売上は前年同月比200%の伸び、フィールドセールス支援のUPWARDがDraper Nexusらから2億円の資金調達

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フィールドセールス(外出先の営業)支援CRMを提供するUPWARDは7月25日、Draper Nexus Venture Partnersおよび日本ベンチャーキャピタルの2社を引受先とする第三者割当増資を実施したと発表した。

調達した資金は総額2億円で、払込日や割当株式比率などの詳細は非公開。同社はこれに併せて社名をオークニーからUPWARDに変更、本社も横浜から東京中央区に移転することも発表している。今回の調達資金でサービスのUIやUXの改善、既存顧客へのサポート体制の強化などを推進するとしている。

UPWARDの創業は2002年。創業期から取り組む地図情報技術を生かした「UPWARD」は外出先の営業マンが顧客情報をスマートデバイスで確認し、効率的な顧客管理を実現するCRMサービス。これまでに大手メーカーやサービス業など140社が導入をしている。同社の前回ラウンドでの調達や沿革についてはこちらの記事で書かせてもらった。

なお、UPWARDの代表取締役は旧オークニー時代の創業者、森亮氏から当時COOであった金木竜介氏にバトンタッチしている。金木氏は交代後の経営の方針について「顧客や現場の声を聞き、その声の本質を正しく理解した上でサービスやサービス運営を改善していく徹底的な現場主義的経営」を重視するとし、今回ラウンドに参加した出資者もこの方針において事業伸長が見込めると判断し、合意に至ったと話してくれた。

さて、UPWARDのサービス自体はスマートデバイス、つまりモバイルと位置情報を積極的に活用したアプローチで同社の強みが出ている一方、市場には同社が提携するセールスフォース関連をはじめとする営業支援ツールが溢れかえっている状況がある。競合との差別化、優位性についてどう考えているのか、改めて金木氏に聞いた。

「サービスの競合優位性はやはり高性能なクラウドデータベース(セールスフォース)とのシームレスな強い連携性が一番に挙げられます。競合他社と比較すると、多くは自前のDBを基本に、最近ではセールスフォースともDBレベルでの簡易的な連携を実現させてきているようですが、UPWARDのようなアプリケーションレベルの深い連携は実現できていません」(金木氏)。

営業支援ツール類は大手になればなるほど企業の基幹システムへの繋ぎこみなど、要望が増えてきて導入が困難になりがちだ。また業務スタイルなども考慮してカスマイズをかけようとするとほぼ独自仕様のシステム開発に近い状態になるケースも散見される。UPWARDはアプリレベルでその対応ができること、さらに前述のような地図との強い連携ができるのが同サービスにしかない強みだと語る。

一方で前回取材時から1年半経過して社数が大きく躍進していない点(前回取材時は100社導入)について確認したところ、営業戦略上、大手企業をメインターゲットにした案件規模(導入ID)の獲得を重視したためということだった。実際、ここ直近の事例で大手メーカーの導入では1600人のID獲得に成功しており、売上は前年同月比で200%増も記録しているという。

営業支援関連はマツリカのような人工知能によるアプローチなども見られるようになった。ディープラーニングやビッグデータといったキーワードの中で彼らの取り組む「位置」がどのような成果を見せるのか、興味深いポイントになるかもしれない。

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