リクルート「TECH LAB PAAK」のデモデイが開催、第4期参加チームが半年の成果を披露

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2016.6.29

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リクルートホールディングス(東証:6098。以下、リクルートと略す)が渋谷で展開する「TECH LAB PAAK(テック・ラボ・パーク)」は、2014年11月に開設されたITクリエイター向けの会員制コミュニティ・スペースだ。同施設はリクルートの R&D本部により運営されていて、入居するスタートアップ・チームを育成するインキュベータとしての機能も持っている。

入居チームは、開発するサービスの成熟度などに応じて「コミュニティ会員」と「プロジェクト会員」に大別されている。コミュニティ会員8チーム、プロジェクト会員4チーム(うち、1チームは欠席)が TECH LAB PAAK 入居からの半年間の成果を披露するデモデイが28日、開催された。

入賞したチームの顔ぶれを中心に、TECH LAB PAAK からどのようなサービスが生まれたか、生まれようとしているかをみてみたい。なお、デモデイのピッチにおいて、入賞者の審査を行ったのは次の方々だ。

  • TechCrunch Japan 編集長 西村賢氏
  • 日本マイクロソフト エバンジェリスト 砂金信一郎氏
  • 元 楽天 取締役常務執行役員 安武弘晃氏(関連記事
  • LIG Founder / LIG International CEO 岩上貴洋氏
  • リクルートホールディングスR&D本部 Media Technology Lab. 室長 麻生要一氏

【TECH LAB PAAK 賞】 STYLY by Psychic VR Lab

副賞:松坂牛 焼肉セット

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Psychic VR Lab は、ファッションに特化したバーチャルリアリティ(VR)上のオンライン・ショッピングモールを構築。ファッションブランドの世界観を VR で表現し、商品本来が持っている魅力を効果的に伝え、消費者の購買につなげる。

商品の画像データを 3D で作成したり、ショップのデザインを 3D で作成するのは、依然として手間とコストがかかるため、ファッションブランドは容易に導入することができない。STYLY ではそれを可能にするため、アパレルに特化した 3D スキャナや 3D ショップの構築を容易にするショップビルダーの機能を開発した。3月には、ファッション関連スタートアップのイベント Fashion Tech Summit の開催にも携わっている。

7月〜9月の3ヶ月間で、約30程度のファッションブランドに利用してもらいテストを行う予定。一般ユーザも STYLY を試せるイベントを開催する予定で、詳細については追って発表とのこと。

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【メンター特別賞】Residence

副賞:Ritz Carlton Azure 45 2名様ディナーコース食事券

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ペルーで生まれた岡村アルベルト氏は以前、友人が日本のビザの取得不備でペルーへ強制送還されたのを目の当たりにした。これを契機に、ビザの問題を解決しようという衝動に駆り立てられる。日本の入国管理局にいるのは公務員であるため基本的には日本語しか話せず、ビザ申請書類も日本語であるため、ビザを申請する日本語を母国語としない外国人にとっては、コミュニケーションのハードルが高い。

岡村氏は自ら品川の東京入国管理局に勤務し、3万人に上る外国人のビザ発給業務に従事。このときの経験を生かして、Residence を開発した。Residence ではビザ申請に必要な項目を、外国人向けに母国語で質問を表示し、それに応えていくだけで申請に必要な日本語の様式を出力できる。さらに Skype で本人確認を実施し、行政書士がビザを代理申請、現住所に発給されたビザを郵送してくれるまでのサービスを 3,000 円という安価で提供する(申請書類の作成のみで、代理申請を依頼しない場合は無料)。

現在、700人の個人ユーザと35人の法人ユーザがいる。6年後の2022年には、日本の働き盛り人口の30人に1人は外国籍になると言われている。Residence では、ビザに関する情報をベースに、日本における仕事の紹介、銀行でローンを借りる際の与信、さらに、日本以外のアジア各国へのビザ取得支援サービスなどを提供していきたいとしている。

