スタートアップが新プロダクト・新サービスを披露した、10月に東京で開催されたカンファレンスのまとめ【ゲスト寄稿】

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


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Image credit: Wikimedia

10月は、東京都の外で開催された CEATEC をはじめ、スタートアップがプロダクトやサービスをアピールできる多くのカンファレンスにあふれた。注目を集めるイベントは、CEATEC 以外にもあった。その一つは東京国際フォーラムで開かれた「江戸・TOKYO 技とテクノの融合展」だ。昨年は、大阪大学の石黒浩教授のスタートアップや、東京のスタートアップ Ex Machina によるロボットが会場中央を飾り、横須賀を拠点とする YRP IoT などの参加者を集めた。今年の同イベントには、スタートアップとしては、人工知能アプリケーションを開発する東京の Shannon Lab だけが唯一の参加だったようだ。

confab-oct-2016-psi-dark-traceさらに注目されたのは、10月中旬に東京ビッグサイトで同時開催された危機管理産業展(RISCON 2016)テロ対策特殊装備展(SEECAT 2016)だった。

RISCON には、サイバースペースに特化したその名も「サイバーセキュリティ・ワールド」というコーナーが設けられ、ウイルスワクチンメーカーのカスペルスキーから、アメリカイギリスのスタートアップ Darktrace と協業する PSI まで、さまざまな企業が集まっていた。

今年の SEECAT はフロアを2つ使い、2階ではさまざまな緊急事態に使われるドローンが展示され、1階では不審者監視の技術を持つスタートアップは言うまでもなく、高まるテロ組織によるリスクからのアクセスの制限を行う最新の対策方法が紹介されていた。

今後数年間にわたり、2019年のラグビーワールドカップ(2011年に津波が襲った東北地方の、新しいスタジアムなどでも開かれる全国イベントだが)や2020年のオリンピック/パラリンピックなどが開催される東京では特に、このような技術の需要が増えることになる。

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出展中のチャレンジのチーム

RISCON では、群衆制御、災害対策、公衆衛生問題を扱うセミナーが開かれていた。今年は、大学からスピンオフする形で地震予知のベンチャーを設立した電気通信大学の早川正士教授が登壇していた。地震予知は今回、残念ながらそれが可能であることが科学的に証明された格好だ。日本の気象庁緊急地震速報や天気に関係しない災害を含む自然関連の警報を提供しているが、これらの便利な情報源を活用することで、震災後の影響を迅速に緩和する対策が、サイボウズスタートアップスのようなスタートアップによって展示されていた。

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サイボウズスタートアップスのブース

地震センサーメーカーのチャレンジによる展示もあった。同社が開発する地震警報ネットワーク「EQ ガード III」の最新バージョンが、学校の教師向けのパニックボタンシステム「スクールガード」とあわせて確認することができた。同社の CEO 佐々木和男氏は、これらの商品はすべて、犠牲者を減らすことを目的としたものだと述べた。EQ ガードの最新版は、オリンピックでの利用をにらんで、生存率をこれまでに比べ80%上げられるよう、地震が来る十分前にその恐れを10言語で知らせることができる。チャレンジは、新しい EQ ガードをカリフォルニア工科大学に近い、ロサンゼルス地域にも供給するそうだ。

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著名な地震学者でカリフォルニア工科大学名誉教授の金森博雄氏(右)と、チャレンジ CEO 佐々木和男氏(左)

センサーの活用は、日経 BP が開催した ITPro Expo 2016 でも取り上げられた集中テーマだった。このイベントでもまた、セキュリティとともに人工知能が特に重視されていた。ABEJA からウフルまでさまざまなスタートアップが、深層学習や IoT について語っていた。ソラコムは自社ソリューションを展示する大きなブースを設置し、その他にはバーチャルリアリティ関連のソリューションを展示するスタートアップもいた。今後、このようなプロダクトやサービスに焦点を当てるベンチャーは増えることになるだろう。

ITPro Expo で講演する ABEJA CEO の岡田陽介氏

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