日本版PayPalとなれるかーーBASEが共通ID決済「PAY ID」公開、国内オンラインビジネスの可能性を拡大

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2016.6.27

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インスタントコマースを展開するBASEは6月27日、個人向け決済IDサービス「PAY ID」の提供を開始した。IDの利用登録は無料で、まずは同社が運営するコマースプラットフォーム「BASE」の約20万店舗で利用が順次可能となる。

PAY IDはあらかじめ利用ユーザーが取得したIDにクレジットカード情報や届け先住所を登録することで、対応する店舗にて決済する際、ID認証だけで購入を完了できる仕組み。米Paypalが最大手として幅広く利用されているものとほぼ同じ考え方だ。利用したいユーザーはここから登録ができる。

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店舗側は簡単な導入手順で購入者に向けてPAY IDの決済画面を提供することができる。

また導入したい店舗側はPAY.JPが提供するAPIを組み込むことで、自社のサービスにて都度決済や月額課金などの各種決済を開始することができる。料金体系も初期費用や月額費用が不要で、各クレジット会社に応じて設定されている手数料がかかるのみ。セキュリティについてもクレジットカード5社が定めるPCI-DSS Version3.1に準拠した運用を行なっている。

今後、PAY IDではBASE以外にも同IDで利用できるオンライン事業者を拡大させていくとしている。

日本版PayPal

簡単に説明すると、先だって公開されていた店舗側の決済サービスに、利用者側のIDサービスが整ったのが今日の話題だ。例えばTHE BRIDGEで月額課金のサービスを考えたとしよう。事業者側のAPIは既に公開されていたので、決済サービスを組み込むことは可能だった。しかしこれまでは利用者が一回一回クレジットカードの情報を入力する手間がかかっていた。(同一店舗のみであれば次回以降は不要)

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購入者が使えるPAY ID

PAY IDが出たことで、利用者はIDにあらかじめクレジットカード情報を登録しておけば、IDの入力だけで決済が完了することになる。ここまではPayPalに対応した店舗で購入したことある人であればすぐに理解できるだろう。あれだ。

ではPayPalやその他各社が出しているウォレットサービスと何が違うのだろうか?ポイントは二点ある。一つは手数料、もう一つは対応店舗の範囲だ。BASE代表取締役の鶴岡裕太氏に違いを聞いた。

「まずは手数料ですね。他の共通ID決済より手数料が圧倒的に安いです。あくまでお金のリプレスが目的なのでここでの利益追求をしたいと考えていません。現状はクレジットカードを後ろにひも付けてもらいますが、これは現状であって今後は様々な方法で決済できるようにして、さらに手数料を下げたいと考えています」(鶴岡氏)。

クレジットカードはその会社の手数料が発生するのでそこまでカットすることはできない。一方で他の方法、任意に発行されるポイントやビットコインなどが利用できるようになれば手数料はまた違う考え方になる。事業者は手数料で売り上げを目減りさせる心配が少なくなる。

「PAY IDの場合は、ネットで使える加盟店の多さも他の共通ID決済と違うところです。BASEでどんどん加盟店が増えるってのももちろんあるんですけど、今日一般にも開放されるので今後は大きい加盟店も含めて外部から入ってくると思います」(鶴岡氏)。

ここはPayPalとよく似ている。つまり、店舗側から見ればPayPalよりも手数料が安く、利用ユーザー側から見れば、いろんなサービスや店舗で利用できるIDになる可能性がある、ということになる。鶴岡氏は将来的な展望として実店舗での利用も視野に入れていたので、本当に使えるお店が増えればこのIDが現金に変わる可能性は否定できない。

とは言え、ここは先行者の多い市場だ。

かつてAmazonがワンクリックという機能を付けることで、書籍等の購入体験を格段に向上させたように、何かPAY IDを拡大させる「キラーコンテンツ」の存在が欲しくなってくる。ここが何になるのかは彼らのID発行数が爆発した際に振り返ってもらうことにしよう。

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