調達額は目標の20倍超、金属製高品質3Dプリンター「Trinus」のKickstarterが残り期間わずか

SHARE:

Trinus-video

現在市場に出回る500ドル以下のDIY型3Dプリンターには、悔しい思いをさせられた人は少なくないのではないでしょうか。パーツが揃っているのかを確認できないくらい大量の部品を組み立てなければいけなかったり、やっと使えたと思ったら廃棄プラスチックでノズル部分が詰まってしまったり。また、そもそも3Dプリンターそのものが軽量すぎて高速プリントに対応できないなど、トラブルが尽きません。

そんな残念をなくしてくれる3Dプリンターが、Kickstarterでプロジェクトを展開中の「Trinus」です。プロジェクト終了が間近に迫る中、これまでに2,170名を超える支援者から100万ドル以上を集めています(2016年4月25日時点)。これは、目標調達額5万ドルの約20倍。既に完売してしまいましたが、超アーリーバードなら一台199ドル、現在支援できるプランは299ドル〜Trinusを購入することができます。

安定性、正確性、耐久性に優れた「Trinus」

Trinus

Trinusのインダストリアルデザイナーである Bojan Smiljanicさん自身も、過去に3Dプリンターの組み立てに何時間と費やした結果、結局あきらめてしまったことがありました。2,000〜5,000ドルを支払えば、この苦労はなくなるわけですが、試してみるのには余りにも高額です。

Trinusは、高額3Dプリンターと同レベルの性能を持ちながら、価格は圧倒的にリーズナブル。フレームから内部の部品に至るまでプレミアムな金属パーツで出来ているため、頑丈です。もちろん、内部にも金属パーツが使われているため、使うたびに点検する手間はありません。また、産業機器に見られる単軸スライドを使った安定構造で、1秒70mm、最速1秒150mmの印刷スピードで走ります。

またTrinusの3Dプリントヘッドを取り外すことで、レーザーエングレーバーに早変わり。2016年末までに3つのヘッドの発売を目指しており、現在はデュアルエクストルーダー(複数のフィラメントの混合用)、ペーストエクストルーダー(チョコレートのような粘りけのある物質でのプリント用)、CNCルーター(木材や金属の切削用)の設計中です。

Trinus-laser

社名は3Dプリンターの父 小玉秀男氏に由来

Trinusの開発会社である「Kodama」。Kodamaという社名は、1981年に世界で初めて3Dプリンターの実用プロトタイプを開発した日本人研究者 小玉秀男氏に由来しています。また3Dプリンターで物が少しずつ造形されていくことと、木が空高く伸びていく様子を重ねて「木霊」という意味も込められています。

「私たちは、高品質なパーツ、良質なプリントクオリティー、そして簡単にセットアップできる3Dプリンターを作ろうと立ち上がりました。Trinusを受け取った人は、それを40分以内に組み立てることができます」。(Bojan Smiljanicさん)

Kickstarterのプロジェクトが終了した後、Trinusを製造するのは世界でも最大規模の製造メーカー「Flextronics」です。完成したTrinusが支援者のもとに届くのは、2016年8月。Trinusのような高性能で実用性が高い3Dプリンターの登場で、今後、私たちの生活は大きく変わっていくはず。

「3Dプリンティング技術のスピードはどんどん高まっています。将来、今日の製造工程の多くが3Dプリンティングに取って代わっていると思います。低速で高額なツールを使って射出成形金型したり、時間がかかるプロトタイピング技術は減っていき、いずれ消滅するでしょう。消費者が持つ特定のパーツや製品ニーズに、ものの数分で完成されたもので応えられるような時代になるはずです。今後、この技術の進化が楽しみです」。

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する