生産者とバイヤーの非効率をなくすーープラネット・テーブルが新たに農産物の直接商談・取引管理プラットフォーム「SEASONS!」をリリース

by Junya Mori Junya Mori on 2016.6.10

SEASONS

スタートアップがサービスを提供していく過程で市場のニーズを発見し、自らのサービスを改善していくことはしばしば起こる。プラネット・テーブルから聞かせてもらった新サービスの話は、久々にワクワクする展開だった。

これまで、食べ物に関するQ&Aサービス「FoodQ」や食材と需要者を直接つなぐオンライン受発注サービス「SEND」を提供してきたプラネット・テーブルは、本日新たに農産物の直接商談・取引管理プラットフォーム「SEASONS! (シーズンズ!)」のクローズドβ版をリリースした。

農産物の直接商談・取引管理プラットフォーム

同サービスでは、生産者と購入者のマッチングから商談、見積もりや受発注、出荷・納品管理から 請求一本化まで、農畜水産物の直接取引に必要なあらゆる機能が揃う。クローズドβでは、招待されたユーザ限定の関係者向けバージョンとなっている。

SEASONS function

「SEASONS!」は業界に特化したワンストップのクラウド管理ツールという位置づけになるわけだが、開発に至る背景が面白い。元々、同サービスはプラネット・テーブルが提供するオンライン受発注サービス「SEND」の1機能として開発がスタートしたというのだ。

元々、「SEND」の機能として開発がスタート

「『SEND』では約1800の生産者の方々と取引をしていまして、初回の取引の際に相手の生産者が「何を、いつ、どれくらい作っているのか」を把握する必要があります。ただ、電話やFAXといったツールが用いられており、このコミュニケーションにかなりの時間がかかっていました。この作業を効率化する機能を作り始めたのがきっかけです」

そうプラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏は、「SEASONS!」の開発に着手したきっかけについて語る。農家は多いところで50件ほどのバイヤーと取引を行う。少ないところでも10〜20件は取引があることが多い。ひとつひとつの取引先と、コミュニケーションをとっていくだけでかなりの事務コストがかかってしまう。

菊池氏「農家の事務コストが高いのと同様に、バイヤー側の事務コストも高くなってしまっています。さらに、まず生産者を見つけるところにもハードルがある」

プラネット・テーブルが「SEASONS!」で目指したのは、生産者と買い手との効率化だ。これまで同社は「SEND」を通じて、効率化を図ってきたが彼らが取引する相手しか効率化できておらず、大半の農業生産における非効率は解決できていないと考えていた。

さらに広く非効率を解消していくため、去年の冬から開発に着手していた「SEASONS!」は、今年の3月にオープンに提供していくことが決定。今回のクローズドβ版のリリースに至った。

農家にとって重要なのは、収穫前までに売り先が決まっていること

SEASONS buy

「重要なのは、作付前、収穫前に売り先が決まっていること」と菊池氏は語る。「SEASONS!」では、生産者とバイヤーのマッチングや直接取引を便利にしてくれる機能がいくつも盛り込まれているという。

生産者は自分たちが作った作物を買ってくれる先を見つけることができるし、バイヤーは自分たちが求めている作物を生産している生産者を見つけることができる。マッチングした後は、いつまでにどの程度の量を生産することができるのか、といったコミュニケーションを「SEASONS!」で行う。先に買い取り先が決まっていれば、生産者にとっても仕事がしやすい。

菊池氏「農業というと畑に出て農作業をしていることをイメージしがち。実際には、注文を受け、事務作業をやって、請求し、入金するところまで含めて農業なんです。そして、こうした作業は農家のお母さん方やパートの方が担当していて、日々バイヤーとやりとりしています。今回開発したはこの人たちの辛さを解消するサービスです。」

ワンストップのクラウドツールにしたワケ

SEASONS pc

農家も利用するクラウドツールと聞いて、思う位浮かべることのひとつは、ユーザのリテラシーだ。クラウドサービスを開発したところで、ちゃんと使ってもらうことができるのかどうか。

その点に関して、菊池氏によれば農家のお母さんたちは、FacebookやLINE、Excelやクラウド会計サービス等を利用にしていることも多いという。これらのサービスを利用できるユーザのリテラシーに合わせて、「SEASONS!」を開発しているそうだ。

もう一点、気になるポイントは、なぜあえてワンストップのクラウドツールを開発したのか。既存サービスを組み合わせたオペレーションでは対応できなかったのだろうか。

菊池氏「『SEND』のチームでも取り組んでいたので、既存のクラウドサービスを複数組み合わせて「SEASONS!」と同じようなことができないわけではありません。ただ、複数のクラウドツールを使いこなすのは大変です。また、使い方や情報をチーム内で共有しにくい。結局、事務コストはあまり下がらないという結論に達しました。そこで、ワンストップのツールの開発に踏み切りました」

サービス利用料は無料のモデル

「SEASONS!」の基本利用料は無料となっており、使いたいユーザは課金なしで使いはじめることができる。そこには「他のユーザと利害関係を揃えたい」という菊池氏の考えがあった。

菊池氏「サービスとして固定費をいただくことで、ユーザがはじめの一歩を躊躇しまうのであれば、月額固定での課金は行わないほうがいいと判断しました。「SEASONS!」上で情報がシームレスに流れるようにし、情報が流れることで商品が売れるのであれば、リターンとしてお金をいただく。そんなモデルにしています」

手数料の率は、直売所モデルよりも低い割合を想定。直売所のモデルが15〜20%ほどの手数料となっているため、15%以下となるだろう、と菊池氏はコメントしていた。

今後、売上分析機能や相場情報、天候情報のアラートなど、生産していく上で有用な情報を提供していく予定だという。こうした有用な情報は、有料での提供を想定しているそうだ。

菊池氏によれば、農産取引は世界的にも共通する点が多い。「SEASONS!」はアジアなど、海外への展開も視野に入れている。まず、2016年6月中は招待制・関係者向けのα版としてのリリースとなる。利用を希望する人は「SEASONS!」上より「無料登録・利用申請」を行う必要がある。サービスの一般公開は、2016年7月を予定している。

これまで、泥臭く事業を展開してきたプラネット・テーブル。「ようやくITの会社っぽいサービスを提供することができました」と菊池氏は笑いながらコメントしていた。

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