2014年12月、スマイループスはチャットで転職相談ができるアプリ「ジョブクル」がリリースした。今でこそチャットは盛り上がってきているが、「ジョブクル」がリリースされた当時はまだ流れが来るより前のことだ。
Android版アプリのリリース等はあったものの、サービスがリリースされて以降、「ジョブクル」の動きは静かだった。今回、久しぶりに「ジョブクル」が新たな動きを見せた。完全成果報酬で一律70万円の人材紹介サービスを開始したのだ。
転職希望者と転職エージェントのマッチングからスタート
「ジョブクル」は、リリースした当初、ユーザが業種、職種などの自分の簡単な経歴を登録すると、自分に合った転職エージェントがマッチングされる。エージェントにはチャットで転職の相談ができ、転職先の提案がもらえるというスマホアプリだった。
転職者のマッチングはしばらくうまくいっていたのだが、ある問題が起きた。転職希望者はチャットで気軽に相談したい一方、転職エージェントはすぐに会うことを求めてしまいがちで、ギャップが生じていたという。さらに、転職者をスルーしてしまうこともあったそうだ。
そこで「ジョブクル」は、2015年10月くらいから、直接自分たちで直接相談に乗り始めた。「これが大きな転機になりました」とスマイループス代表取締役の仲子拓也氏は語る。
「ジョブクル」はチャットで希望者のヒアリングを行い、希望にあった求人案件を外部サイトのものまで含めてレコメンドするようになった。
スマホで転職を可能にするための改善を重ねる
次第にチャットで応募する人も出始めた。次に課題となったのが、スマホからチャットだけで応募しようとしたときに、職務経歴書が送れないというものだった。これはどの転職サービスも抱えている課題で、スマホシフトにおけるボトルネックとなっていた。
「ジョブクル」は職務経歴書を作成するために必要な情報をチャットでヒアリングし、ヒアリングが終了したら職務経歴書が完成するよう機能を改善していった。スマホで対応する転職エージェントも中に抱えるようになり、今ではスマホに特化した転職エージェントとなっている。
仲子氏「エージェントが直接希望者と会っていくと、よくて日に4、5人しか会うことができません。それがチャットだと150人ほど1日で対応ができます。これだけ多くの希望者に対応していくことができれば、転職市場に浸透しているビジネスモデルとは異なる仕組みで勝負できます。今回スタートした、完全成果報酬で一律70万円というサービスは、スマホチャットをベースにしたからこそ可能になったものです」
と仲子氏は語る。これまで転職業界は、エージェントの人件費をカバーするためには、高いマージンに設定する必要があった。「ジョブクル」が実現しようとしている仕組みが回れば、前提から変わってくる。
サービスの改善を地道に積み重ねる
取材時に転職エージェントが利用する管理画面を見せてもらったが、チャットをする相手の情報や送るメッセージのテンプレート、マッチしそうな求人案件などが表示されていた。アプリだけではなく、管理画面のほうもどんどん改善していっているという。
チャットを軸にした不動産賃貸サービス「ietty」を取材した際にも感じたことだが、早くからチャットを利用している企業ほど、昨今のAIやチャットボットの流れを冷静に見ている。彼らが実践するのは、人の手によるオペレーションの改善を重ね、パターンが見えてきたものから順次自動化に取り組んでいくというものだ。
今後、「ジョブクル」はユーザとのコミュニケーションが増えていくことで、ますます精度が磨かれていくことだろう。
スマイループス、自分にマッチした転職エージェントにチャットで相談できる転職アプリ「JOBKUL(ジョブクル)」をリリース
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