インサイドセールスシステムを開発するベルフェイス、インキュベイトファンドらから1.6億円を調達

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インサイドセールスに特化したウェブベースのコミュニケーション・システム「bellFace」を開発するベルフェイスは16日、インキュベイトファンドなどから1億6,000万円を調達したと発表した。調達ラウンドは不明だが、同社にとってエンジェル投資家以外の外部資本からの初めての調達となるため、シード〜シリーズAラウンド前後に相当すると推定される。

ベルフェイスは、同社の代表取締役を務める中島一明氏が2015年4月に設立。中島氏は、福岡で叩き上げの若手経営者として知られ、企業の動画PRサイト「日本の社長.tv」を運営するメディア企業ディーノシステムを創業した人物だ。彼は昨年4月にディーノシステムを退任したが、その後、活動拠点を東京に移し、営業活動支援に特化したクラウドサービスで再び天下奪取を狙う。

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bellFace ごしに営業を受ける例。この画面では、ベルフェイスの中島社長が、bellFace の強みを説明してくれている。(クリックして拡大)

bellFace は一見すると、Skype や Google HangOut のようにアプリやプラグインのインストールを求められない、URL だけでテレカンファレンスが行える Appear.in の日本版に見えなくもない。しかし、インサイドセールスにおいては、セールスパーソンがツールを介してお客に対しての営業行為を行うので、お客がツールを使う際のハードルを可能な限り下げる必要がある。これは、いつも同じ環境下で行われる社内のテレカンなどとは大きな違いだ。

bellFace を使って営業活動を始める際、セールスパーソンはまず営業先のお客に電話をかける。セールスパーソンはベルフェイス上で通信チャネルを確立するための4桁の番号を取得し、その番号をお客に電話ごしに伝え、お客には bellFace のウェブサイトから番号を入力してもらう。この番号の入力により、お客はベルフェイスのプラットフォームごしにセールスマンの表情が見える状態で、商品やサービスのプレゼンテーションを受けられるようになる。セールスパーソン〜お客間の音声のやりとりもベルフェイス上で可能だが、通信が不安定になると音声が途切れ、コミュニケーションにストレスを生じることから、音声はそのまま電話越しにやりとりを続けることが多いそうだ。

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bellFace で対応できる機能

一切のアプリケーションやプラグインを導入せず、ウェブブラウザだけで一連の動作が完結できるようにするのは、技術的にも大きな挑戦だったようだ。Internet Explorer、Chrome、FireFox、Safari といったブラウザの違いだけでなく、OS やバージョンの違い、企業によってはファイヤウォールで一部プロトコルの通信が制限されているので、そのような問題も乗り越えなければならない。bellFace のユーザの中には、これらのウェブブラウザを開発する某テクノロジー大手も含まれ、彼らからもその技術の高さは絶賛されているのだとか。

IT やウェブ業界に特化するようになったのは、この2ヶ月くらい。特に、無料から月額10万円くらいのクラウドサービスを提供している企業には、うまくはまっているようだ。(中島氏)

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類似サービスとの比較と、bellFace の位置付け

B2B 向けの SaaS はそのサービスの性質上、プロモーション活動はオンラインマーケティングに委ねられていて、SaaS 提供業者(スタートアップであることも多い)のセールスパーソンのリソースは必ずしも豊富ではない。一方、SaaS を使う側のユーザ(大手企業であることも多い)は、自分から新しい SaaS の情報を取りに行けるほどの余裕はないので、そこには SaaS 提供業者に提案をしてもらいたいとのニーズが生じる。オンラインやオフラインでそのような双方のギャップを埋めるサービスに Boxil などが存在するが、ベルフェイスの場合は、インサイドセールスのツールを提供することで、そのようなニーズに応えたいと考えている。

ベルフェイスの利用料金は、提供される機能にもよるが、セールスパーソン一人につき1つ発給されるID単位で、1IDあたり月額9,000円から。クラウドサービスとしては安い方ではないが、その利用方法のシンプルさから、お客がお客を呼ぶ形でファンを増やしており、サービスインからの11ヶ月で160社への導入を達成している。

今後は、インサイドセールスそのもののアウトソーシング受託のほか、不動産契約における重要事項説明などセールス以外にも、そのサービス活用の場が広がることが期待される。

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