Echelon Asia Summit 2016のピッチコンペティションで、決勝ステージを飾った11チームの顔ぶれをご紹介

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2016.7.6

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本稿は、Echelon Asia Summit 2016 の取材の一部である。

6月15日〜16日の2日間にわたり、シンガポールのテックニュース・ブログ e27 が開催する年次のスタートアップ・イベント「Echelon Asia Summit 2016」が開催された。アジア14地域の予選で選ばれたスタートアップがピッチで凌ぎを削る「Top 100」から、最終決勝のステージに残ったチームは11社。例によってピッチのビデオをまじえ、彼らの顔ぶれをご紹介したい。

「Top 100」の最終決勝では、次の方々が審査員を務めた。

  • 佐野尚志氏(グローバル・ブレイン ベンチャーパートナー)
  • Plern Tee Suraphongchai 氏(Venturra Capital パートナー)
  • Carmen Yuen 氏(Vertex Ventures シニアエグゼクティブディレクター)
  • Soo Ping Yong 氏(Walden International バイスプレジデント)
  • Nic Lim 氏(8capita パートナー)

【ECHELON Top 100 優勝】Softinn(マレーシア)

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Softinn は、独立経営のブティックホテル、小規模ホテルチェーン、B&B、民泊向けの宿泊管理クラウドサービスだ。宿泊客からの予約受付ができるのに加え、ホテルのウェブサイトのデザインやインターネット上でのマーケティングなどもまとめて管理できる。3年前にローンチし、現在までにマレーシア国内494軒のホテルやロッジなどが利用。小規模運営のホテルに、有名ホテルチェーンにまさるマーケティング力、販売力を提供する。

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既存の類似サービスとの最大の差別化要素は、旅行予約サイトとのパートナーシップによるホテルへの顧客誘導だ。、Softinn を利用するホテルの宿泊販売価格は TripAdvisor に、民泊の宿泊販売価格は Flipkey に自動的に共有され、今後も、Expedia、Amadeus、CTrip などの OTA(online travel agency)や GDS(global distribution system)や、旅行パッケージのマーケットプレイスに接続を計画している。

同社は、2014年9月にシードラウンドで37,500ドルを調達、今年3月にはプレシリーズAラウンド(調達額非開示)をクローズしている。

【台湾 IDEAS Show 賞】Simgo(シンガポール)

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Simgo は、スマートフォン、タブレット、IoT などに挿入可能な eSIM カードと、それを統合管理できるクラウドサービスを提供。異なる国や都市へ移動したときにも SIM カードを差し替えることなく、複数の SIM カードをクラウド上で管理し、条件に沿って予め設定されたモバイルキャリア・APN(アクセスポイントネーム)・料金プランを動的にに選択することができ、ユーザはローミング料金を支払う必要が無くなる。

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2014年8月にローンチ。複数の ODM 事業者と提携し現在100カ国以上でサービスが利用可能。eSIM を搭載した Wi-Fi ルーターは、50,000個分のデバイスの予約注文を受けており、向こう半年間の売上は400万ドルに達する見込み。今年2月には、ヤフー(Yahoo Japan)の社長を務めた井上雅博氏が、Simgo の役員に就任したことが発表されている。

GizTix(タイ)

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GizTix は、タイを拠点とする運送会社のマーケットプレイスで、日本を含む8カ国で利用可能だ。運送会社の手配は一般的に手間のかかるプロセスを必要とするが、GixTix では150社の運送会社と提携しており、チャットで見積を依頼してから、最長でも国内配送なら2時間以内、ASEAN 内配送なら10時間以内、ヨーロッパや北米向けの配送なら2日間以内に見積価格を受け取ることができる。配送状況についても、リアルタイムでトラッキングが可能。

タイのテレコム企業 DTAC のアクセラレータから2015年に輩出。500 Startups のタイ向けマイクロファンド 500 Tuktuks や KK Fund から資金を調達している。

Luxrobo(韓国)

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Luxrobo は、レゴを組み立てる感覚で、電子モジュールを組み合わせることにより、誰もが IoT デバイスやロボットを作成できる環境を提供。モジュール、ソフトウェア、サーバ環境から構成される。

今年10月に Kickstarter でクラウドファンディング・キャンペーンをローンチ予定。学校でのプログラミング教育が義務化される韓国やイギリス、アメリカなどでの販売を優先的に開始する予定。これまでに、150万ドルを資金調達している。

Giftsensor(カザフスタン)

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Giftsensor は、誰かにギフトを送りたい時、対象者のソーシャルネットワーク上のメッセージを言語解析し、機械学習や協調フィルタリングによって、その人が欲しいであろう商品を、提携するオンラインストアからレコメンドしてくれるプラットフォーム。サービスの対象としている地域は、主に旧ソビエト連邦諸国。

