飲食店の人件費を4%削減?ジョッキをコースターに置くだけでおかわりが届くIoT製品「おかわりコースター」

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友人や同僚などと外で飲んでいると、会話が途切れてしまうタイミングが2つあります。ひとつは、料理やドリンクが運ばれてくる時。もうひとつが、追加注文を頼む時。繁盛店であればあるほど、忙しそうな店員さんの様子を見て、手が空いたかなというタイミングで注文を取りに来てもらわなければいけません。

おかわりが勝手に運ばれてくる

そんな客と店側の双方にとってのちょっとした不便を解決してくれるのが、「おかわりコースター」です。開発するのは、エスキュービズム・テクノロジー。底にLEDを取り付けたジョッキをコースターに置くだけで、おかわりが運ばれてくるというB向けのIoT製品です。

客がコースターにグラスを置くと、グラス下部の取り付け部分に埋め込まれた LED から発信されるランプ信号をコースターが受信。すると、コースターがキッチンのプリンターに情報を発信します。その情報が伝票として印刷されると、キッチンのスタッフがドリンクを用意。あとはそれをホールスタッフが客のもとに運ぶだけ。同じドリンクをおかわりするだけなら、わざわざ店員を呼び止めて注文する手間を省いてくれます。

同社が運営する飲食店向けオーダーシステム「Orange Handy」と連動させることで活用でき、10セットで100万円(Orange Handyのアプリ費用含む)ほどの初期費用がかかります。

急がれる業務効率と客単価の向上

三大都市圏の平均時給推移 (リクルート・ジョブス調査)
三大都市圏の平均時給推移 (リクルート・ジョブス調査)

エスキュービズム・テクノロジーが提供するタブレット型POSレジ「Orange POS」を導入する4,755店舗を対象に自社調べを行ったところ、全注文の約 40%のテーブルでおかわりが注文されていることが判明しました。全ドリンク提供数におけるおかわりの割合は約 10%。これらのオーダーをおかわりコースターで受けられると、全体の4.3%の工数が削減できる想定になります。

業務効率による工数削減は、昨今、人手不足による人件費高騰に悩まされる外食業界にとって急務です。アルバイトとパート募集時の平均時給は、2014年4月から2016年3月にかけて3.8%上昇(リクルートジョブス調査)。Orange Handyを導入する1,000店舗以上でも、この課題意識は高まっており、業務効率と客単価の向上に繋がる おかわりコースターの開発に至りました。

飲食店におけるIoTの活用

今後もIoT事業に積極的に取り組んでいくというエスキュービズム・テクノロジー。例えば、おかわり以外のドリンクも注文できたり、グラスの中身のドリンクを自動的に判別しておかわりが届いたり、またルーレットやサイコロのようなゲームとセットでドリンクが注文できる仕組みなどを検討しているとのこと。

飲食店の業務効率化や顧客単価アップという事業者にとってのメリットだけではなく、こうしてIoT製品が店舗体験に取り込まれることで、IoTという分野そのものの認知度向上にも貢献してくれそうです。導入店舗について現在確認中なので、情報が入ったら記事に追記してお知らせしたいと思います。

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