会社の始め方に正しい一つの答えは存在しない【寄稿】

ゲストライター by ゲストライター on 2016.3.9


Sam-GerstenzangSam Gerstenzangさんによる寄稿記事です。SideWalkInc.を創業。@Imgurのプロダクトマネージャー。@a16zの投資チームに所属。そして、その先へ。Samさんの活動は、個人サイトとTwitter(@gerstenzang)でフォローできます。本記事は、Mediumへの投稿記事を許可を得て翻訳したものです。元の英語記事もどうぞ。


image via. Flickr

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これまでの人生で、3回だけ起業しようと思ったことがある。スタンフォードを卒業した後、a16z(アンドリーセン・ホロウィッツが立ち上げたVC)を辞めてから、そしてImgurを辞めた後だ。毎回、今こそがその時だと思った。でも、その度に自分のアイディアのエクセルを見直し、そこにあるアイディアが上手くいかないであろう何らかの理由を見つけた。時には理由すらなく、ただどうでもよかった。

中でも、Imgurを去った後の濃密な数ヶ月間は特に厳しいものだった。一時は、まるですべてが揃っているかのように思えた:素晴らしい共同ファウンダー、期待できそうな初期雇用、資金調達、そして有望なアイディア。でも僕は、疑いの余地を晴らし、最後の決め手となる感情を見つけられずにいた。結局、それを見つけることはできなかった。ファウンダーになることを軸にした自分のアイデンティティーの中核を疑い始めていた。

資金調達の記事を見ては、「そのためにこんなに調達したのか?」と感じたり、3年間をかけて作っているという、くだらないプロダクトについてそのファウンダーと話したりした。彼らにとって、何が決め手となったのだろう?真の確信を得ることなくスタートを切ったのか?それとも、ただ彼らは僕より説得されやすいのか?最悪のシナリオは、僕がファウンダーとしての素質を持ち合わせていないというものだ。

Evの時のように、何が僕を走らせ続けるのかについて考えた。共同ファウンダーが辞めてしまい、Evにはトラクションも一切なかった。友人のNoamが言うように、そのアイディアに必要なスタミナが自分にあることをどう確信できたのだろう?

「自分が情熱を感じるものをつくれ」というアドバイスは、結果として比較的役立たずなアドバイスになってしまう。チームをつくったり、営業の交渉を成功させることには情熱的になれても、資金が底を尽きて社内一の従業員が辞めたばかりの時、馬やコスメや高級食料品といったものを大して面白くは感じないかもしれない。

また別の友人のAlokは、僕にこう言ったことがある。情熱とは、成功から来る物だと。彼は正しいと思う。君は、どうにかして誰かが君のプロダクトを愛し、「あと一つだけ」と機能追加を懇願されるような状態に持っていく必要がある。右肩上がりの数字は、君にやる気を起こさせてくれる。

でも、その何かがビッグになる前にどうやってそれを見極める?もし、君が巨大で重要なチャレンジを受けて立ったなら、どこから始めるのかを決めるのは難しい。小さなチャレンジなら、それをどう大きくしていくのかを考える難しさが伴う。重要なチャレンジの場合、誰も君が成功するとは思っていない。小さなチャレンジの場合、君が成功してもそれを誰も気に留めない。

AirbnbとかWhatsappの立ち上げ話を読んで、そこには魔法のような瞬間、少なくともそれが最初からあるわけではないことに気づかされる。それが、絶え間ない努力をして初めて得られるものだということを。Facebookのチームですら、リリースしたFacebookが急成長を見せる中でも、まだ別のプロダクト「Wirehog」に取り組んでいた。彼らはまだ、Facebookがどれだけ希少な存在かに気がついていなかった。

AirbnbのBrianは、こう言っている:

エア「ベッド&ブレックファスト」が人気を博すだなんて、咄嗟のインスピレーションが湧いたわけじゃない。むしろ、僕らは当初違うプロダクトを作り始めていたールームメイトの検索ツールだ。これに4ヶ月を費やし、そこで初めて「roommates.com」がすでにこのサービスを開発済みであることに気がついた。roommates.comというURLを確認するまで気がつかなかったなんて、どれだけの時間を無駄したことか。

Airbnb、Whatsapp、Facebook:彼らはどれも、自分たちのアイディアがどれだけ巨大なものかに気がつくまでに時間がかかっている。では、何が彼らを走らせ続けたのか?間違いなく、強い決意があるだろう。他者から背中を押されたこともあっただろう。僕自身、一杯のコーヒーや友人がかけてくれた気軽な言葉が、僕の1日の良し悪しを大きく左右することに驚いた。これが、シリコンバレーが上手く回っている理由の一つだと思う:そこにはノーと否定してくる人間が少ない

Whatsappの場合、もし以下のやりとりが少し違う方向にいっていたら、その存在ごとなくなっていたかもしれない。

Acton(同社の共同ファウンダー)とアルティメットフリズビーをした1ヶ月後、Koum(共同ファウンダーでCEO)は、そろそろ店じまいをして仕事を探すべきであることをしぶしぶ認めた。Actonは、立ち止まってこう言った。「今やめるなんてバカだろ、あと数ヶ月やれよ。」と。

もしかすると、Jeff Bezosの「後悔を最小限にするフレームワーク」のやり方が正しいのかもしれない。でも、幾つものもろく、生まれて間もないアイディアから一つを選ぶことを少しも簡単にはしてくれない。今できる最良のことは、その選択をほんの少し遅らせることかもしれない。そうして僕たちは、いつまで経っても何も始めないことを正当化するのかもしれない。

僕は、「ただ会社を始めるため」に会社を始めたっていいと思う。そこに、正解が一つだけあるとは思わない。シリコンバレーは、ミッションを軸にしたスタートアップが大好きだし、後付けでファウンダーの神話を作り上げる。

でも、大きな会社は、誰かが飛び込んだからこそ始まった。彼女は勇気をくれる発言に耳を傾け、会社がプロダクトマーケットフィットにたどり着くまで、無理だと否定し続ける奴らを無視し続ける。これは、いつだって変わらない。

僕はまだ飛び込めていないけれど、いつかきっと飛び込んでみせる。

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(翻訳:三橋ゆか里)

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