ロシアや旧ソ連諸国向けのオンラインポータル VK や Yandex のオンラインショッピングのパートナープログラムに参加、提携オンラインストアからの送客による購買金額の3~5%を手数料としてもらうほか、オンラインストア向けにレコメンドするウィジェットを提供し月額30ドルの料金を徴収してマネタイズ。

HelloWings(台湾)

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以前は Tixchart の名前で知られた HelloWings は、LCC(格安航空会社)に特化した価格比較サイト。107カ国3,000社の LCC からリアルタイムでのチケット価格の比較、日時を指定したフライトのチケット価格の比較、一年を通してのサーチャージなどを含む最低価格を知ることができる。

Skyscanner などは Amadeus、Sabre、Galileo などの航空会社の GDS (Global Distribution System) に接続しているのに対し、HelloWings は航空会社のウェブサイトから直接クローリングして情報取得している点で差別化しており、出発地・目的地・日時などを指定するだけで、複数の LCC 横断でベストな航空券の組み合わせを提示する。AirAsia グループの起業支援組織 Tune Labs の支援を受けている。

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Hoozing(ベトナム)

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Hoozing の共同創業者 Akshay Sharma 氏は、昨年ホーチミン市内で3回引越しをした。家を変える都度、不動産ポータルで良さそうな家を探し、内見に訪れなくてはならないのは面倒。そこで、これから引越しを考えている人から、現在の住まいを紹介してもらうことで、手間のかかるプロセスを省けると考えた。

引越しを考えている人はその2ヶ月前に、現在の住まいの屋内や窓からの眺めなどの写真を Hoozing 上にアップロード。その家への入居に興味が持ったユーザは、現在の入居者と Hoozing を通じて直接チャットで質問ができる。住みたい家が決まったら、Hoozing が不動産仲介業者として、新しい住まいのオーナーとユーザの間の契約を仲介してくれる。通常、新居の検索から、内見、契約、引越完了まで、実質的に半月ほど要する作業を、ほぼ半分の日数まで短縮可能だ。

Long Good/龍骨王(台湾)

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Long Good は、高齢化社会において、センシング・テクノロジーを用いて自宅でリハビリができるプラットフォームを提供。ゲーム感覚で、バーチャル・コーチが運動方法をアドバイスする。テレビモニタに接続して利用、多くの有名医療機関と協力し、運動方法を設計・開発している。パーキンソン病や、他の身体に不自由がある患者で臨床試験を実施している。台湾のアクセラレータ AppWorks(之初創投)アクセラレーション・プログラムの第4期から輩出。

FlySpaces(フィリピン)

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FlySpaces は、オフィススペースの Airbnb。東南アジアで、中小企業向けに短期のオフィススペースを提供する。アジアでは、例えば、香港などが非常にオフィスコストが高いため、例えば一時的にチーム全体で、拠点を移動して事業を行いたいスタートアップなどに重宝するサービスだ。

現在、シンガポール、フィリピン、マレーシアの3カ国でサービスを展開しており、月間の売上金額は10万ドルほど。これまでに150を超えるスペースオーナーやコワーキングスペースと提携しており、シードラウンドで約50万ドルを調達している。世界的に見れば、ShareDesk、LiquidDesk、PivotDesk などの競合が存在するが、FlySpaces では、東南アジアにサービス地域を特化することで差別化。

NataProperty(インドネシア)

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インドネシアを拠点とする NataProperty は、不動産デベロッパ〜不動産仲介業者〜顧客をつなぐプラットフォームを提供。コンドミニアムなど不動産開発を実施したデベロッパが適切な仲介業者を探して管理でき、仲介業者は販売対象となる潜在顧客に対してマーケティングできたり、販売手数料を管理できたりする。顧客同士が自身の持つ不動産を売買できる機能も提供。

中小規模の不動産デベロッパがターゲットで、月額でシステム利用料をもらうビジネスモデル。また、仲介業者が物件を顧客に販売できたときには、販売成立時の仲介手数料を NataProperty が取得する。

Seekster(タイ)

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Seekster は、タイを拠点とする、エアコン工事・水道修繕・工事などサービスプロバイダを検索・比較できるポータルサイトだ。これまでに65以上のサービスカテゴリで、1,000社以上のプロバイダが登録している。ユーザは希望するサービス内容をプロバイダに対して送信すると、見積金額が送信されてくるしくみだ。

先日、ジャカルタで開催された Rising Expo 2016 東南アジア予選でも、インドネシアの Seekmi というスタートアップがピッチに登壇していたが、基本的には全く同じしくみでサービス地域が異なるだけである。日本であれば、イエローページなどで、相応のクオリティでサービスが提供できるプロバイダが簡単に検索できそうなものだが、質の担保や情報が一元的に集約されてないがゆえに、東南アジアではこの分野に可能性があるのかもしれない。

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