IBM BlueHubがオープンイノベーション領域に拡大、33社の大手とスタートアップが自動車、ヘルスケア分野で連携を加速

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2016.10.12

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日本IBM(以下、IBM)は10月12日、国内スタートアップに対して提供しているインキュベーション・プログラム「IBM BlueHub」の活動領域をこれまでのものから拡大させ、大手企業を含めた連携を加速させると発表した。

具体的には領域として自動車業界とヘルスケア業界でそれぞれ事業展開する大手企業と新興企業を連携させるコンソーシアムを形成し、複数企業間(スタートアップも大企業側も複数)で新しいビジネスモデル・アイデアの創出を狙う。IBMはこの団体組織に対して新たなビジネス連携やサービス運営に必要なクラウド開発環境やIBM Watsonなどのテクノロジーを提供する。

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自動車業界向けプログラムは自動運転社会を見据えたビッグデータ解析および人工知能の活用による新サービス創出を狙い、ここにはアルパインやアルプス電気、ゼンリンなど大手6社とスタートアップ8社が参加する。また、ヘルスケア業界向けプログラムにはソフトバンク、大東建託、武田薬品工業の3社とスタートアップ14社、さらに協力団体として埼玉県さいたま市などの行政も参加している。

キックオフミーティングは9月に実施され、今後、約2カ月間のワークショップ期間を経て12月7日にDemoDayとして各プログラム毎に連携したサービス案を発表することになる。

スタートアップと大企業の連携は「オープンイノベーション」というワードが一人歩きするほどにここ数年盛り上がりを見せつつある領域になっており、この分野で先行するKDDI ∞ Laboでは既に10期生を輩出し、大企業側の連携パートナーも30社を超える規模に拡大している。

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その他にも独自にアクセラレーションプログラムなどを展開する企業が相次いでおり、単なる新規事業のアイデアコンペに終わっているような例も聞こえてきている。やや後発とも言えるIBMの取り組みはどのような違いがあるのだろうか。BlueHub事業開発担当の大山健司氏に話を聞いた(太字の質問は全て筆者、回答は大山氏)

大企業とスタートアップの連携はオープンイノベーション活動として各社取り組みを開始していますが、IBMとしての特色、差別化のポイントをひとつ挙げるとしたらどこにあるでしょうか

これまでの大手企業とのビジネスで培った経験をベースとしたコンサルティングが行えることは他社も同様ですが、それに加えて事業のインキュベーションや、企業間のオープンイノベーションをおこなうために必要なソリューションが提供できることです。CAMSSと呼んでいるもので、従来から提供しているCloud, Analytics, Mobile, Social, Securityの他、Watsonを始めとしたCognitive Computingの活用も本格的に可能となりました。

特に、クラウド上の開発プラットフォームであるBluemixは、事業の核となるWebやモバイルベースのアプリケーションを、クイックかつアジャイルに開発することに適しており、このBluemixでWatsonを含む数多くのIBMのソリューションや外部のアプリケーションやデータがAPIを通じて簡単に利用できます。IBM Globalでも、クラウドとWatsonを始めとするCognitiveには力を入れており、これをVehicleとして、BlueHubは企業やスタートアップの事業育成や協業をサポートしていきます。

企業連携のスキームとして自動車、ヘルスケア領域を最初に選定した理由を教えてください

様々なテーマをリストアップした中で、1、機器自体やサービスから得られるデータが、モバイルやインターネットを通じてクラウド上で連携されることでイノベーションが起こる可能性が高い、2、IBMのソリューション(WatsonやIoTプラットフォーム等)の活用余地が大きいということで、自動車とヘルスケアを選定しました。

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IBMとして大企業、スタートアップ双方に提供するメリットについて具体的に教えてください

大手企業側には3つほどあると考えています。まず、外部の知とテクノロジーの活用による新事業の早期構築、次に保有リソースの有効活用。三つめがオープンイノベーションによる取り組みに関する外部への訴求です。

スタートアップ側には大手企業のリソースを活用した事業検討機会の獲得や、プラットフォームやテクノロジーの無償利用、新事業についての、潜在顧客やVC、プレス等への訴求機会、そしてBlueHubのHPやSNS等を通じたプロモーションによる認知度アップがあるのではと考えています。

参加資格、参加方法について教えてください

大手企業側は特定のテーマに対し、外部とのコラボレーションを望む企業で、当プログラムの運営費を企業間で分担して拠出いただくことを了承いただいた企業をIBMを通じて募集しています。またスタートアップ側は自動車とヘルスケアでは、BlueHubと協業しているサムライインキュベートとともに、事業内容等から推薦するスタートアップをリストアップし、ノミネート形式で選定させていただきました。今後、この範囲は拡大する可能性があります。

また、通常、こういったプログラムでは出資要件やできたアイデア・事業について制約がかかる場合がありますが、そのあたりの条件なども教えてください

今回のプログラムを通じて検討された事業アイデアに対し、企業とスタートアップが共同事業として検討を進める場合は両者間で個別に契約を結びます。

IBMはこの取り決めには関与しませんが、新事業のローンチまでの支援を継続しておこなうことの他、当プログラム期間中はBluemixの活用を前提としているのと同様に、新事業におけるテクノロジー活用はIBMのサービスやソリューションを継続して推奨させていただきます。

大企業連携ではKDDI ∞ Laboが先行しています。あちらは連携する企業と一対一、もしくはN対一でメンタリングをしますが、IBMでは複数社の連携をテーマ毎に設定されています。この方法を取った理由と期待している成果について教えてください

このプログラムを手がけるIBMの狙いとして、特定のテーマ毎に革新的な事業を創出するエコシステムを形成することと、IBMのテクノロジーの活用促進によるユーザーネットワークの拡大があります。大手企業とスタートアップのN対Nによる提携も可能としているのは、企業・スタートアップ両者から見て、その方が新事業の領域の幅や可能性が広がるためです。これにより従来の垣根を超えて、企業とスタートアップが新しい事業の創造に向けたコラボレーションの事例を少しでも多く増やすことを狙いとしています。

ありがとうございました

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