サイトの「癌」を早期発見して改善するUSERDIVE、運営会社がDraper Nexusなどから4億円を調達

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UNCOVER TRUTH代表取締役の石川敬三氏

ヒートマップでウェブサイトの使い勝手を可視化する「USERDIVE」を提供するUNCOVER TRUTHは9月6日、Draper Nexus Venturesをリードとする第三者割当増資の実施を公表した。同ラウンドに参加したのは日本ベンチャーキャピタル、サイバーエージェント、アコード・ベンチャーズ、みずほキャピタル、ニッセイキャピタルで、調達金額は総額で約4億円。割当比率や払込日などの詳細は非公開。

USERDIVEはオンラインサービスのユーザーインターフェースやユーザー体験の課題を、ヒートマップ状態にして可視化してくれるツール。ウェブ版の「USERDIVE」およびアプリ対応の「USERDIVE for Apps」の2サービスが提供されている。これらのツールを使うと、例えばコマースサイトでユーザーがどこで離脱したかという課題を発見することができる。

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USERDIVEでサイトのクリック箇所を可視化

また、同社ではこのツールを導入する企業へのコンサルティングサービスも提供しており、課題発見からその先のPDCAに関わる伴走サービスも実施。この導入社数は富士フィルムやベネッセコーポレーション、ニフティなど大手を含め300社を超える。

UNCOVER TRUTHでは今回の調達でサービス推進を目的にコンサルティングやディレクター、開発など各人員を強化し、現在30名ほどの人員を倍増させる計画。

サイトの癌を早期発見させる人工知能システムへ

Googleアナリティクスを始めとする解析ツールをサイトの改善に使うのは「当たり前」以前の話になっている。その一方で企業のウェブサイト担当者がこれらのツールを駆使して日々サイト改善を実施するというのはあまり聞かない。ほとんどの場合はウェブ制作会社や広告代理店、一部コンサルティング会社などに依頼するのが通例だろう。

UNCOVER TRUTH代表取締役の石川敬三氏の話では、同社もこの解析ツールを入り口に課題を可視化し、その後のコンサルティングサービス(伴走支援)で事業を成長させてきた。

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伴走型サービス。依頼すればサイト改善を請け負ってくれる。

例えばデジタルマーケティングに力をいれる中古車販売のIDOM(旧ガリバーインターナショナル)の事例では、サイト改善と伴走で月次粗利を1000万円も改善させることに成功しているという。一方で、この伴走にはアナリストやディレクターなどコンサルティングにかかる人員が多く必要であまり「インターネット」的ではない。

石川氏もその非効率は理解している。

「弊社はこれまでも伴走型でログ解析からA/B案の実行など全て実行しています。企業がウェブサイトを改善できないのはスキルがないか、時間がないかのどちらかです。一方でご指摘の通り、人的なコンサルティングはなくなりませんし、そこの自動化が今後のスケールにおいての課題になります」(石川氏)。

そこで彼らが考えたのが課題発見の箇所の効率化だ。石川氏によると通常、1サイト1導線の分析にアナリストが費やす時間は20時間から50時間なのだそうだ。これをもし数秒に短縮することができれば相当な効率化に繋がる。

USERDIVEはこれまでの改善事例からどういうデータが出た場合にどういう課題があるかをある程度把握することができるようになっている。今回の調達資金はこういった事例データを活用し、新たなシステムの開発を進めるのだという。もしこれがうまくワークすれば、申し込み段階でそのサイトの課題を指摘し改善案を提示できるようになるし、提案された方も受け入れやすいだろう。

いわば、サイトの癌を早期発見して指摘してくれる医者のような存在を目指しているのだ。

ちなみに彼らのサービスは月額70万円から利用可能で、主な対象となるのは前述のIDOMにあったような月間で数百万円規模の改善が見込めるような大手サイトになる。

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