編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。
国内トップクラスのインターン採用サービス『JEEK』を運営するTechouse社の執行役員に就任した露木修斗氏。現在はまだ大学在学中の22歳という若さながら JEEK の責任者に抜擢された露木氏に今回はインタビューしてみました。
大柴:先日Techouseの執行役員に就任したと発表がありましたが、露木さんはまだ大学生なんですよね?卒業できそうですか(笑)。
露木:はい、大丈夫です(笑)。休学してたこともあり、来年の秋に卒業予定です。
大柴:露木さんは現在22歳。Techouseでインターンを始めたのはいつからなんですか?
露木:2013年5月です。まだTechouseが田町のマンションで営業していた頃です。
大柴:結構初期からなんですね。それからずっとTechouseにいらっしゃるんですか?
露木:いや、いろんな会社でインターンしたり、留学したりと。Techouseに復帰したのは今年の9月なんです。
大柴:ついこの前じゃないですか(笑)。まぁその辺は後ほど伺うとして、まずはTechouseでインターンを始めるきっかけから聞いていければと。高校時代から起業やスタートアップに興味があったのですか?
露木:高校時代はずっと音楽をやっていたんです。自分達でイベント企画したりして、結構大人数を集客したり。ただ自分の音楽の才能の限界を感じてたんですね。音楽やエンタメには携わっていきたいなと思ってたのですが、自分が一番輝けるのはマネージャーやプロデューサーのような、影からクリエイターを支えるような仕事なんじゃないかなと思うようになりました。
大柴:なるほど。
露木:そんな時に同級生の友達が「大学に行ったら一緒にインターンをしよう」と言い出したんです。彼はスタートアップなどに興味あって。それで自分としても「いろんな経験をしてみよう」と大学入学後にインターンをすることに決めました。
大柴:なるほど。
露木:「インターン」と検索したらTechouseが上位にあったので面談をすることになったんです。その友達と一緒に行ったんですが、二人とも落ちたんですよ。ていうかそもそもTechouse自体がインターンを募集していなかったんで(笑)。
大柴:(笑)
露木:Techouseはインターン採用してなかったのですが、いくつかの企業を紹介されて、インターンの面接に行きました。ただ結果は全滅。まぁ当時の自分はITにも疎かったですし、経験もスキルも無い。落ちるのもしょうがないなと気持ちを切替えて、留学に向けた勉強を始めました。
大柴:留学に興味があったのですか?
露木:はい。大学にいるうちに留学はしたいなと思ってました。それで留学の勉強をしてたらTechouseの人から連絡があったんです。「ウチでインターンやらないか。もう一度面接をしよう。」と。
大柴:なるほど。
露木:その時は学校にいたんですが、その人は「今すぐ来い」って言うんですよ(笑)。しょうがないので学校のあった多摩から田町に急いで向かいました。
大柴:結構距離ありますね(笑)。
露木:はい(笑)。それで面接をして、磯辺さん(Techouse代表取締役社長)的には「渋い」評価だったようなのですが、合格しましてTechouseでインターンをすることになりました。
大柴:最初はどんな仕事をしたんですか?
露木:大学に行って『JEEK』のビラを配ったりしていました。デスクワークは何もできなくて。ビラ配りや営業同行したりしていましたが、いつも磯辺さんに怒られていました…。けど本当に当時自分は何もできなくて。自分でそれを認識もしていて、すごく悔しかったんです。
大柴:悔しさをバネに、みたいな。
露木:そうですね。それに自分の小中学校の同級生に芸能界やスポーツ界などで活躍する人がいたんです。彼らと比べて「自分もいつかは!」と。そのためには今は悔しくても頑張るしかないと思って。
大柴:なるほど。怒られながらも仕事を頑張って続けていって、何か手応えというか、状況が変わってきたのはいつくらいなのですか?
