リモートワークでの会議の誤解と活用のコツ

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Kuranuki-Yoshihito-Sonic-Garden本稿は、ソニックガーデンの創業者で代表取締役社長の倉貫義人氏のブログに掲載された記事です。モットーは、「心はプログラマ、仕事は経営者」。IT業界の、とりわけソフトウェア開発の業界で〝常識〟とされているビジネスモデルを変えてしまう試みについて解説する著書「「納品」をなくせば うまくいく」を執筆。同社が開発した社内ツール「Remotty」は、本媒体でも紹介しています。


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リモートワークと言ったときの大きな誤解が、顔を合わせないということだが、実際はそんなことはない。私たちは毎日のように顔を合わせて打ち合わせをしている。もちろん、インターネット越しのモニタ越しではあるが、顔を合わせて打ち合わせをしていることに違いはない。

そんなリモートワークでの会議には、いくつかうまく実施するためのコツがある。本記事では、私たちの経験から編み出した、リモート会議をうまくするためのコツを紹介する。

1.一人ずつ自分のパソコンかスマホを使って繋ぐ

リモートミーティングにオススメの機器を教えて欲しい。と、よく聞かれるが、今やテレビ会議に特別な機器は必要ない。多くの人は、リモートのミーティングは遠隔地の会議室と会議室をつないで行うものだとイメージするが、それが実はよくない。

同じ空間にいる人と、離れた空間にいる人との会話では、間違いなくギャップが生まれる。それは現代の機器によって解決出来るものではない。それを解決するシンプルな答えは、ミーティングに参加する全員の存在感を同じにすることだ。

そのために、会議室に複数人が集まって、1台のパソコンにつないだマイク・カメラ・スピーカーを使うのではなく、それぞれが一人ずつ、自分のパソコンを使ってミーティングをすればいい。そうすると全員が同じ条件になる。

今時のパソコンなら、カメラもマイクも付いているし、なければスマホを使ったって構わない。そして、マイク付きのイヤホンを使って欲しい。オススメは、iPhoneに付いているイヤホンだ。一人ずつ繋ぐなら、それくらいシンプルで十分なのだ。むしろ、へたに無線のイヤホンとかにして接続でトラブルが起きるくらいなら、有線のシンプルなものが良い。

2.周囲の音とネットワークの環境に気を配る

イヤホンにした方が良いのは、周囲の音を拾いすぎないからでもある。リモートミーティングでは、音声がデジタルに伝わるため、周囲の音が思った以上に気になって聞こえてしまう。話す側は良いのだが、聞き手側が意識して遮断しなければならない。

リモートミーティングをするときは、なるべく周囲が静かなところに移動しておく方が相手のためになる。また、一人一台のパソコンで繋ぐときに、参加者同士が近くにいる場合、ハウリングを起こすことがあるので、あえて離れた場所に行く方がいい。

私たちだと、東京のワークプレイスから数名と地方のメンバーで打ち合わせをするときなどは、同じワークプレイス側にいる人同士は別の部屋に行くようにしている。

また、リモートミーティングで必須なのがインターネットであり、ネットワークが弱いと、会話の際のストレスが高まってしまう。高価な機器は要らないが、安定したネットワーク環境は必須である。

3.URL共有で繋がるツールを使う、代替ツールを用意する

リモートミーティングのためのソフトウェアは、今や無料のものが沢山ある。

zoom インストール型、40分まで無料、URL共有、録画機能
appear.in ブラウザ型、無料、URL共有、シンプル
Hangout ブラウザ型、無料、URL共有/コール、高い安定性
Skype インストール型、無料、コール/URL共有

最近、私たちがよく使っているのは「zoom」である。インストール型なので多少、最初のセットアップは面倒だが、品質も安定しているし、URLを共有するだけで、ミーティングに参加することができる気軽さもある。事前の承認など不要なのも良い。

以前は、Skypeを使っていたが、電話のようにコールしなければいけないのは少し面倒だった。最近のツールではURLさえ共有すれば、そのURLが会議室の場所になり、後からでも参加できるし、自分のタイミングで入ることができるので、非常に気軽になった。(確かようやくSkypeでも、URL共有で参加できる機能がついたらしい。)

社内だと互いにインストール済みなのでよくzoomを使っていて、社外の人と初めて繋ぐときにはappear.inを使うことが多い。appear.inだと事前に特定のURLを決めておくことができるので、日時とそのURLを指定しておけば、そこで待ち合わせをすることができる。私たちだと採用面接は、ほぼappear.inを使ってやっている。

最近のツールはなんでも出来るので、どれを選んでも良いが、リモート会議をスムーズに進めるには、代替手段として知っておくのは大事なことだ。繋がりにくい時などは起きるので、そうした時にサッと別のツールに切り替えられると良いだろう。

4.画面共有と議事録とチャットを併用する

リモート会議だとホワイトボードが使えないという点について。それは確かにその通りなので、それに代わる手段を用意している。それも特殊な機能や準備が必要なものではなく、ツールに標準で付いている「画面共有」を使えばいいのだ。

お絵描きツールなどを使って自分の画面上で描いている内容を、ただ画面共有すれば、イメージを伝えることはできる。実際、物理的なホワイトボードがあっても、ペンを握るのは誰かが中心で、一斉に同時に書くことはないのだから、それで問題ない。

会議で読み合う資料なども、事前に配布するのも良いが、画面共有で一緒に見た方が楽で良い。議事録も同様に、画面共有で写しながら会議するようにしている。議事録を写しながらの会議は、空中戦になりにくいし、アジェンダを共有でき、同じ方向を向いて議論をすることができる。

議事録には、HackpadやGoogleDocsのような同時編集のツールを使えば、司会が画面共有をして進めながら、誰かが裏で追記や編集をすることが出来るので便利。また、そうした資料のURLなどは、付属のチャットを使うことでスムースなやり取りができる。

5.リモートならではの会話のテクニック

リモート会議では、物理的に会って議論するのと違って、話に入るタイミングを上手く互いに作るのが、円滑に進めるためのコツになる。

例えば、私たちがよく心がけているのは、自分が話していて、言いたいことを言い終えたら「こちらからは以上です」という言葉を繋げて終えるようにしている。そうすると、それまで聞き手だった人は、そこを継いで話をするのがしやすくなる。

また、人数が多い会議の場合は、自分が喋らない時は「ミュート」にしておく、ということもよくしている。ミュートでないと雑音が入ってうるさくなるのと、それなりの人数になると一斉に話すと収拾がつかなくなってしまうからである。

とはいえ、まったくシーンとした中で話をするのは人間誰しも緊張してしまうし、一人で喋り続けるのは難しい。そこで、誰か一人は合いの手を入れる担当を受け持つようにした方が良い。

必要以上に神経質になる必要はないが、物理的な会議室でのミーティングに比べて、議論をするために、きちんと会話のキャッチボールするんだという意識を持つことで上手くいくし、そうすれば、会って話すよりも生産的な議論ができるようになるでしょう。

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