5万円台のレーザー加工機「FABOOL」、クラウドファンディング開始1日で2,000万円を集める

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低価格3DプリンターやDIYサービスの普及により、モノづくりへのニーズが高まり、新たなハードウェアを求める動きが高まっている。

smartDIYsが手がける5万円台のレーザー加工機FABOOLは、クラウドファンディングサイトREADYFORにて、資金調達のプロジェクトを掲載し、わずか1日で2000万円以上の資金を獲得し、プロジェクトを達成した。

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smartDIYsは、山梨県にあるCEO・有井佳也さんの実家にオフィスを構える、社員2名のスタートアップ。当時試作していた家庭用3Dプリンターの製造に必要だったレーザーカッターを自作し、自ら生産装置として使ううちに、家庭用デバイスとしてはマイナーだったレーザーカッターに、3Dプリンターと同様の需要の可能性を感じたそうだ。

1年程前から家庭用レーザー加工機Smart Laser Miniの発売を始めたところ、予想以上に売れ、更なるユーザ層拡大にむけて、デザイン・機能性をリニューアルしたFABOOLでクラウドファンディングに挑戦した。

FABOOLの特徴は、まずはなんといっても値段だ。

オープンソースを活用した開発、ユーザによる組み立て、さらに機能を必要最低限に搾ったことにより、数十万円〜数百万円するレーザー加工機を、5万円台まで引き下げた。

さらに、拡張パーツにより、ユーザの用途に応じて機能をカスタマイズできる。機能拡張により、より大きな面積を加工することや、厚みのあるものを加工することが可能になる。

FABOOLの所有者は、半分は企業や教育機関などの法人、半分は個人。今後は、クリエイターやデザイナーに展開し、よりバリエーション溢れるものづくりが生まれることを目指していく。

さらにFABOOLのクラウドファンディングは、1日で2000万円以上の資金調達を実現した。これは国内のクラウドファンディングにおいて、至上最速スピードだ。記事執筆時点でも、開始16日で約650人の支援による約3600万円の資金を集めている。

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smartDIYs COO兼CMO・有井誠氏によると、この資金獲得には2つの成功要因があると言う。

1点目は、継続的にSEOを強化してきたことだ。レーザーカッタ―市場はまだニッチ、故に継続的なSEO対策により検索順位が上がり、常に一定量の購買意欲の高いユーザの流入を担保できているそうだ。

2点目は、既存コミュニティーが出来ていたことだ。Facebookにて、FABOOLの作品共有、技術共有専用のユーザグループを展開しており、ユーザとの情報シェアを行っている。今回のリニューアルにあたっても、機能やデザインについて、FBグループのユーザの意見を多く取り入れた。このアクティブなユーザコミュニティーが、クラウドファンディングの初速を盛り上げたそうだ。

有井氏「現在は、デバイスがパーソナライズ化されておらず、工業製品としてのものづくりに留まってしまいます。まずはレーザー加工機でものづくりをオープンにし、アイディアやデザインを個人でも形にできる世界観を実現していきたいです。

実際、これまでFABOOLを使った作品の中には、子どもの絵を使用したジグゾーバズルや、ステンドグラスなど、我々が予想していなかった発想の作品も生まれています。家庭用ものづくりデバイスが増えることで、より個人のアイディアが光る作品が生み出されるでしょう。」

 

ユーザによる作品1例
ユーザによる作品1例

smartDIYの今後の展望については、アメリカを中心とした海外市場への展開、さらに、その他のデバイス展開にも挑戦していくそうだ。

デジタルファブリケーションへの注目は日々高まり、個人のニーズがより広がっている。FABOOLも、建築家・クリエイターなどの専門職はもちろん、趣味の一環として利用したいという一般層にも大きな反応があったそうだ。

数年後、頭で描いたアイディアが、即時にリアルなモノにできる時代がくるのかもしれない。

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