ABBALabが「あらゆるものづくりを支援する」15億円ファンドを組成、小笠原氏インタビュー

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2016.5.13

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Internet of Things(以下、IoT)およびInternet of Everything(以下、IoE)関連の事業に挑戦するスタートアップを支援するABBALabは5月13日、新たな投資ファンドとなるABBALab IoE ファンド1号投資事業有限責任組合を組成したことを発表した。

ファンド規模は15億円(訂正:ファンド資金の調達表現に一部誤りがありました。訂正させていただきます)で運用期間は10年。LP出資に参加しているのはMistletoe、Hon Hai venture capital fund 2020、双日、さくらインターネット、個人投資家。

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投資範囲はハードウェアに限らずIoT・IoE領域のプロダクトやサービス全般で、投資フェーズもプロトタイプ段階へのプレシード出資から製品の市場投入(事業化)段階となるシリーズAまでをカバーし、状況に応じてフォローオン出資も検討する。

なお、ABBALabでは代表取締役となる小笠原治氏らの個人資金でこれまでにもIoT関連のスタートアップへ出資をしており、その投資先も合わせて公開されている。

50年後を考えたらファンドの仕組みが必要だった

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ABBALabで使われている投資対象の検証マトリックス

ファンド組成にあたり小笠原氏に話を聞いた。(太字の質問は全て筆者。回答は小笠原氏)

まずはこれまでの活動について。これまでもABBALabでは個人資金で出資等されてました。

この2年間、ABBALabを(Misletoe代表取締役の孫)泰蔵さんと営利法人として立ち上げ、プロトタイピングへの投資活動や広報活動をしてきました。同時にDMM.make AKIBAの立ち上げやさくらのIoT Platformの立上げ、OpenFogのJapan Region立上げ等々、全て新たなスタートアップが産まれる土壌を耕したかったからです。

出資先も順調に増えていたようです。これは想定通りでしたか?

最初の1年間に投資した先以外にインパクトのあるスタートアップに出会えていない現状があります。少なくとも月に数件は投資検討依頼を頂いてますが、僕の感覚だけだと投資したいと思えるプロトタイピングフェーズのスタートアップに気付けてないかもしれません。

ABBALabではアクセラレーションプログラムを走らせていました。活動で上手くいかなかった点について教えてください。

企業などで働く方にメンターとして参加してもらうフェローという制度があったのですが、これはコストパフォーマンスが悪かったです。彼らにスタートアップの時間軸で動いてもらうことが困難でした。

失敗したスタートアップを改めてチームビルディングするという仕組みもありましたが、実行された例はありましたか?

バラバラになってくっついた、というのはありません。ただ、プロダクトのコンセプトモデルを近くのチームが協力して作るというような事例はありましたね。もちろん費用は発生させて、という前提です。

点数をつけるとしたら?

70点です。事業はそれぞれのスタートアップの責任ですが、アクセラレーターとしてはスピード、案件量共にもっとできたと思います。

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では新しいファンドについて話を移します。個人資金の段階ではリターンは例えばコミュニティづくりだったり支援の色合いが強いですが、ファンド組成した場合は当然、金融ビジネス的な側面が出てきます。今回、ファンドにした理由とは

例えば今までのようなスタイルで年10〜20社に数百万単位で投資しておけばポートフォリオとしても良いのかもしれません。でも、ABBALabが良い投資先に恵まれるだけでは今後10年、30年、50年と考えた時により良い環境が出来るわけもありません。

それを変えていくためにプロトタイピングからシード、シリーズAとフォローオン前提の仕組みに変える必要があると判断しました。さらにそれを今のABBALabが個人資金だけでやり続けるというのも困難ですからね。

なるほど。

では株主を増やして活動資金を集めればいいかというと、現実的には保有資産として未公開企業でかつ(多くは)プロトタイプフェーズであるスタートアップの株式を持っているだけなので、バリエーションも付けにくく、結果的に自由度が下がる資金調達しかできないと考えてます。

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出資先のFOVEは1100万ドルの調達に成功

ABBALabを株式会社として資金調達して投資するよりもシンプルにファンドにしたほうが分かりやすいと。

投資活動に絞ってみれば、(出資先の)次のラウンドの調達に成功している企業も出てきており、悪くないパフォーマンスを説明できる状況でしたので、ABBALabとしては増資ではなくファンド組成による資金調達を考えました。

ファンドになったことでどういう変化がありますか?

「良いこと」が何かというとシンプルに、フォローオンの額と可能性が上がること、LPとの協業や追加投資の可能性が上がること、ファンドを挟んだ距離感で関係者が増えますので今までには出来なかった協力要請やメンタリング依頼などスタートアップとして必要なリソース確保に少し貢献出来るかと思っています。

ただ1点、大きく変わる点としては、個人の資金ではなくLPから資金を預かり投資していくことになるので、数千万単位のフォローオンを検討する場合はアドバイザリーボードに事前に共有し実行していくフローが必要になることです。

LPとして参加される方は投資リターン以外に具体的にどういう期待をされているのでしょうか。

(Hon Hai venture capital fund 2020を運営する)foxconnは既にFOVEに投資をしてくれていますし、双日はSYMAXを取り扱うべく協力を始めてくれています。さくらインターネットもアパマンとのホームIoTにおいてtsumugのプロダクトを採用すべく動いてくれています。

今日はお時間ありがとうございました。

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