物流のクラウド化に挑戦するオープンロジ、IMJIPなどから2.1億円を調達

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オープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏

ここ数年、個人でも手軽に扱えるコマースや個人間売買サービスの多くがスタートアップしてきた。メルカリやBASE、STORES.jpといったプレーヤーたちの成長ぶりがここの盛り上がりを証明してくれてると思う。

モノの取引が発生すれば当然、そこには物流が絡んでくる。彼らもまたその流れに乗って成長しているようだ。

物流のアウトソーシング・サービスを提供するオープンロジは5月24日、IMJ Investment Partners(以下、IMJIP)、SMBCベンチャーキャピタル、インフィニティ・ベンチャーズLLPを引受先とする第三者割当増資を実施したと公表した。調達した資金は総額で2.1億円で、これに伴いIMJPのパートナー、岡洋氏が社外取締役に就任することも合わせて発表している。

調達した資金は主に人材強化に使われ、同社代表取締役の伊藤秀嗣氏によれば、現在15名ほどの人員(内、エンジニアは9名)を25名程度まで拡大する予定ということだった。また、同時にIMJIPの協力の元で東南アジアをはじめ、海外への事業拡大も推進するとしている。

オープンロジを始めて取材したのはちょうど1年ぐらい前のことだ。彼らがやろうとしている「倉庫・物流ビジネスの効率化」についてはこちらの取材記事を参照して欲しい。

物流アウトソーシングのオープンロジがIVPとコロプラ千葉功太郎氏から資金調達、須田仁之氏が監査役に

伊藤氏によればこの一年は倉庫側の内部システムを最適化することに注力してきたという。現在、彼らが契約している倉庫が所沢エリアに集中していることからオフィスを池袋に移し、倉庫内で開発陣とミーティングすることも珍しくないのだという。

彼らがこの一年取り組んでいたのは「倉庫業務の効率化」だ。

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オープンロジの場合、荷物を倉庫に出荷・入庫したいユーザーは会員登録して荷物を運送会社に持って行ってもらうだけで完了してしまう。当然ながら「雑」に発送してしまうユーザーも出てくる。

「例えばA、B、Cという荷物を送ったとします。ユーザーがオープンロジのシステムに情報を入力して送付するのですが、届いた荷物と情報に相違があったりするわけです。こういう場合、以前はチャットツールなどを使ってその確認などをしてきましたが、今ではiPadで写真を撮って送るだけで受け取った倉庫側が直接ユーザーとコミュニケーションできるようにしました」(伊藤氏)。

以前も書いた通り倉庫業務というのはそれぞれ業務の内容や方法が違う。彼らのようにいろんな倉庫を仮想的に「一つの大きな倉庫」とみなして効率化するにはこの業務を標準化しなければならない。しかしここを完全に均一にすることは難しかったと伊藤氏は語る。

「業務標準化はやはり難しかったですね。写真を撮って欲しいとか、洋服はたたんで欲しいとか。なので倉庫側でのリクエストはパターンに分けて、システムの方で標準化を進めました」(伊藤氏)。

現時点で契約している倉庫は数拠点で、毎月1社ずつほど拡大していっているということだった。また、料金体系も一様にしていたが、出荷件数が多かったり作業が少ない場合に変動するよう調整をしたそうだ。

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クリーニングや印刷など、既存ビジネスをオンライン化することで新しいビジネス局面を作ろうというプレーヤーは大体どこも同じように、まずこの業界の商習慣や業務をテクノロジーで効率化することから始める。オープンロジもまたその第一段階をクリアして拡大期に入ろうとしているのだろう。彼らのここからの伸びは注目したい。

 

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