Psychic VR Labにエンジェル投資家6人が参画し経営体制を強化、ファッションVRコマース「STYLY(スタイリー)」を本格展開へ

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2016.8.29

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左から:Psychic VR Lab 取締役 中村匡氏、代表取締役 山口征浩氏、エバンジェリスト 渡邊信彦氏、アドバイザー 高嶋晃氏

東京を拠点とする Psychic VR Lab は29日、エンジェルラウンドで資金調達したことを発表した。このラウンドに参加するのは、エンジェル投資家の中村匡氏、事業構想大学院大学特任教授の渡邊信彦氏、イーブックイニシアティブジャパン顧問の高嶋晃氏、個人投資家で京都大学客員准教授の瀧本哲史氏など。総勢6名のエンジェル投資家がこのラウンドに参加しているが、残る2名の投資家の氏名については非公表。また、調達金額やシェアについても公表されていない。今回の調達とあわせて、中村氏は Pschic VR Lab の取締役に就任、渡邊氏は VR の活用を啓蒙するエバンジェリストとして同社に参加する。

Psychic VR Lab は、データセキュリティ製品ベンダーのイーディーコントライブ(東証:7853)の代表などを務めた山口征浩氏が2007年4月に設立。前身はつくばを拠点とし、バーチャルリアリティ(VR)の研究開発などを行うオズミックコーポレーションという会社だったが、リクルートホールディングスが運営するスタートアップ・インキュベータ「TECH LAB PAAK(テック・ラボ・パーク)」の第4期への参加を通じて、ビジネスの軸足を VR に定めることを決意、社名を Psychic VR Lab に変更した分社化し Psychic VR Lab を設立した。

同社は、ファッションブランドがオンラインで世界観を消費者に伝えたり、商品本来が持っている魅力を伝えたりできる、ファッション特化型 VR ショッピングプラットフォーム「STYLY(スタイリー)」を開発している。7月〜9月の3ヶ月間で、約30程度のファッションブランドにテスト利用してもらっており、現在約30程度のファッションブランドにテスト利用の準備をしており、伊勢丹新宿店では、8月24日から9月半ばまで STYLY を使ったショッピングサービスが展開されている。

今回のエンジェルラウンドに参加したエンジェル投資家らは、輝かしいバックグラウンドを持った人物ばかりだ。

取締役として Psychic VR Lab の経営に参加する中村匡氏は、野村證券を経て、光通信キャピタルでは代表取締役社長として総額300億円のネットベンチャー向けファンドを創設、直近では、繊維大手のタキヒヨー(東証:9982)執行役員IR室長を務めた。

中村氏は、売上を増やす手段としての VR の活用はもちろんだが、ブランドが実店舗を出店する上で足かせとなる家賃の問題は、いずれ時間が解決するのではないかと考えている。むしろ、彼がタキヒヨーにいた頃に抱いたジレンマ——ファッションを知らない人にもディテールを説明できる方法として、「これしかないと思った」と Psychic VR Lab への出資と経営参画と理由を強調した。

<関連文献>

Psychic VR Lab のエバンジェリストに参加する渡邊信彦氏は、電通国際情報サービス(東証:4812)の執行役員/オープンイノベーション研究所所長を歴任。現在はジャパンネクストジェネレーション CEO を務めるほか、音楽×地方の共創プロジェクト「one+nation」を牽引している。7〜8年前、現在の VR の前身とも言えるセカンドライフが全盛となった頃には、日本で率先してセカンドライフを利用したイベントやビジネスについて啓蒙していた人物だ。

渡邊氏は、VR の世界でリアルを再現しようとしても、結局、リアルには勝てず、セカンドライフの二の舞になってしまうと主張。(Psychic VR Lab で)空間全体をデザインすることで、リアルでは見せられない感性を伝えらえるメディアや UI を作り出せると考えた。商品の表現方法が変化することで、作り手であるブランドの作り方や、ファッションを購入した人々の消費の仕方も違ってくるだろう、と VR が与える社会へのインパクトを展望する。

<関連文献>

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TECH LAB PAAK 第4期デモデイで「STYLY」を披露する山口氏

投資家兼アドバイザーとして Psychic VR Lab を支援する高嶋晃氏は、電子書籍大手イーブックイニシアティブジャパンの共同創業者で、現在は同社顧問。同社を2011年にマザーズ上場、2013年に東証一部へ指定替えに導いた。現在のような電子書籍全盛となる前の2000年から、スクラッチで新しい市場を作り上げていった人物として知られている。

高嶋氏によれば、インターネットで実現されている2次元のコマースには限界があり、例えば、街の本屋に行けば、平積みや本棚に並んだいろんな書籍を買ってしまうが、現在の Eコマースの世界では、そのようなことが起きにくい。店内をうろつくようなエクスペリエンスを VR で実現することで、新たな商機が生まれたり、ウェブクリエイターが新たな創作物を作り出す機会につながることを期待しているようだ。

<関連文献>

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瀧本哲史氏

同じく投資家兼アドバイザーとして支援する瀧本哲史氏は、以前マッキンゼーでタクシー大手の日本交通の経営再建を担当。現在は、京都大学の産官学連携本部イノベーションマネジメントサイエンス研究部門の客員准教授などを務めている。各業界との幅広い人脈を通じて、Psychic VR Lab の大企業や中小企業との事業連携などを側面支援する。

Psychic VR Lab では前身のオズミックコーポレーションの頃から、VR を活用した事業やイベントを複数展開してきたが、今回の資金調達を機に、経営資源を STYLY の開発に集約するそうだ。同社では、アパレルに特化した 3D スキャナや 3D ショップの構築を容易にするショップビルダーの機能を開発しており、近日中には一般ユーザも STYLY を試せるイベントを開催する予定しているとのこと。この分野に興味のある VRエンジニア、サーバーサイドエンジニア、フロントエンドエンジニアも募集中とのことなので、関心のある読者は連絡をとってみるとよいだろう。

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