博報堂とデザインスタジオのReaktor日本法人が提携、大企業にスタートアップ的手法を適用する「Innovation Generator」をローンチ

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2016.11.1

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左から: 博報堂テクノロジービジネスセンター 野田耕平氏、Reaktor Japan 代表取締役 Aki Saarinen 氏、Reaktor アカウントマネージャー 井上準之介氏

博報堂は1日、ヘルシンキを本拠地とするデザインスタジオ Reaktor の日本法人 Reaktor Japan と業務提携し、大企業に対して、デジタルテクノロジーを用いた企業の新規事業開発や既存事業のデジタル化の統合支援サービス「Innovation Generator(イノベーション・ジェネレーター)」の提供を開始すると発表した。

Reaktor はヘルシンキで2000年に設立されたデジタルプロダクトのデザインスタジオだ。ヘルシンキ本社のほか、ニューヨークや東京の拠点をあわせて400名のエンジニア・デザイナー・プロデューサーらを擁し、代表的な作品には、アメリカのケーブルテレビ大手 HBO のストリーミングサービス、ニューヨークにある NASDAQ のインタラクティブウォール、フィンランドのナショナルフラッグキャリア Finnair の機内エンターテイメントシステムやモバイルアプリなどがある。近年では、スタートアップ・カンファレンス「Slush」を通じてスタートアップ・コミュニティに関与し、Reaktor Ventures というシードステージ向けの投資ファンドも運用している。

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今回の提携の意図について、プロジェクトを担当する博報堂テクノロジービジネスセンターの野田耕平氏に聞いたところ、オープンイノベーションでは実現できない、大企業のデジタルトランスフォーメーションに焦点を当てているようだ。

昨今のオープンイノベーションに対する期待感の高まりから、大企業の新規事業部門などでは社内のイノベーションの活路をスタートアップとの提携に求める傾向が生まれている。これ自体は素晴らしい兆候だ。しかし、そもそも、大企業には大企業の、スタートアップにはスタートアップのビジョンがあるため、双方の思惑を完全に一致させることは難しい。スタートアップが目指すビジネスというのは、極論するなら、大企業が痛手を被る可能性があるほどディスラプティブ(破壊的)であるか、大企業が商機を見出せないほどニッチな領域であることが多いからだ。

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「Innovation Generator」において、各プロセスで博報堂と Reaktor が提供可能なサービス内容

Innovation Generator では、イノベーションやデジタルトランスフォーメーションを求める博報堂のクライアント企業に対して、敢えて受託という形で Reaktor とともに、ラピッドプロトタイピング、アジャイル開発、ユーザバリデーションなどのスタートアップ的なアプローチを提供する。これらの努力を通じて、クライアント企業においては、プロジェクトの成功可能性が高まり、社員は擬似的にスタートアップ的な働き方を体験できることで、スタートアップに対する理解も深まるのではないかと、野田氏はプログラムへの期待を話してくれた。

2年前に東京で営業を開始した Reaktor Japan では、プロジェクト着手から MVP(必要最低限の機能を備えたプロダクト)を出すまでを90日間で完遂する「Innovation in 90 Days」という手法を確立しており、Innovation Generator には、このような手法が積極的に取り入れられると考えられる。博報堂の野田氏によれば、クライアント名は明かせないとのことだったが、すでにある大企業がこのプログラムのもと、ワークショップでのアイディエーション、ユーザインタビュー、モバイルアプリのペーパープロトタイピングなどを始めており、確かな手応えを感じているとのことだった。

すべてのイノベーションの必要性にオープンイノベーションだけで応えることはできないし、オープンイノベーションにおいて、大企業側のニーズが一方的に強い場合は、コラボレーションするはずのスタートアップが下請業者のように扱われてしまう可能性さえある。今回の動きは、大企業がイノベーションを進める上での新たな選択肢として興味深い。

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Slush Asia に参加した、Reaktor Japan のチーム。最左は、Rovio Entertainment の Mighty Eagle こと Peter Vesterbacka 氏。 Image credit: Reaktor Japan

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