B2Bのイノベーションを追求するVR企業と、HTC Viveのこれまでの取り組み

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加速度的なアップデートとともにバーチャルリアリティ市場は根本的に変化しており、この新技術が私たちの生活をどう変えていくのか、その利用方法も変化している。VR がゲームプレーヤーだけを楽しませていた日は遠く過ぎ去り、B2B アプリケーションが次の大きなトレンドになるだろう。

Goldman Sachs のレポートによれば、テレビゲームは VR ソフトウェア市場のたった3分の1しか占めておらず、小売、ヘルスケア、エンジニアリング、軍事、不動産といったアプリケーションの占める割合は増加している。こういったすべての事柄によって、機が熟していることが示されている。

マーケットリーダーである HTC Vive は、未開の地の開拓者となるべく多大な努力をしている。同社が B2B 分野で行っている最新の事例をいくつか紹介しよう。

パブリッシング

HTC Vive は10月26日、自社技術 Vivepaper を用いた拡張 VR 付きの読書体験を Condé Nast Traveler とのパートナーシップでリリースした。AR が利用できる専用設計の Vivepaper 冊子と VIVE VR システム(または互換性のある VR ビューワ)で、ユーザは印刷コンテンツに対して多彩なやり取りができる。360度写真やビデオ、3D モデル、2D コンテンツ、そして音声が、紙に触れるだけで起動できる。

Vivepaper は特許出願中の技術であり、Vive に組み込まれた前方カメラを活用して、「ビデオパススルー(透過)AR」と呼ばれるタイプの AR を Vive 上で利用できる。従来このカメラは、Chaperone システムを利用中のユーザが壁や障害物にぶつからないように保護する目的だけに用いられていた。

Vivepaper は拡張 VR(Augmented Virtual Reality、A-VR)という AR と VR の融合したモデルを実装しており、実在のモノ、この場合紙の冊子に触れることでリアルさを高めた、より高度なバーチャル体験が可能になる。Vivepaper は VR、MR(Mixed Reality)、そして AR の、一つのデバイス上での融合のはじまりを告げている。

同社によれば、China Daily 21st Century English Newspaper(中国日報・英文21世紀報)Caixin VR(財新 VR)、また Publishing House of Electronics Industry(中国電子工業出版社)といったさらに多くのパブリッシャーが Vivepaper 版のコンテンツをリリースする予定だという。

この技術を用いて、HTC は読者の消費の仕方、パブリッシャーのコンテンツ配信の仕方を変えようとしており、同時に広告主が消費者にリーチする新しい手法も提供しようとしている。

ホスピタリティ

HTC Vive のようなハイエンドの VR デバイスは平均的な消費者にはまだ非常に高価だが、VR アーケードの出現によって消費者は大金をはたかずに VR 体験を試すことができるようになった。アーケードで試してみたい人がいるのであれば、ホテルでやらない手はないだろう。

Vivepaper ローンチの翌日、HTC は多くのホテルブランドのポートフォリオを持つグローバルグループ、IHG とのパートナーシップも発表しており、客室内の VR 体験の提供を開始した。

IHG グループの中で先行して3つのホテルで、宿泊客は10月31日から「Vive ゾーン」または自分の客室で、ゲーム、エンターテイメント、インタラクティブ体験を VR で試すことができるようになっている。このサービスは来年100以上のホテルで利用可能予定であると、HTC Vive の中国支社長 Alvin W. Graylin 氏は述べている。

教育、そして、その先へ

教育は VR 技術が最初に応用された分野の一つであり、VR との整合の良さは嬉しいことに日々高まっている。

この1年で、私たちは教育への VR の応用がどれだけ重要であるか強調してきました。VR が知識取得のための最も自然な手段だからです。(Graylin 氏)

HTC は Udacity といった教育プラットフォームや Lifelique のような視覚学習プラットフォームの企業と提携している。

デザインも VR が広く適用される分野の一つとして期待しており、この分野に向けた製品を近い将来ローンチする予定です。また、HTC は最高の没入型ショッピング体験を提供するため小売業界のパートナーとも協業しています。

私たちが現在行っているのは、VR ハードウェアとコンテンツをめぐるエコシステムの構築であり、業界全体の発展をさらに加速させようとしているのです。(Graylin 氏)

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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