露木:9月くらいですかね。インターンを始めて4ヶ月くらい経った頃でしょうか。磯辺さんが学生と面談するのに同席してたんです。インターン希望の学生と話して、彼らの能力や適正などを把握して最適な企業を紹介する。学生との面談は『JEEK』にとって重要な業務なのですが、ふと「これは自分に向いてる。自分にもできるんじゃないか?」と思ったんですよ。営業やIT的な業務は苦手ですが、これは自分の力を発揮できそうだと。それで磯辺さんに「自分にこの業務をやらせてください」とお願いしたんです。
大柴:それで任されるようになったと。
露木:はい。自分で言うのも何ですが上手くできたんです。それで磯辺さんにも認めてもらえるようになって、12月には『JEEK』全般を任されるようになりました。
大柴:メイン事業を任されたんですね。すごい。
露木:当時『JEEK』にはある課題があって、それを解決する施策を早速打ちました。その結果それまでの4倍の成果が出るようになったんです。
大柴:へぇ、それは凄い。短期間で結果を出すのは素晴らしいですね。
露木:ようやく磯辺さんにも認めてもらえたなぁと実感してきたし、施策の結果に満足してしまった部分もあり、なんか「一段落」した感じに自分がなってしまったんです。そこでふと最初にやりたかったことを思い返してみたんです。「あぁ、自分は音楽やエンタメ領域をやりたかったんだった」と。それで思い切ってTechouseを辞めてnana musicでインターンすることにしました。
大柴:成果が出てきて、周囲にも認められるようになったタイミングで思い切りましたね。
露木:はい。音楽領域はずっとやりたかったことですし、『nana』を盛り上げるとっておきの企画も持っていたんです。
大柴:ほう。
露木:その企画を提案したら「やろう」ということになったんです。企画は大成功で、サービスの認知も飛躍的に向上したんじゃないかと思ってます。そこでちょっと満足してしまったんですよね、また。
大柴:満足しちゃったのかぁ(笑)。
露木:はい。次にどうしようかなと考えた結果「めちゃくちゃ伸びてる注目のスタートアップに行こう」と思ってGunosyに行くことにしました。Gunosyでは半年ほどインターンをさせてもらいました。新卒採用の企画などを中心にやっていました。
大柴:Gunosyはどうでしたか?
露木:めちゃくちゃ勉強になりました。急成長している会社というのはこういうものなのかを実感することもできましたし、得るものが多かったです。あと、みんなすごく優しいんですよ。みんなが声をかけてくれるし、ご飯などもみんなでよく行きましたし、コミュニケーションが円滑な組織でした。この一体感が成長に繋がってるんだなぁと思いました。
大柴:なるほど。半年のGunosyでのインターンを終えた後は?
露木:留学しました。フィラデルフィアに半年。その前にリクルートでサマーインターンをしたんです。Gunosyにいる時ですね。リクルートのサマーインターンではチームにわかれてビジネスプランを練ってコンテストするってのがあるんですが、それで優勝してしまったんです。
大柴:おぉ凄い。
露木:優勝すると賞品というかご褒美というか、シリコンバレーツアーをさせてくれるんです。フィラデルフィアにいる間にそのツアーがあって参加したんですが、もう凄い衝撃で。フィラデルフィアにいてもしょうがないなと感じてすぐに帰国しました。
大柴:シリコンバレーの何が衝撃的だったんですか?
露木:そこにいる人が圧倒的に優れてるんです。本質的だし、ドラスティックに行動でき、かつウェットな部分もあったりして。コミュニケーション能力も圧倒的だし、尖った能力を尊重する空気など全てが衝撃的すぎました。
大柴:なるほど。それで帰国して。
露木:帰国してエウレカでインターンをしました。エウレカの赤坂さん(エウレカ取締役顧問)にはとてもかわいがってもらい、よくご飯にも連れてってもらいました。その席でシリコンバレーでの衝撃や自分の想いなどを話してみたところ「だったら起業しなよ。すぐに起業しなよ」とアドバイスをもらいました。
大柴:ふむふむ。
露木:赤坂さんからのアドバイスを受けて自分なりに考えてみたんです。人と違っても受け入れられる社会を作りたいなと思ってて、その考えのもとで起業するとなると『JEEK』っぽいサービスを作りそうだなって思ったんです。自分が成長するきっかけをくれたのは『JEEK』であり、今自分が起業して『JEEK』っぽいものを作るのは恩義に反するなぁと。それにもし仮にゼロからサービス作ったとしても『JEEK』規模にするには時間がかかる。ユーザーにいち早く価値を提供していきたいので、それだったら『JEEK』をもう一度やろう、やらせてもらおう、という決断に至りました。
大柴:なるほど。そういう経緯だったんですね。
露木:それで磯辺さんに相談した結果「やってみなよ」となり、復帰することになりました。磯辺さんは主力事業でも思い切って任せてくれる。「任せ力」が凄いなと思います。
大柴:なるほど。
露木:『JEEK』はインターンだけでなく、もっと広い価値を提供できると思っています。これからはそこに注力して『JEEK』を成長させていければと思っています。
大柴:これまでいろんな会社でインターンしたり、界隈の人達とコミュニケーションをとってきたと思いますが、「こういう人みたいになりたいな」という人はいましたか?
露木:そうですね…赤坂さんや古俣さん(ピクスタ代表取締役社長)は人と向き合って話すのが上手いなぁと思いました。自分も学生やスタッフなどとちゃんと向き合って話していきたいなと思います。あと須田さん(弁護士ドットコム監査役など)みたいにスタートアップを手助けしたり、下の世代にアドバイスしたりできるような人間になりたいなと思います。そのためにはまずは自分が結果を出していかないとダメなので、まずは頑張っていきます。
大柴:なるほど。ありがとうございました。これからも頑張ってください!
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