羽田空港とオープンイノベーション――ロボットの社会実装の場を目指す「Haneda Robotics Lab」が応募希望者向け説明会を開催

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羽田空港を管理・運営する日本空港ビルデングは30日、ロボットの社会実装に向け、企業やスタートアップが空港内での実証実験に参加できるプロジェクト「Haneda Robotics Lab」の説明会を開催した。羽田空港で行われた説明会には、全国各地の大企業のロボット開発部門、スタートアップ、大学や研究機関など約40の団体の担当者らが出席した。

一般的に、空港のような公共交通施設では、実証実験にあたって国土交通省など規制当局への事前の許諾申請が求められるためハードルが高いが、今回のプロジェクトには経済産業省や国土交通省が協力しており、プロジェクト参加者にとっては、例外的に手順が簡略化または規制が緩和される適用を受けられたり、申請手続を日本空港ビルデングがフォローアップしてくれたりするメリットがある。

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30日に羽田空港で開かれた、Haneda Robitics Lab の応募説明会。40以上の企業や団体の担当者が集まった。

日本空港ビルデングでは、今回のプロジェクトを実施する背景として、1. 旅客需要が伸び、飛行機発着回数ベースで2020年には48.6万回に達すると見通しであること(2014年現在で44.7万回)、2. 旅客のサービスニーズが高まり、Skytrax 評価で5スターを確保しているものの、旅客には現状維持だけでは満足してもらえないこと、3. 生産年齢人口の減少に伴い、いずれは空港で働く職員の数も減っていく可能性があること、を挙げた。

また、このプロジェクトの目指す方向性としては、1. 日本の玄関口である羽田空港からテクノロジーを情報発信できること、2. 空港利用者に対する安全・安心・便利を追求すること、3. 空港従業員がより健康的に働きやすい環境をもたらすこと、と定義。案内・移動支援・清掃の3つのカテゴリに絞って、ロボットの実証実験を受け入れる。日本空港ビルデングでは、応募された案件から何件を採択するかについて定めていないが、「3つのカテゴリに各々2~3案件くらいが現実的なところ」とのことだった。

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Haneda Robotics Lab について説明する、日本空港ビルデング 経営企画本部 事業企画部次長の志水潤一氏

Haneda Robotics Lab 第1期の応募受付は10月13日(木)まで。後日、選考の上採択されたプロジェクトが公表され、実証実験は11月初旬から来年1月末にかけて、羽田空港第2ターミナルのDゲート付近に設置される、特設ブースエリア周辺で展開される予定だ。実験されるロボットの種類にもよるが、空港職員や空港利用者もこれらのロボットに触れたり、操作できたりする可能性がある。プロジェクトに参加が認められた団体にとっては、実証実験に基づいて、PoC では露呈しなかった問題を発見できたり、実運用に近い環境でビッグデータを活用できたりするなどのメリットが享受できる。

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実証実験エリアとなる、羽田空港第2ターミナルのDゲート付近

空港が運用するオープンイノベーションの事例は、ドイツのフランクフルト空港、アムステルダムのスキポール空港などにも見られるが、これらは公共機関のオープンイノベーションに顕著な、オープンデータや API を活用したアイデアを募集するものだ。スキポール空港とパリのシャルル・ド・ゴール空港は、共同で Hack & Fly というハッカソンを実施している。今回の羽田空港のように、空港がロボティクスにフォーカスしたオープンイノベーション機会を提供するのは極めて珍しく、世界的に見ても初の試みと考えられる。

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