【20億人が利用】ソーシャルメディアに人工知能が必要とされる理由とその使われ方

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Image Credit : Social Media apps / jasonahowie on Flickr

編集部注:本稿の寄稿者 Eli Israel氏はソーシャルメディアの人工知能アシスタントサービス「Meshfire」の創業者。

誰もがソーシャルメディアに載る時代になった。この誰もというのは私たちのことだ。Pew Research によると、2015年には全米国人の65%がソーシャルメディアを利用している。これは米国だけで2億人を超える人口で、ペットを持つアメリカ人の数とほぼ同じ数になる。(と、同時にインターネットがなぜ猫の写真でいっぱいであるのか疑問に思ったはずだ)

世界中でソーシャルメディアの利用人数の合計は既に20億人を超えている。これは車を所有している人数の2倍にものぼる。ブランドは、特に一般コンシューマー向けのブランドがあれば、ソーシャルメディアで顧客を無視するこはできなくなっているのだ。

ソーシャルメディアのコンテンツの量はさらに大きくなっている。毎日1分ごとにユーザーは34万7000件以上の更新を Twitter に送信している。Facebook では毎分400万回以上のLikeが投稿されている。もうこの集計だけで十分な状態だと思うが、あらゆる規模のブランドでソーシャルメディアを管理している人であれば、状況はさらに悪化していることが分かっているはずだ。

つまり、ソーシャルメディア上でやや成功した程度のブランドであったとしても、ゆるやかな日でさえ何百ものメンションが必要になるかもしれないのだ。多い日であれば数千から数万の言葉がブランドの元に届いてしまう。

ソーシャルメディアの作業負荷

だから、より多くのソーシャルメディア・チームを雇えばいいのか、と言えばそういう状況ではない。あらゆる業界で、最大のブランドでさえ約60%のブランドが3人以下のチームでソーシャルメディアを管理している。ソーシャルメディア・チームは過労で疲労困憊し、エキサイティングなコンテンツでオンライン戦略を構築したいと思ったとしても、イベントの発生をチェックしたり、炎上監視に力を奪われているのが現状なのだ。

通常、タスクが過剰になると自動化の方法を考えるようになる。しかしこれまでのソーシャルメディアの自動化というのは明らかに混乱した結果を生んでいた。何度も何度も機械が人と話すことを許可しても、機械はどこかで貧乏くじを引いて、結果的にブランドはヘマを犯すことになってしまうのだ。

これがブランドが人工知能に目を向ける理由なのだが、ソーシャルメディアマネージャーが限られた時間を効果的に過ごすことができるように、最も重要なやりとりを見つけて優先順位を付けることをオススメしたい。

人工知能と人間の相対的な強みを、以下の3つの点で比較してみよう。

  • 言語理解には依然として人間が必要:人工知能はまだ自然言語を構成することは難しく、文化やニュアンス、皮肉、またはユーモアを理解することはできない。人間のみそれが可能。
  • ビッグデータは驚くべき結果を生むことができる:その一方で人工知能はツイートを送信するためにどのツールが使われたか、危険なリンクを含んでいるのか、送信者が本当の人なのかなど、人々が簡単に手に入れることのできない情報にアクセスができる。
  • 人工知能のパフォーマンス上の利点:人工知能はすべてを完全に評価できるわけではないかもしれないが、できることは高速であり、人間のチームメンバーから多くの負担を奪うことが可能。

人工知能はソーシャルメディア時代の「スパムフィルタリング」

インテリジェント・エージェントは、応答する相手と無視する相手を判断できる。どの記事が実際の人から来ているのか、どんな人がボットから来たのかを知ることができる。合法的にヘルプを探している送信者と、最新のオンラインコンテストに返信している送信者を見分けてくれる。

そして更に多くのことを可能にする:すなわち、ハイプロファイルのユーザーに対して実行指示を先頭に置くことで、優先順位を付けることが可能になる。このことが幸せ、もしくは不幸なユーザーを見つける手助けとなり、そしてその幸せな人を更に恍惚とさせることができるような開発を可能にさせてくれるのだ。

しかしソーシャルメディアの専門家は疑問に思うだろう。果たして人工知能は自分の仕事をしてくれるのだろうか、と。

答えは「ノー」だ。人工知能はあなたが良いものを見つけるのを手助けすることができるが、あなた代わりに返事することはできない。ツイートを作ったり、人々があなたに言っていることを理解することはできないのだ。人工知能はあなたをより強くすることができるが、ソーシャルメディアの本質的な真実、つまり人間のやりとりを置き換えることはできない。

人工知能をソーシャルメディアで使用する最も良いアナロジーは、電子メールのスパムフィルタリングのように考えることだ。私たちは同じテクニックのいくつかを使用して、電子メールのユーザーが最も重要なメッセージを見つけ、そのジャンクを無視できるようになった。しかしそのスパム対策システムが電子メールを書くことはない。

同じことがソーシャルメディアにも言える。人工知能は最も重要な要素を見つけてはくれるが、人間は実際のエンゲージメントが発生する際には関与せざるを得ないのだ。

人工知能はソーシャルメディアにとって不可欠

スパム対策ツールの類推から学ぶ最後の教訓は、ソーシャルメディアの相互作用を見つけて優先順位を付けるための人工知能が、コミュニティマネージャーやマーケティング担当者、カスタマーサービスチームにとって不可欠なツールとなっていることだ。

ソーシャルメディアネットワークの数は増えるだけでなく、それによって人々が対話する方法も増えることになる。音量が今までよりも小さくなることはなく更に拡大することだろう。

重要なソーシャルメディアの相互作用を最大限に活用するためのコンピュータ支援は、電子メールのスパム保護やアプリケーションのウイルス保護と同様に間もなく必要になるだろう。

私たちは、ソーシャルメディアのために人工知能の時代に入ったばかりであり、更に多くのことがやってくることになるだろう。

【原文】
【via VentureBeat】 @VentureBeat

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