クルーズが若手・学生特化の起業支援「CROOZ VENTURES」設立、奨学金や「住み込み」場所の提供も

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写真左から:CROOZ VENTURES取締役の諸戸友氏と同取締役の石橋孝太郎氏

ソーシャルゲームやコマース「SHOPLIST」などを提供する総合インターネットサービス企業のクルーズは10月31日、学生や25歳以下の若手社会人を対象とした事業化支援、投資事業会社「CROOZ VENTURES」を11月1日付で設立すると発表した。

代表取締役にはクルーズ代表取締役の小渕宏二氏が就任するほか、取締役として早稲田大学在学中で途上国の教育支援事業「STUDY FOR TWO」を立ち上げた石橋孝太郎氏、クルーズ取締役兼CFOの稲垣佑介氏、執行役員の諸戸友氏が就任する。

CROOZ VENTURESではクルーズ役員陣による事業指導(メンタリング)や起業資金の出資提供だけでなく、奨学金や住居などの現物支給を通じて在学中や資本金に乏しい若手人材の起業支援を実現するとしている。

本件については、都内で先日開催されたイベントにて同社取締役就任予定の諸戸氏が発表のため登壇している。(適時開示事項に当たらないということでリリース前開示となっているそうだ)

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諸戸氏は学生起業の数が2007年の2600人から2012年には700人にまで激減しているということを指摘し、起業するチャンスとフォローアップの体制を作りたいと語った。

「起業機会を提供し、その後の成長支援をしたい。この目的のためにクルーズでは2年前からXYZやBizCampなどの学生向け起業イベントを全国で10回以上開催してきた。この中から出資に至った例も数件出てきている」(諸戸氏)。

学生起業で目覚ましい成長を示した例は過去多数あるが、その一方で学生や若手ならではの壁も存在する。諸戸氏は親身に相談してくれるメンターのネットワークに乏しい点や、学費や生活費などを稼がなくてはならない生活面などの課題を挙げて「これらを全て軽減し、事業に集中できる環境を提供したい」と語る。

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なかなか興味深いのが奨学金制度だ。住む場所についてはシェアハウスとして無償で提供するのだが、生活費については奨学金として無利子の資金を融資してくれる。返却を必要としたのは「さすがにそこまで甘やかす必要はないから」としたのも健全ではないだろうか。

「クルーズは16年間赤字を一度も出していない。(そういう経営を指揮してきた代表の)小渕がこの経験を若い世代に伝え、支えたいという想いから設立に至った。自分も人事周辺を見る立場として若手でそういう気持ちのある方がいれば積極的に繋いでいきたいと思う」(諸戸氏)。

唯一、経営への外部参加となった石橋氏は前述の通り、学生起業家で現在も早稲田に通う「8年生」なのだそうだ。彼はクルーズ経営陣とは違った視点で学生起業家のフォローアップを実施するということだった。

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学生のアイデアや事業ではなく「人とビジョンに投資する」というCROOZ VENTURES。新しいタイプの起業支援策を打ち出し、同社のみならず国内インターネット市場に存在感を示すことができるかどうか。また動きがあればお伝えしたい。

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