中国の位置情報連動ソーシャルアプリMomo(陌陌)、ユーザ数低迷にも関わらず2015年の収益は3倍増

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ロケーションベースの中国ソーシャルアプリ大手 Momo(陌陌) は偉業を成し遂げた。同社は月間アクティブアカウントと有料サービス加入者数が2015年後半に失速したにもかかわらず、収益が3倍増になったのだ。

プレミアムサービス関連収益はほぼ倍増、モバイルゲーミング関連は前年比180%増となったほか、モバイルマーケティング関連も急増した。

2013年後半に収益を上げてから、営業利益が通期で黒字を確保したのも今決算が初めてであった。

Source: Momo Inc.
出典:Momo Inc.

Momo は、スマートフォンセールスの収入減の要因をアクティブユーザ数の低迷としているが、多くの中国ソーシャルアプリ企業は昨年ユーザ数がかなり増加したと発表している。例えば人気のメッセージングアプリ WeChat(微信)は昨年、月間アクティブユーザ数が39%増加した。

別の要因として、Momo は昨年にリリースしたいくつかのソフトウェア・アップデートにユーザがなじめなかったことを挙げている。第2四半期に大がかりなアップデートである Momo バージョン6.0をローンチしたところ、これに対するユーザの反応は期待を下回るものだったと、Momo の CEO である Jonathan Zhang(張曉松)氏は第2四半期決算発表の場で述べた。同年後半には2回のアップデートを行ったが、アクティブユーザの急増にはつながらなかったようだ。

Source: Momo Inc.
出典:Momo Inc.

年間を通して有料サービスの総加入者数に大きな変化はみられなかったが、加入者あたりの収入が急増したところをみると、2015年6月に新たに導入されたプレミアムサービスが成功したと言える。

以前の「VIP メンバーシップ」の料金が月12人民元、2米ドル弱であったのに対し、新サービス「Super VIP」の料金は30人民元(4.60米ドル)である。

このようなユーザ階層システムを導入すると、より上のレベルにアップグレードするためにユーザが時間とお金をかけるため、ユーザを引きつけ消費を促す手段として中国のソーシャルサービスでは広く採用されている。Tencent(騰訊)のプレミアムサービスでは、この10年ほどの間に8段階まで設定されている。

Source: Momo Inc.
出典:Momo Inc.

2015年第4四半期、Momo のモバイル広告関連収益はメンバーシップ加入関連を上回り、最大の収益項目となった。年間の広告収益はゲーミングをも上回った(ゲーミングは Tencent などの中国ソーシャルサービスにとって最大の収益源である)。広告分野では全体に占める割合は前年の4%から2015年には29%にまで増加した。

Source: Momo Inc.
出典:Momo Inc.

2015年第2四半期、Momo はインフィード広告向けにセルフサービス型の広告システムをローンチし、後にリアルタイム入札を可能にした。 かつて広告収入を牽引していたのはディスプレイ広告と「Dao Dian Tong(到店通)」という、地元店舗が自社のプロフィールページを作成できるサービスであった。

セルフサービス型の広告システムが主流になる以前はローカルサービスプラットフォーム大手で Momo と統合された58.com(58同城)と、Momo に出資している Alibaba(阿里巴巴)の両社が Momo の広告収入で重要な役割を担っていた。

2015年までに Momo プラットフォームのゲーム数は35個に増加した(前年は12個)。以降、同社はゲームの内製を開始し、2015年2月に初めての作品をローンチしている。

残りの収益は主に、第3四半期にローンチされたライブ動画ストリーミングサービスによるものだ。その他には同社初期のマネタイゼーション手段であった絵文字ステッカーや、2015年初めに導入された他ユーザや自分用に実物のギフトを送ることができるギフトモールがある。

Momo のライブ動画ストリーミング事業は、ポップシンガーがオンライン限定公演を行うライブミュージックコンサートのストリーミングプラットフォーム、Momo Live(陌陌現場、原文では Momo “Life” となっているが誤記と考えられる)で始まった。このプラットフォームでは視聴者がアーティストに贈るバーチャルギフトを購入でき、その利益は Momo と折半される。

バーチャルギフトをベースとするライブ動画ストリーミングは中国では収益性が極めて高い。Momo は後にこのプラットフォームをすべてのユーザに対して利用可能にし、アマチュアのアーティストもコンサートを開くことができるようになった。同社によると月間アクティブユーザ数は2016年4月に3,000万人を超えたという

2011年に設立された Momo Inc.は2014年12月にアメリカのナスダック証券取引所で新規株式公開を行い、2億米ドル以上を調達した。しかしわずか半年後、同社は Tang Yan(唐岩)氏(同社共同設立者で会長兼 CEO)と中国の VC 企業らの主導により、民間資金を獲得したと発表した

(編注:最後の一文につきまして、リンクのプレスリリースは「Momo は Tang Yan 氏および VC らから、法的拘束力をもたない『株式非公開化』のプロポーザルレターを受け取ったことを発表した」という内容です。)

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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