ国です。

Stefan 氏は、彼にとって従業員数はそこまで重要ではないという。彼が重視するのは3つの要素——ビジネスモデルの透明性、設立者の資質、十分な資金があるか、資本増強が確信できることだという。

HappyFresh については、複数の都市でローンチすることを即決しました。双子の研究のように、私たちは異なるモデルのテストをお互いに行いました。

Yinglan 氏は、Sequoiaでの職務においてインドの企業がこの地域に拡張するのを援助した。

私たちが学んだことは、一つの街から2つ目に拡張することは大変だということです。一度拡張性のあるモデルを作ってしまえば、多地域展開は簡単になります。シナリオをなぞればいいのです。

ここでの教訓は、よほど経験豊富なチームでない限り、スタートアップが海外に展開するには、ひとつの市場で十分にビジネスモデルの有用性を証明し、また、チームが成熟しているべきだということだろう。そうでなければ、ビジネスモデルの欠陥が他の場所でも繰り返されてしまう。

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食料品配達スタートアップの HappyFresh。Stefan Jung 氏は現在のところ同社に投資をしてはいないが、積極的にアドバイスをしている。

他の誰にもない、アジアでの投資の原理原則は?

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この質問は、Peter Thiel 氏の新説と相まって、壇上の5人のVCの頭を悩ませた。

佐藤輝英氏はユニークな見方を披露した。

私は自分自身がVCだと考えていません。自分の起業家としての出自から、自分自身を(投資したあらゆるスタートアップの)共同設立者と考えてしまいます。

Dmitry 氏がこの質問への回答を始めた。

2010年には、東南アジア全体への展開は、投資テーマとして一般的ではありませんでした。しかし状況は変わりました。私たちは今では、東南アジア企業がグローバル展開する状況を注視しています。しかし、展開先はラゴスであったり、ナイロビやメキシコシティであり、東京やベルリンではありません。

グローバルサウス(南半球の発展途上国)に展開する Garena や、アフリカ全土、中東、アフガニスタンで展開するMigme が、数十億米ドルのビジネスを獲得している状況を見てください。私はこれを、他社がまだ気づいていない有用な戦略の一つだとみています。

Stefan 氏は「グローバルサウスが次なるフロンティアである」という見方には異議を唱えた。

(Rocket Internet 共同創業者で CEO の)Oliver Samwer 氏は、時間を戻せるのなら、もっと少数の国に絞るべきだったと言っています。彼がケニアとイランに進出した結果の教訓です。Garenaは、完全にデジタルだからうまくいったのです。アトム(つまり、モノとしての製品)があると、それは困難になります。

VC にとって時代は変わりつつあるか?

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Dmitry 氏の思慮深い発言に刺激され、ディスカッションはそれに関連する方向に進んだ。VC自体は変わりつつあるのか?

Stefan 氏は、3年前にはなかった状況として、VC企業同士の競争が増加していることを挙げた。

有力な設立者であれば、3~4枚のタームシートの選択肢があります。パワーシフトが起こっており、VCは自社がいかに優れていて、スタートアップにより大きな価値を提供できるかを示さなければなりません。

Dmitry 氏はさらに一歩踏み込んで、次のように語った。

根本的な質問を聞いたことがあります。VCは10年後に存在しているかということです。現状の枠組みでは、私たちに決定力が集中しています。少数の人が、次の数十億ドルの行先を決めています。どうしたら私たちVCがいなくなるでしょうか?

投資家が有望な企業と接触するより良い安価な方法ができれば、そうなる可能性はあります。クラウドソーシングや Angellist のような手法は注目の価値があります。しかし、Angellistはまだ、真に市場を揺るがしているほどではありません。私たちはこれが実際に効果を及ぼし始めるまでに20年はかかるとみています。

グローバルな視点から、起業家に向けたアドバイス

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ということで、VC は今のところ存続するが、設立者が多くの選択肢を持つようになった現在のエコシステムにおいて、VC は企業に対して、より多くのサポートを行う必要があるだろう。VC がたいていはより広い視点というアドバンテージを持っている前提で、設立者に与えられる実用的なアドバイスは何だろう?

考えを大きくすることです。グローバルなサクセスストーリーをもたらすような飛び抜けた考えを持てば、チームの野望も大きくなります。ヨーロッパで言えば、SoundcloudやSkypeなどが例に挙げられますが、東南アジアでそのようなものを見たことはありません。(Stefan 氏)

彼は創業者に対して、国や地域でトップとなるより、グローバル企業を立ち上げることを勧める。

平山氏は実践的な見方を示した。

私のアドバイスとしては、コピーキャットもすばらしいと思います。Yahoo! Japan は良い例です。私たちはYahooからスタートして、日本向けにローカライズし、独自のビジネスを作り上げました。模倣を恥ずかしがることはありません!

Yinglan 氏はスタートアップは予測不可能で、数式が通用しないことを参加者に念押しした。

私たちのような人間の言うことを聞かないことです。VC はとにかく分析に重きをおいて、あらゆる失敗の可能性を考慮します。ビジョンがあるのなら、誰も信じないことでも、実行すべきです。(Yinglan 氏)

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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