Singapore FinTech Festivalで見つけた、見逃せないフィンテック・スタートアップ6社

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初開催となる Singapore FinTech Festival を主催したのは、シンガポール通貨金融庁(MAS)。このイベントは間違いなく世界最大規模のフィンテックフェスティバルだ。しかもシンガポール最大のテックイベントでもある。1週間の会期中、Singapore Expo から Marina Bay Sands まで、国内の複数箇所で開催された。

イベントのミッションは、シンガポールがこの地域においてフィンテック革命の圧倒的で強力なハブであること、そしてシンガポールとビジネスが同義であることを世に示すことである。

イスラエル、韓国、タイ、日本など世界の市場から集まったフィンテックのスタートアップや金融機関は展示ホールにブースを構え、クールでイノベーティブなフィンテックアプリや IoT 製品でスペースを埋め尽くした。

e27はシンガポールエキスポにて開催されたフィンテックカンファレンスをくまなく見て回ったところ、感性に訴えるすごいフィンテックスタートアップを5社ほど発見した。

Touché

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財布の中がクレジットカードやポイントカードでいっぱいになり困ってしまうのはよくある光景だ。ここ数年、物理的なカードのおかげでキャッシュレス取引の時代になった。そして今は金融アプリが普及する目前の時代、カードは間違いなく廃れていくことが予想される。

Touché は生体測定による販売時点情報管理(POS)ソリューションを企業に提供している。その仕組みはこうだ。

顧客はまずプロフィールを作成し、Touché のデバイスの1つに全てのクレジットカード、ポイントカードを登録する。そしてパスワードの代わりに2本の指の指紋を使って ID 認証する(生体測定器はデバイスの裏側にある)。

認証され次第、Touché の各 POS デバイスはデータベースからその顧客のプロフィールを取得することが可能となる。POS システムは、取引を行うのに使用すべき最適なカードを選ぶこともできる。例えば、ある銀行が発行するクレジットカードが特定の店舗で特別な割引を実施するような場合だ。

Touché デバイスには従来型のカードスワイプ機能も付属しているので、 小売店は2台の POS システムを用意する必要がない。

TravelersBox

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TravelersBox はおそらく国外へ旅行した人なら誰でも必要なソリューションを提供している。要らなくなった外国の通貨を両替してくれるのだ。

全てではないにしてもかなりの程度言えることだが、両替所は硬貨や少額紙幣の両替を受け付けてくれない。だから旅行者の多くは両替できなかった大量の外国通貨を持ち帰り、引き出しや瓶の中に入れてそのうち忘れてしまう。

TravelersBox のキオスク端末では、旅行者が不要となった通貨を PayPal やクレジットカード口座に振り替えられる。さらに、Lazada など厳選された e コマースポータルで使えるクレジットにも交換できる。一部の国では iTunes、Starbucks、さらには Skype のクレジットにも対応している。

現在このキオスク端末は、トルコ、グルジア、フィリピン、イスラエル、イタリア、日本などの空港に設置されている。

まもなくシンガポール、香港、タイ、ロシアにもお目見えするという。

Beacon

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最近、金融包摂という言葉がよく聞かれるようになっている。フィンテックの波は富裕層、貧困層の両方に及ぼうとしている。

では身体に障碍を負っている人についてはどうだろうか?

タイを拠点とする Beacon は、目の不自由な人もサービスを受けることができるようにと考えている。そこで同社は多感覚応用のインタラクションを活用するアプリを設計し、こうした人にも P2P 取引を簡単にできるようにした。

まず、高いコントラストと大きなフォントの採用で、ユーザが簡単に図形や文字を認識できるようにする。次に、昔の電話にあったダイヤルに似た回転式のユニークなキーパッド。これにより間違いの発生を防げるという(通常のコンピュータ式キーパッドに変換できるオプションもある)。

このアプリでは触覚フィードバック機能を使い、入力完了や取引確認の際に通知ができる。それでも機能が不十分な際は全ての入力内容が音声でもユーザに連絡される。

Gleematic

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データ入力は実にありがたくない、退屈な仕事なので、「こんなこと、他の誰かがやればいいのに」などと呻いてしまうことがある。そして時には、問題の発見と解決に何時間もかかるようなヒューマンエラーが発生してしまう。

シンガポールを拠点とするスタートアップ Gleematic は、プロセスを自動化できるロボットの導入でこうした問題に対処したいと考えている。ビジネスアプリケーションで人が行うマウスのクリックやキー入力などはコピーすることが可能なので、大量データを別システムに転送するなど単調な仕事ならロボットに任せられる。Gleematic はその他、レガシー時代のシステムにも対応している。

soCASH

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e27はこの会社を以前も紹介したが、同社の展示を見てもらえるよう、読者に再度紹介するだけの価値があると考えている。

soCASH のミッションは、チェーン店・個人商店問わず、あらゆる店舗を現金支払機に変え、顧客が ATM に行かなくても現金を引き出したり、入金したりできるようにすることだ。

銀行はこのアイデアを気に入るだろう。ATM を設置し、現金を補充するのに時間と労力をかける必要がなくなるからだ。小売店も同様に気に入るだろう。その日にあがる売上金を自動的に自社の銀行口座に預金できるからだ。まさに、ウィンウィンのソリューションといえる。

そして2日前(11月15日)、soCASH は正式にシンガポール政府からのお墨付きを得た。これでサービスが合法であるのはおわかりだろう。

番外でもう1社:Smart Money Exchange ATM

シンガポールを拠点とする Webcrown が開発したソリューションはまだ概念実証の段階だが、 採用されればかなりの潜在性を有している。

その名前が示すように、Smart Money Exchange ATM はまさしく外貨を両替できる ATM で、1日24時間・週7日稼働する。今のところシンガポールでは、ほとんどの両替商が営業時間を午後9時30分までとしている。

両替レートはその時々の市場レートによって決まる。同社スタッフによると、メンバーは外国為替取引に相当の業務経験があるほか、ATM には主要通貨が入金されているという。

【via e27】 @E27co

【原文】

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