泊まれなくなったホテルの宿泊権利を売買できる「Cansell」がプレビュー版をローンチ

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旅行や出張で、エクスペディアや Booking.com に代表される OTA(オンライン旅行会社)を使って、ホテルを予約する人は少なくないだろう。選んだパッケージにもよるが、ホテルは宿泊当日まで一定の手数料を支払えばキャンセルに応じてくれる。しかし、このキャンセル料が節約できたり、キャンセル期限を過ぎてしまっていたり、そもそもキャンセルできない宿泊権利を転売できたりしたらどうだろうか?

東京に本拠を置くスタートアップ Cansell は15日、宿泊予約の権利売買ができる同名のサービスをプレビューローンチした。今回のプレビューローンチに先駆け、Cansell では8月29日にティザーサイトをオープンしていたが、それから半月程度かけて事前募集した宿泊権利を足がかりに売買を開始する。

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Cansell では、宿泊予約をしたものの、そのホテルへの宿泊予定が無くなってしまったユーザが宿泊権利を出品、他方、宿泊するホテルを探しているユーザがそれを購入する。出品者は宿泊しないものの宿泊料をホテルにそのまま支払い、不要になった宿泊権利を、元の購入金額より割り引いた金額で Cansell に出品する。出品者にとっては、<ホテルや OTA に支払った宿泊料 − Cansell で転売した金額 − Cansell の手数料> が手元に残り、OTA やホテルにキャンセル料を支払うよりも結果的に割安に、また、購入者にとっては、Cansell 上に出品された宿泊権利を OTA などでホテルを予約するより割安な金額で購入できることになる。この取引の成立をもとに、宿泊権利は購入者から出品者への名義変更がなされ、購入者が泊まれるようになる。

Cansell の売上は、仲介した取引が成立した場合にのみ生じる、出品者からの成果報酬ベースの手数料15%。ただし、10月31日まではサービスローンチのキャンペーンが適用され、手数料は完全無料で利用できる。

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Cansell は、映画専門のクーポン共同購入サービス「ドリパス」でプロダクトマネージャーを務めた山下恭平氏が2016年1月に設立。「ドリパス」の運営会社だったブルームは2013年3月にヤフーによる買収という形でイグジットしたが、山下氏はサービスと共にヤフーにジョイン。Cansell の起業のため2015年12月に退社するまでの2年半あまりをヤフーで過ごした。山下氏を含め、Cansell には3人のメンバーがいるが、全員がヤフー出身だ。

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Cansell のチームメンバーは、全員ヤフー出身

海外のこの分野のスタートアップを見てみると、ニューヨーク拠点の Roomer(仲介手数料15%)やロンドン拠点の CancelOn(仲介手数料10%)などが存在する。偶然にも Roomer も CancelOn も、イスラエル出身のスタートアップだ。Roomer はこれまでに、累積総額で700万ドルを調達している。アメリカでは年間8,100万件の宿泊キャンセルが行われており、Roomer のユーザは、一般的に購入するよりも平均37%割安な費用でホテルに宿泊できている。

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