世界のスタートアップ250社が競った #PioneersAsia 250で、パーソナルモビリティの「WHILL」が優勝

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2016.3.23

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優勝し、ステージ上でシャンパンの栓を勢いよく抜く WHILL の杉江理氏(中)と、Pioneers CEO の Andreas Tschas 氏(右)

本稿は、Pioneers Asia 2016 の取材の一部である。

23日、東京で開催されている Pioneers Asia 2016 で、250社から選ばれるピッチ・コンペティション「#PioneersAsia 250」の決勝が執り行われた。メインのアリーナーステージではファイナリストに選ばれた5社がピッチ、パーソナルモビリティの WHILL が優勝した。

決勝で審査員を務めたのは、

  • Jay Onda, Yamaha Motor Ventures
  • Lalitha Wemel, Techstars
  • Holly Liu, Kabam
  • Dirk Van Quaquebeke, Beenext
  • Marvin Liao, 500 Startups

…の皆さん、また、Pioneers Asia の Chris Wells と Lisa Sumiyoshi が司会を務めた。

【優勝/チャレンジャー賞】WHILL(日本)

副賞:15,000ドルの資金提供、Salesforce Ventures から優先的な投資機会を受ける権利

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WHILL は、車椅子を新しくするパーソナルモビリティを開発。昨日、WHILL の Model M が、アメリカの FDA(食品医薬品局)から認可され、医療器具として販売できるようになった。WHILL が事業を開始したのは2012年のこと。創業者の杉江理氏が、車椅子利用者の「2ブロック先の食料品店に行くのもあきらめなければならない」という一言を聞いて開発が始まった。

位置のトラッキング、遠隔でのメンテナンス、自動運転が可能。羽田空港、シンシナティ空港、いくつかの Hyatt ホテル、三越の店舗などにも導入されており、アメリカ全土に40社以上の流通パートナーを擁する。サンマイクロシステムズ共同創業者の Scott McNealy を含むエンジェル投資家、日本・アメリカ・台湾の投資家から3,000万ドルを調達している。

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アメリカの FDA(食品医薬品局)に続き、今年6月には CE マーク(EU における安全基準マーク)を認可取得し、ヨーロッパ市場への進出を計画している。

なお、WHILL はあわせて「野村賞」も受賞。野村ホールディングスが主催する「Investment Forum 2016 with CEOs(東京)」「Investment Forum Asia 2016 (シンガポール)」に招待される。

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【90秒ピッチ賞】Swie(スイス)と Parkbob(オーストリア)

副賞:オーストリアへの渡航と3週間の滞在、ブリーフケース、IMJ Investment Partners によるメンタリング

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ファイナリストではないが、アーリーステージ向けのスタートアップ枠である「Pioneers 90 Seconds Pitch」の枠からは、Swieio と Parkbob の2社が選ばれた。

Swie は、ハードウェアのためのオープンソース・プラットフォームで、プリント基盤の小ロット生産を高精度かつ低価格で実現する。チュートリアルに従って、基盤回路のデザインをアップロードするだけで製造が可能だ。

Parkbob は駐車場情報を提供するサービス。ドライバーはモバイルアプリを使って駐車場を探すことができ、検索結果には、その時点でのリアルタイムの空満車状況が反映される。GPS 連携で近隣に駐車場があれば、プッシュ通知を受け取ることができる。今後、サービスを展開する地域を、ヨーロッパで現在の8都市から25都市に拡大する計画。先月、Pioneers Festival の主催者 Pioneers が運営する VC である Pioneers Ventures から25万ユーロを資金調達している。

優勝には至らなかったものの、ファイナリストに残った4社は以下の通り。

MainTool(スペイン)

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MainTool は、すべての〝普通の〟腕時計をスマートウォッチ化するスタートアップ。スマートウォッチと同様の機能を持つストラップを開発。14日間分以上のデータストレージ、20日間以上耐久する電池、アラーム、SMS、皮膚の温度測定、加速度計などを備える。腕時計メーカー向けの B2B ビジネスでマネタイズ。スイスやドイツの50社以上の腕時計メーカーにデモしたところ、80%以上からポジティブなフィードバックを得られた。

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MIT Media Lab のほか、医療分野への応用も模索し Stanford Medicine Lab とも協業。将来的には、Fossil や Swatch などの腕時計メーカーによる買収を期待。

Molcure(日本)

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世界には3万種に及ぶ治療ができない病気があり、新薬の開発コストは1件につき10億ドル以上と言われる。抗体ライブラリを参照し、対象となるウイルスを選定、それを培養してテストするというプロセスに時間と金がかかるからだ。Molcure が開発したプラットフォーム「AbtracerTM」では、人間の血液から取り出した抗体ライブラリをもとに、次世代シーケンシングと人工知能を使った分析により、従来よりも10倍速い抗体医薬品開発を実現する。

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日米のバイオテクノロジー企業や大手製薬会社と、フィージビリティスタディの契約を締結。先月開催された、1776 Challenge Cup の東京予選でも、ファイナリストに選出された。

Moneytree(日本)

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Moneytree は、分散している金融情報の集約を助けるアプリを開発。クレジットカード、デジタルマネー、顧客優遇カード、銀行などのウェブシステムと連携、人工知能により自動分類され、アグリゲーションが可能になる。2013年、2014年の二度にわたり AppStore のベストアプリに選ばれる。同社の開発した MT Link を使えば、日本にある2,400以上の金融機関のデータに API アクセスが可能になる。

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現在、マスターカード や IBM をはじめ、パートナー10社と提携。また、みずほ銀行とも提携した。Moneytree は現在、日本でのみ、日本語と英語で利用可能だが、CEO の Paul Chapman 氏は、(アメリカなどではない)他の国への海外展開を計画していると語った。

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Naio Technologies(フランス)

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Naio Technologies は、2011年に3人の共同創業者が始めたスタートアップ。レーザーやカメラを搭載した、農業を自動化するロボットを開発。少ない人数でも、広大な土地で農業を営める環境を提供する。このことにより、農薬に頼らない健康的な農業を営むことも可能になり、農家の手間を減らし収入を増やすだけでなく、消費者にとっても身体に良い野菜が提供されることになる。

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先月、300万ユーロを資金調達。アメリカやアジアへの市場進出を模索中。数ヘクタール程度の広さの標準的な農家の場合で、Naio の農業ロボットを購入後、せいぜい3〜5年間使えばコストを回収できるとしている。

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