750以上の金融機関の住宅ローンを比較検索できる「WhatzMoney」が約4500万円を資金調達

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WhatzMoney代表取締役 前田一人氏
WhatzMoney代表取締役 前田一人氏

「フィンテック」は、いまやブームとも言える状況だ。フィンテックは、金融領域におけるテクノロジーを指した言葉だが、一口に「金融」といっても、株式投資、投信、レンディング、ローン、家計簿など、その領域は様々だ。

複数ある領域の中でも、「住宅ローンこそ、日本のフィンテックが解決すべき課題なんです」と、WhatzMoney代表取締役の前田一人氏は語る。

WhatzMoneyは、2015年11月に創業したばかりのスタートアップ。現在、住宅ローン比較検索サービス「WhatzMoney」を開発している。同社は2016年3月末に、GenuineStartupsをリードインベスターに、スローガン・コアント、ヒトトキインキュベーターの計3社から出資を受けたことを明らかにした。

筆者が前田氏について初めて記事で触れたのは、これよりさらに遡る。前田氏は、2014年10月にインキュベイトファンドが開催する起業家と投資家の合同合宿「IncubateCamp 7th」に参加していた。

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当時の最終プレゼンでは、お金のキュレーションメディアとお金の偏差値チェックを組み合わせたサービスというアイデアを発表していた前田氏。その後、紆余曲折を経て、現在のサービスの形へとアイデアはブラッシュアップされていき、今日へと至る。

前田氏が一貫しているのが、「金融」という領域で、人々の負担を減らそうという姿勢だ。

前田氏「新卒でキーエンスに入社しました。25歳のころ、結婚を機に保険や住宅ローン、株式投資など、必要に迫られて資産運用を考えるようになりました。わかったことは、自分に全くそういう知識がないということでしたね」

そう前田氏は当時のことを振り返る。その後、前田氏は独学で金融についての勉強を開始。いつのまにか、金融が趣味のようになっていたという。

前田氏「本業が別で、金融を趣味にしているなら、金融を本業にしてしまえばいいんじゃないか。そう考えて、住友信託銀行へと転職しました。住友信託銀行では、個人向けの営業と法人融資を経験しました」

投資信託には詳しくない人に対して、投資信託の商品を売る。前田氏が営業を行っていて、違和感を覚えた瞬間だった。同氏は、金融における情報の非対称性をなんとか解消できないかと考え、少しずつ起業を意識し始めた。

前田氏「起業もぼんやりと選択肢に登り始めたタイミングで、ふとスマートフォンがかなり普及していることに気づいたんです。自分は、ラガードな人間なので新しいものに触れるのは遅いのですが、そんな自分でも電車に乗ってほとんどの人がスマホを触ってる光景を見て、さすがに「これは来るな」なと思ったんです」

テクノロジーに関しては知識がなかった前田氏は、デジタルハリウッドに入学。渋谷校にて、若者に混じり、スーツ姿で仕事終わりに勉強する日々を送った。35歳で会社を辞め、モックアップを持って「IncubateCamp 7th」に参加した。

キャンプ参加後は、オンラインのファイナンシャルプランナーサービスや保険の切り替えチャットサービス等、アイデアは変化し続け、2015年4月ごろに現在の住宅ローン比較検索サービスという形に落ち着いた。

WhatzMoney

WhatzMoneyでは、750以上の金融機関が提供する16,000を超える住宅ローンを検索して比較することができるようになっている。サイトトップから、マイホーム価格、頭金、借入期間、マイホーム都道府県、マイホーム市区町村、新規借入か、借り換えかを選んで検索する。

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検索後、条件にあったプランが、総支払額、毎月返済額、初期費用、金利でソートして表示させることができる。WhatzMoneyでは、検索結果がわずか数瞬のうちに表示され、「最速最多網羅がうちの強みです」と前田氏は語る。

前田氏「住宅ローンは、大きな買い物であるにも関わらず、慎重に選ばれていないと考えています。プランをどう選ぶかによって、1000万円も余分に支払うこともあり得るんです。WhatzMoneyでは、初期費用、金利、事務手数料、総支払額など一般の方々ではアクセスすることが難しい情報も表示し、お得な決断をサポートします」

WhatzMoney2

現在は、提携金融機関への送客により、売上を上げている状態だ。適切な情報へとアクセスできるようにした後は、自分の情報をサイトに入力すると、最適なプランが提携の金融機関からレコメンドされるなど、プランの申し込み最適化へと着手していく予定だという。

さらにその先には、住宅以外のローンや、保険など、別の金融商品の検索サービスへと横展開していくことも視野に入れている。サービスの性質上、ユーザの利用頻度が高いものではない。そのため、複数のサービスにまたがって展開し、プラットフォームとしてユーザの利用頻度を高めていくことが重要だ。

WhatzMoneyが勝負を仕掛けている領域は、スピードが重要になる。そのため、アクセラレータプログラム「Supernova」に参加し、そこで繋がったGenuine Startups、スローガン・コアント、ヒトトキインキュベーターの3社から出資を受けた。

調達した資金をもとに人を採用し、現在前田氏を含め2名で行っているという開発体制を強化し、広告宣伝なども行っていくという。

長い期間、自己資金で挑戦を続けてきたスタートアップが、資金調達を行い、仲間を集めて、次のステージへと挑戦の舞台を移す。

WhatzMoneyのこの先の展開にも期待したい。

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