IDEOのCEOが説く、組織のクリエイティブな力を引き出す「クリエイティブ・リーダーシップ」とは

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Hunter Gatherer, one of the inspiring international company examples in Leading for Creativity.
Hunter Gatherer, one of the inspiring international company examples in Leading for Creativity.

今ほどビジネスを取り巻く環境が移ろいやすく、予測不能な時代はかつてありませんでした。競争やディスラプションの原因となりうるものはどこにでもあり、それはプロダクトやサービスやテクノロジーだけに限らず、マーケットやポリシー、タレント、ブランド、サプライチェーンにまで及んでいます。

今日のこの複雑で先行きの見えない世界で生き残るために、組織は新しいアイデアを生み出し、受け入れ、実行していく必要があります。そのためにはクリエイティビティーそのものだけでなく、クリエイティビティーに溢れた社員の存在が必要になるのです。それは組織にとって秘伝のタレであり、進化を促す言葉であり、人が馴染みやすいものでもあります。クリエイティビティーのない組織は競争力で劣るのです。

「クリエイティブな組織」という言葉で最初に思いつくのは、デザイン会社であったり、広告会社であったり、テック系のスタートアップであったりします。しかし、クリエイティブな社員を生むには、デザイナーの集団を雇ったりハッピーアワーを企画したりする以上のことが必要になります。すなわち、組織の上層部から自発的にマインドセットを変えていく必要があるのです。

私は多くの業界でリーダーシップのスタイルを観察してきました。カスタマーサポートの最前線で働くファイナンシャル・サービスや、患者の体験を改善しようとするヘルスケア企業、仕事のできる社員を会社に留めておく新しいやり方を模索しているテック・カンパニーなどです。

こういったチームリーダーには必ずしも「クリエイティブ」なバックグラウンドがあるわけではありません。彼らはイノベーションのエキスパートでもなければ、デザイナーでもライターでもないのです。彼らは元々セールスチームのリーダーであったり、HRのスペシャリストで会ったり、ソフトウェアのエンジニアであったりしたのです。そして、彼らは先行きが不透明な中で、社員1人1人が創造力にとんだやり方で仕事に参加し、より良い問題の解決法を見つける手助けをすることで組織を導いてきたのです。

「クリエイティブ・リーダーシップ」とは、単にリーダーたちがクリエイティブになることではありません。それはクリエイティビティーを高めることをゴールとして他者を導くことなのです。そうすると、どんな業界であってもリーダーとしてのあなたは、組織のクリエイティブな力を引き出すことについての責任があると言えます。

新しいアイデアを生み、それを受け入れ、実行するための環境を整えるのはあなたの仕事です。これは競合ひしめく中で常にリードを保つために必要不可欠なことなのです。

好奇心にあふれたマインドセットを維持することが、あなたがチームや組織を率いるに当たってまず最初にやるべきことでしょう。全く新しい環境に置かれれば、あなただってどうすればいいか常に答えを知っているわけではありません。

そして、それはあなたのチームも同じです。未知に向けて共に冒険するのです。時に「人に聞く」というのが、好奇心に満ちたマインドセットを維持するのに最善の方法かもしれません。質問は推測や仮定を乗り越える力を与え、周りをインスパイアし、より広範な理解を助け、周りからの反応を生み出してくれるのです。

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クリエイティビティーを高める環境を整えようとするなら、個々人やチームが問題の解決法を簡単に探し、自分たちのすることに責任を持つことを奨励するようなアプローチを採るべきです。

1. 探求者であれ リーダーはインスピレーションに富んだビジョンを持って、新しい方向に進路を定めなければなりません。そうしなければ、人がついてこないでしょう。ビジョンを固守し、目標に出来るだけ近づくためにリスクを採るのです。

2. 庭師であれ リーダーは、組織全体のやる気が低下している時にインスピレーションを与えるなどしてクリエイティビティーが育ちやすい環境を整えてやる必要があります。そして、試練とも言える困難な状況が出来した時は素早くそれに取り組み、必要な調整を行うのが良いでしょう。

3.コーチであれ リーダーは現場で自ら関わらなければなりません。フィールドで、現場目線で素早く指示を与えるのです。はっきりしない状況でチームに進路を示し、失敗から学び、聞くべき質問を聞くのです。

ここで述べたのは氷山の一角で、このトピックについてはもっと掘り下げてお話することがあります。もし議論を続けたいようでしたら、ぜひIDEO Uの私の Leading for Creativityコースに参加してください。昨今の複雑な世界情勢のもとであなたの組織が成功するお手伝いが出来ると思います。

Translated from original by Ray Yamazaki, with thanks to Medium Japan.

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