スマホで植物を育てるIoTスマートプランター「planty」が、イノベ部との提携により日本市場に進出

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2016.6.13

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planty を手にする、n.thing 代表のキム・ヘヨン氏(右)と、ハンズエイド代表の小室健氏(左)

自宅で簡単に植物を育てられ、それをスマートフォンアプリ経由で管理ができるスマートプランター「planty」については、これまでに THE BRIDGE でも取り上げたので覚えている読者もいるだろう。planty は韓国のスタートアップ n.thing(엔씽)が開発する IoT で、湿度・温度の記録や遠隔での水やり、天気や成長過程のトラッキング、ガーデニング状況のシェアのほか、栽培未経験の植物についても、アプリの指示に従い学びながら育てることができる。

n.thing は昨年、韓国スタートアップのグローバル展開の登竜門の一つと称される beGLOBAL SEOUL 2015 で Tribeluga 賞を受賞したほか、台北で2014年末に実施された ASIABEAT 2014 では、日本市場への進出を言明していた。あれから1年半、よき日本のパートナーを得て、このスタートアップはその目標に向けて着実に前進しつつある。

n.thing は、東京を拠点とするハンズエイドが運営する、海外プロダクトの日本進出支援チーム「イノベ部」と提携し、CCCグループのクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING by T-SITE」上で、planty のクラウドファンディングを開始した。

planty はすでにアメリカでは Kickstater 上でクラウドファンディングを実施済だが、イノベ部による GREEN FUNDING 上でのクラウドファンディングでは、1) 本体電源ユニットの日本対応、2) 日本語による説明書、3) 日本語対応したモバイルアプリ などの日本向けにローカライズされた planty が提供される。また、このクラウドファンディングの成立可否にかかわらず、支援者にはプロダクトが提供されるのが特徴。8月8日までの支援者は、通常小売価格19,800円(税別)よりも40%安い、12,000円で planty を購入することが可能だ。

日本におけるローカリゼーションの決め手

6月上旬、n.thing の代表を務めるキム・ヘヨン(김혜연、英語名:Leo Kim)氏は東京を訪れていた。 韓国スタートアップの代表者が東京を訪れる理由というのは、日本の投資家からの資金調達か、日本市場へのプロモーションということが多いのだが、今回のキム氏の来日目的は違うらしい。筆者がインタビューを行う前日、キム氏とハンズエイドの小室氏らは都内でミートアップを開催し、日本の潜在ユーザーからフィードバックを集めていた。

planty のアーリーアダプタはガジェットの好き geek な人々だが、より多くの人に受け入れられるには、どうすればいいかを考えていた。オフィス環境にグリーンを求めるプログラマや20代の女性たちがターゲットだ。

一番ユーザの多い市場はアメリカだが、その次は日本。日本に特徴的なこととして、植物に向けて話しかける人が多いことがわかったので、IoT にもキャラクター要素を追加してみる(擬人化)ような試みは重要だと考えている(キム・ヘヨン氏)

ユーザ層を多様化するには、オンライン以外の販売チャネルの拡大も有効な手段だろう。小室氏は自身のこれまでのキャリアを活かし、オフィスや公共施設の空間デザインを手がける企業や、会社の総務部門などにもアプローチを始めていると語った。

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スマートプランターの、その先にあるもの

n.thing は、planty の次のプロダクトの準備を始めている。それが Tailor という土壌に差し込んで使うガーデニングセンサーだ。planty が一般消費者向けのプランターであるのに対し、Tailor はセンサーの設置された場所の温度、土壌湿度、照度などをBLE ゲートウェイを通じてクラウド上にレポーティング、農家などが植物や野菜を効率的に栽培するのを支援する。

1ゲートウェイあたり200個までのセンサー(カタログスペックでは50個まで)との通信をサポート、1つのバッテリーで2年間(保証値は1年間)利用することができる。キム氏によれば、従来のこの種のセンサー製品は1個あたり100ドル程度するが、n.thing ではそれを5ドルでほぼ同等の機能を実現したことが革新的だという。

(著者注:開発中の商品であるため、インタビュー内容、カタログスペック、保証値には差異があり、リリースまでの間に変更される可能性があります。)

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planty を通じて B2C で得られた技術を、Tailor で B2B に還元したい。そうして、農業をディスラプトすることが最終的な目的だ。(キム氏)

もともとパソコンギークでビジネス好きの学生だったキム氏だが、n.thing を創業する前の2010年から1年半、親戚が経営するビニールハウスを生産する会社に頼まれ、ウズベキスタンへのビニールハウスの輸出と現地での農場運営のために出向き、ウズベキスタンと韓国を往来していた。農作物を健康的かつおいしく育てるには、窒素・リン・カリウムなどをどれだけ与えるかで決まるが、この比較的シンプルなことを正しく管理・実践できている人が農業の分野に意外にも少なく、この領域でのビジネスに大きな可能性を感じて n.thing を始めたのだという。

この分野には、日本の SenSprout のほか、サンフランシスコの Edyn など、いくつかの競合が存在する。キム氏は年内にも Kickstarter で Tailor のキャンペーンを開始し、来年初頭から出荷を開始したいと語った。

同社はこれまでに、2014年9月に韓国のスタートアップ・アクセラレータ SparkLabs から輩出され、これまでに、中国のアクセラレータ Tribeluga、韓国でハードウェアの製造提携関係にある Intops(KOSDAQ:049070)、韓国のエンジェル投資家団体 Mask Angel Club(머스크 엔젤클럽)などから資金調達。2015年12月には、韓国の政府系金融機関である KDB 産業銀行から20億ウォン(約1.8億円)を調達している。

<参考文献>

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