テックカンファレンスに向かう時の期待感はミュージックコンサートの直前に味わう高揚感からは程遠い。そのギャップを埋めようと、韓国・ソウルで火曜と水曜(10月11日・12日)に開催された StartupCon 2016でスタートアップのピッチとアートパフォーマンスのコラボレーションが披露された。
キャッチフレーズ「Startup Meets Art」を掲げた同コンサートには、マジックショーを行いながらウェアラブルデバイスを紹介するマジシャンや、ミュージックソリューションスタートアップを歌に乗せて紹介するミュージカル俳優、映画レビュースタートアップを自らのオンラインドラマシリーズを通じて紹介する映画監督など数多くのコラボプログラムが盛り込まれた。
今回は VR オーディオソリューションスタートアップと楽器教育スタートアップがミュージシャンとステージでコラボし、ソリューションをピッチした例を紹介しよう。
GAUDIO X Jambinai(잠비나이)
バーチャルリアリティを体験するには没入型のサウンドエフェクトが一番だ。しかし真に迫ったサウンドを VR で再現するにあたり、VR 画像は360度で提供される一方でステレオサウンドは全方向的ではないという技術面での障壁がある。爆発音が2時の方向から聞こえるようにしたり、モンスターが背後から忍び寄るエフェクトを生成したりするにはどうしたらいいのか。GAUDIO LAB の360度オーディオソリューションを使えば VR ゲームやコンテンツクリエイターはより没入感あふれるインタラクティブなサウンドを実現できる。
GAUDIO の CEO である Hyun-oh Oh 氏は、韓国のポストロックバンド Jambinai(잠비나이)とのコラボレーションを通じてこの VR テクノロジーをステージで披露した。ユーザがヘッドセットを着用し、バンドメンバー4人に囲まれるようにしてその中心に立った。そしてメンバーの1人が楽器を演奏し始め、ユーザが向きを変えると、メロディーの聞こえてくる方向も正面から左、後ろ、そして右と変化していく。
GAUDIO はユーザが VR ヘッドセットを着用すると様々な方向からサウンドが聞こえる頭部伝達関数(Head Related Transfer Function:HRTF)技術を利用している。このバイノーラル技術はオーディオの次世代国際規格である MPEG-H 3D Audio に採用されている。
同社は今年5月、Samsung Electronics と未来創造科学部が主催した VR/AR Challenge 2016で優勝した。2015年5月に設立され、7月には SoftBank Ventures Korea と Capstone Partners から100万米ドルの資金を調達している。つい先月は前回も投資した SoftBank Ventures Korea と Capstone Partners の他、新たに KIP と LB Investment から500万米ドルを調達した。
Jameasy X Second Moon
子どもは楽器を習おうとしてもすぐにあきらめる。そんな人たちのために Jameasy は楽器を習う気を起こさせるためゲーミフィケーションを通じて楽器の演奏を簡単に習うことができるアプリを開発した。
韓国のエスニックフュージョンバンド Second Moon が Jameasy のソリューションをステージで試し披露した。Second Moon のバイオリニストがアプリを使用するため Jameasy のセンサーモジュールをバイオリンに取り付ける。すると、演奏している間アプリは楽譜を表示し、メロディとリズムの分析を行った。他にもバイオリンの調律やゲーム、アプリが奏でる他の楽器音とのアンサンブルで即興演奏などができる。また、ユーザとリズムを合わせるためにテンポの調整までしてくれる。
Jameasy はこのテクノロジーを、ウクレレやギター、チェロ、ビオラなど他の弦楽器へも適用できるよう目指すという。Jameasy の CEO である Daeyoung Jeon 氏によると、同ソリューションのベータ版は今月ローンチ予定。
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