2016年注目トレンドのバーチャルリアリティーー欧州でVR映画館が現実に

Paul Sawers by Paul Sawers on 2016.3.14

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Above: The VR Cinema Image Credit: The VR Cinema

上: The VR Cinema
Image Credit: The VR Cinema

バーチャルリアリティ(VR)は先月のMobile World Congress(MWC)で大いに話題となっていたが、VRが2016年のトレンドになるのは明らかだ。この主張を裏付ける動きはいくつもある。SamsungとSix FlagsはVRのジェットコースターを作ろうとしているし、HTCFacebookGoogleIntel、さらにはAppleといったあらゆるテック企業がVR市場でせめぎ合っている。

VRが世界を席巻しようとしているという考え方に信憑性を与えている最新の業界は映画だ。今週発表されたニュースによると、オランダを拠点とするある企業が世界で初めてというバーチャルリアリティの常設映画館を導入するという(編集部注:原文掲載3月5日)。昨年に欧州でポップアップのシネマツアーで成功したのを受けて、文字通りの社名であるThe VR Cinemaがビジネスとしてアムステルダムにオープンさせるものだ。同様の常設アウトレットはベルリン、ロンドン、バルセロナ、パリでも予定されている。

それでは、VR Cinemaが提供するナイトライフで期待できるものは何だろうか?

そう、おそらく予想された通り、従来の映画館のスタイルとは随分異なり、暗いスペースに並べられた椅子に全員が座って前方を見るというものではない。部屋には回転椅子が置いてあり、それぞれにSamsungのGear VRヘッドセットとヘッドフォンが備え付けられている。

Above: The VR Cinema, Amsterdam: Opening event

上: The VR Cinema、アムステルダムのオープニングイベント

この体験に馴染みのない第三者からすると、たくさんの人が皆違った方向を見ている不思議な光景を目の当たりにすることだろう。おそらくそれぞれが違った方法で別々の映画を観ているのだ。全員が異なる体験をしているという点で、ある意味、サイレントディスコのようなものと言えるだろう。

上: The VR Cinema、アムステルダムのオープニングイベント

上: The VR Cinema、アムステルダムのオープニングイベント

水曜日から日曜日まで営業しているVR Cinemaの料金は作品あたり約12.50ユーロ(13.70米ドル)で上映は1時間、1日に400人を収容できる。これはVRの映画なので、映画館で観るような話題の最新作ではない。同社が提供しているVR映画のパッケージは全体で約35分で、 「VRが用いられる様々なエンディング」を観せられるよう作られているという。各ユーザが異なる体験をするという方向性に拡張できるかもしれないが、今のところはそれぞれが概ね同時に同じ映画を観る形となる。

これを一種の映画と呼ぶのは、映画という概念に支障をきたすかもしれない。映画館とは通常、ソーシャルな体験だからだ。夜、仲間と一緒に2時間の映画を観て、鑑賞後にストーリーや演技について良いところ悪いところをあれこれ話し合う。これがVR Cinemaの場合、話題の中心は映画そのものというよりもテクノロジーやバーチャルな体験となりそうだ。

それこそまさに重要なポイントなのだ。VRシネマには、寝室で決して再現できないようなユニークな特徴が何もない。例外はまだVR機器を持っている人が少ないということで、その意味では、バーチャルリアリティは主流になるにはまだ時間がかかりそうな駆け出しのメディアなのである。だから実際のところ、一定の時間テクノロジーを理解させてくれる機器を使用するためにお金を払っているにすぎない。

The VR Cinema

上: The VR Cinemaでのセットアップ

VRは現在ちゃんと存在しており、からくり技術でもないことが明らかになってきている。2016年はこのメディアがブレイクする年であることが証明されるだろう。Mark Zuckerberg氏とFacebookは現在、VRの可能性を信じて大きな期待を寄せており、この動きは無視できない。しかしまだ初期段階にあり、ゲーム以外の応用事例やユースケースはトライアル段階で、様々な方法で実験がなされているところだ。

「VRは次のプラットフォームです。そこでは誰もが好きなことを作り体験することができます」と、Zuckerberg氏はMWCのスピーチで述べた。「現在の用途はほとんどがゲームです。でもそこに進化がありますので、FacebookはVRに多大の投資をしています。当社は新たなソーシャル体験を提供できるよう取り組んでいます。VRは次のソーシャルプラットフォームになろうとしているのです。」

さらに興味深いことに、Zuckerberg氏はVRがゲーム以外にも日常となり得る数々のシチュエーションについて語った。 「(バーチャルな)キャンプファイアーの前に大勢で座って、好きな時に友達と語り合えるようなことを想像してみてください。また、好きな時間に友達とプライベートシアターで映画を観るといったこともできます。」

以上の話は、映画でのVR利用法について大きなヒントを与えてくれるかもしれない。たくさんの人がある特定の場所に行ってそこで頭にヘッドセットを付けるのではなく、自身のプライベートな空間で同じことをすればいいのだ。「ソーシャル」な側面というのは、それが同じ部屋であれ離れた場所であれ同じものを観るのに友達が集まるところにあるのだ。

「19世紀の終わりに最初の映画的な見せものが生まれた時、映画が現在あるような、最も重要なコミュニケーション、エンターテインメントの手段になるとは誰も思いませんでした」と、VR Cinemaの設立者であるJip Samhoud氏はVentureBeatに対して語った。「バーチャルリアリティもサービス提供という意味で同じようになると思います。」

「私たちは当初、いろいろな都市や国でポップアップ版をお見せしましたが、いつでも最新のVR映画を楽しんでいただけるような常設の映画館をオープンするという決心に至るほどのど大きな成功を収めました。他のところについては、映画上映に最適の場所を探しています。ベルリンの立地はほぼ確定しています」と述べた。

テクノロジーはすでにそこにある。あとは、マスマーケットのVR体験に対する需要がどれくらいあるかを調査するかどうかだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

Paul Sawers

Paul Sawers

ロンドンを拠点に活動するテクノロジー・ジャーナリスト。2010〜2014年、The Next Web で書くべきすべてのことを書いていた。VentureBeat では、ヨーロッパに焦点を当てつつ、世界中のニュース、スタートアップ、テックを取材。

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