コンテンツ流通の変革で動画配信業界をディスラプトする「Pulit」、BonAngelsや個人投資家5人から5,000万円を調達

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2016.8.29

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左から:キム・ミンス氏(CTO)、K.W Lee 氏(CEO)、小松尚平氏(取締役)

東京を拠点とし、デジタル画像のコンテンツ流通技術を開発する Pulit は29日、シードラウンドで5,000万円を調達したと発表した。このラウンドに参加した投資家は、韓国のスタートアップ向けファンド BonAngels のほか、戦略アドバイザーおよびエンジェル投資家として、元クックパッドCFO の成松淳氏、フリークアウトやイグニス創業者の佐藤裕介氏、弁護士の松田良成氏、アトランティス元 CTO で現在はウェブサービス開発会社イロドリを経営する加藤寛之氏、クックパッドやランサーズを経て30社ほどのスタートアップの経営に関わる山口豪志氏の5名。今回の調達を受けて Pulit は、同社が特許を持つ「デジタル画像に基づいた超流通システム」をベースとした、コンテンツ流通経路の開拓やサービス開発を本格化させる。

Pulit は2015年、東京工業大学出身で Samsung Electronics で研究開発に従事していた K.W Lee 氏(CEO)、フリーランスでアプリ開発をしていたキム・ミンス氏(CTO)、Slogan でファンド運営や技術アドバイザリー業務に従事していた小松尚平氏(取締役)により設立。2016年、Draper Nexus、Slogan、Coent Venture Partners、Viling Venture Partners らが共同運営するシードアクセラレータプログラム「Supernova」の第一期から輩出された(ただし、デモデイの時点ではステルスであったため公表されていない)。

有料の動画コンテンツの配信には、Hulu、Netflix、Amazon Prime を始めとする動画配信プラットフォームが使われることが一般的だ。動画のコンテンツホルダーや映像製作者は、自らの思惑に従ってマーケティングしたいと考えているものの、事実上、動画配信プラットフォームに依存していることが多い。また、視聴者にコンテンツを届けるパスをプラットフォーマーが掌握しているため、収益構造的にコンテンツホルダーや製作者サイドの利益は薄いものとなる。Pulit が提起しようとしているのはこの構造を打破し、動画コンテンツ配信のイニシアティブを、コンテンツホルダーや製作者側に取り戻そうという、ディスラプティブなビジネスモデルだ。

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Pulit の開発した「超流通」のスキームでは、コンテンツホルダーや製作者が配信したい映像を Pulit のクラウド環境にアップロードすることで、その映像のカバー画像に専用の電子透かし(Robust Image Watermark)が埋め込まれ、ダイレクトアクセスリンク(URL)が発行される。ユーザはこのダイレクトアクセスリンクをクリックすることで、パソコンやスマートデバイス上で OS ネイティブのプレーヤーが起動され映像が視聴できる。DRM制御も機能するので、コンテンツホルダーや製作者が設定した条件に基づき、ローカル環境に動画を保存したり、再閲覧したりすることも可能だ。

したがって、ユーザは、あるテレビドラマや映画を見たいという理由だけで、特定の動画配信プラットフォームに入会する必要が無くなる。コンテンツホルダーや製作者は、特定のプラットフォームで独占配信するような契約条件に縛られることなく、自由な裁量の元でマーケティングや営業展開が可能になる。リンクのシェアだけでコンテンツ視聴を促せるので、Facebook や Twitter のタイムライン広告にそのまま挿入することもできる。実のところ、Pulit ではコンテンツホルダーや製作者が、DSP に映像コンテンツのダイレクトアクセスリンクの URL をセットし、映像コンテンツのコンバージョンを上げるような運用を想定しているようで、今回のラウンドに参加したエンジェル投資家の顔ぶれの中にアドテクに明るい人が多いのには、そういう背景があるようだ。

コンテンツホルダーや製作者は、課金型の有料の動画配信(pay per view)が行えるほか、管理ダッシュボード上のスイッチ一つで、コンテンツ単位でコマーシャルを挿入した無料での配信(民放と同じモデル)に切り替えることもできる。未公開のコンテンツについては、視聴者が予約をしておけば、公開時に LINE で映像再生用のダイレクトアクセスリンクを含んだ、プッシュ通知を受け取ることも可能だ。

Pulit は現在4人のチームで、今回の資金調達を受けて9月から6人体制にまで増員予定。日本のコンテンツの海外需要を考慮に入れ、まずは、マンガの知財管理エージェンシーやアニメー制作会社などから営業展開を行っていく方針だ。

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