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【TechCrunch 賞】in app translation

副賞:アマゾンギフトカード 3万円分

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in app translation は、iOS のアプリ開発者向けに、アプリの多国語リリースを容易にする環境を提供。アプリ上に表示されるメニュー内容を、ウェブベースのダッシュボードで制御することにより、アプリをビルドし直して Apple のアプリ審査にかける手間が省ける。アプリのリリース後に翻訳の誤りに気付いた場合の対応がスムーズに行えるのがメリット。

加えて、ダッシュボードを通じて、アプリ開発者は、どの言語のユーザ需要が多いかのアナリティクスや、翻訳の修正を含むユーザからのフィードバックを受けられるので、アプリを多国語展開する際の言語別の優先順位を決める上で参考にすることができる。ダッシュボードからは、翻訳対処箇所のデータのエクスポートのほか、gengo への翻訳発注に対応。将来的には、頻出する翻訳内容を機械学習で自動化するようにしたり、Android 向けに Native Java 対応したりする計画。

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【マイクロソフト賞】FlickFit

副賞:Apple Store ギフト券 3万円分

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FlickFit は、靴(特に現在はパンプスにフォーカスしているとのこと)に特化して、インターネットで試着ができるサービスだ。ユーザは予め自分の足形を 3D データで登録しておき、FlickFit に対応した靴販売サイトでは、靴にひもづけられた 3D データを照らし合わせることで、購入前にフィット感を確認できるしくみ。

靴のラスト(木型)ではなく発泡剤を使った型取りで靴の3Dデータを取得しており、足と靴の3Dデータをマッチングするアルゴリズムは千葉大学との共同研究で開発している。現在は、サードパーティー2社との共同実験により、マッチングアルゴリズムをさらに改善中。足の形の 3D データの取得には専用のスキャナを用いるため、データの登録時にはユーザを市中のスキャンニングポイントへ誘導する必要になるが、並行して画像撮影により足形のデータが簡易的に取得できるモバイルアプリを開発中。オムニチャネル需要、グローバル展開の可能性を模索している。

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【LIG賞】embot

副賞:東京ヴァンテアンクルーズ 2名様 トワイライトゴールドコース

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embot の名前は、emotional robot に由来。スマートフォンが普及しても、掛け時計や壁掛けのカレンダーが世の中から無くならないことにヒントを得、タンジブルなもの、ダンボールで簡単に作れるロボットを開発した。アプリからの指示やセンシングデータをもとに、ロボットのポーズを変えることができる。

ユースケースを検討した結果、現在は子供向けの教材としての embot を開発している。文科省による中高生向けのプログラミング教育制度が施行されたこともあり、私立中高などからの問い合わせが寄せられており、教材ニーズの B2B 用途からサービスを立ち上げたい考え。操作についてサーバでログを蓄積しているので生徒の学習進捗状況を捕捉でき、それに応じてカスタマイズされた学習内容を提供するプラットフォームも用意している。

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【オーディエンス賞】Residence および in app translation

副賞:TECH LAB PAAK プロジェクト会員権(半年入居権)

(Residence および in app translation の両方については既出であるため、説明は省略)

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なお、TECH LAB PAAK では第5期の入居が開始されており、第6期の会員募集はまもなく開始されるようだ。第6期からは、メディア・ファンド・メーカー各社との提携により、バーチャルリアリティ(VR)に特化したインキュベーション・コースも新設される見込みで、今回のデモデイではこれを記念して、gumi 代表取締役の國光宏尚氏、PANORA VIRTUAL REALITY JAPAN 編集長の広田稔氏、Oculus 専門サイト「桜花一門」の高橋建滋氏を招いてのパネルディスカッションも行われた。

第6期プログラムにもこれまでと同じく、法人・個人、プロダクトの有無にかかわらず申し込めるとのことなので、詳細は TECH LAB PAAK のウェブサイトをチェックしてほしい。

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Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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