クラウド労務「SmartHR」は社労士の仕事を奪う?ーー無料プランと公認アドバイザー制度で拡大を目指す

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企業の労務管理をクラウド化した「SmartHR」を運営するKUFUは9月26日、社労士向けのサービス「SmartHR for Adviser」の提供開始を発表した。

同サービスはSmartHRの一部機能として提供され、社労士は顧問先企業の管理や情報の閲覧、社労士が保有している電子証明書を使用して顧問先の保険や雇用保険などの手続きをSmartHR上から管轄の役所へ電子申請することが可能となる。今後は離職率や助成金の受給要件など、行政が提供する支援策に必要な諸条件をタイムリーに把握できるよう機能拡張を続けるとしている。

また、KUFUでは公認のアドバイザー制度を設け、導入企業にSmartHRを活用することのできる社労士を紹介する取り組みも開始する。

SmartHRの導入社数は9月時点で2000社を突破。2015年11月のリリース以降、順調に導入社数を伸ばし、8月にはWiL等から約5億円の資金調達にも成功している。

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KUFU代表取締役の宮田昇始氏によれば、導入が進むに従って社労士が既に顧問として契約しているケースが増えてきたという。社労士側にしてみれば、仕事を効率化すると同時に小さな仕事であれば奪われてしまう可能性もある。ただ、その点について宮田氏は、社労士側のフィードバックとして、仕事を奪われるよりも煩雑でいちいち管轄役所に出向く必要のあった業務が軽減されるメリットの方が大きかったとヒアリングを説明してくれた。

「例えば『顧問先と従来は紙でやりとりしていた従業員情報の収集・確認などの作業がSmartHRではWeb上で完結するため、手続きにかかる労力を削減でき、余った時間をより良いサービスに振り分けることができ、顧客満足に繋がっています』という様なコメントを頂いたりしています」(宮田氏)。

一方で導入企業にすれば社労士に顧問料として支払っていた金額内で収まっていた作業がSmartHRの導入によって純粋にコスト増となる。宮田氏によればいくつかの料金パターンはあるものの、大体1人あたり500円程度の負担になるよう設計しているということだった。

しかしこれも例えば社労士側が作業負担を軽減できるということで顧問料で吸収(100名規模でも5万円程度)するなど、調整が見られるのだという。また、先日発表された、5名未満の企業に対する無料プランを合わせることで、社労士も負担なく企業に対してSmartHRを紹介することが可能になる。

宮田氏は煩雑な作業を効率化することで、本来社労士が取り組むべきコンサルティングなどの業務に注力できればと、今回の取り組みの狙いについて改めて語った。

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