「スマート内覧」「スマート会議室」運営のライナフ、三菱地所、DG、西武しんきんキャピタルらから3.9億円を調達

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スマートロックの「NinjaLock」や、スマートロックを利用した不動産内覧サービス「スマート内覧」や時間貸会議室サービス「スマート会議室」を提供するライナフは4日、シリーズAラウンドで3.9億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、三菱地所、DGインキュベーション、西武しんきんキャピタルに加え、日本政策金融公庫の挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)からも出資を受ける見込み。ライナフにとっては、今年1月の三菱地所からの資金調達(調達額非開示)に続くものとなる。

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ライナフ 代表取締役 滝沢潔氏

ライナフは2014年11月の設立。代表取締役の滝沢潔氏によると、同社はもともとインターネットや IoT を活用した不動産向けのサービスを提供することを目的に設立され、当初、提供したいサービスに合ったハードウェアが世の中に無かったため、NinjaLock を自社開発したとのこと。偶然にも NinjaLock がリリースされた昨年同時期に、Qrio や Akerun といったスマートロックが発表され、肩を並べることになる。ハードウェアや IoT のスタートアップにとって、クラウドサービスと組み合わせてサブスクリプション・ベースのメニューを提供し、一定の利益を上げるまでには苦労が続いているが、ライナフではハードウェアよりもユーザ体験に重きを置くことで、安定的な売上の確保に成功しているようだ。

大手不動産会社がビルの空きスペースの時間貸に利用できる「スマート会議室」は、顧客からの予約・決済・スマートロックの自動付与機能を一元提供するサービスモデル。今年7月に開始したばかりだが、すでに累計導入室数が年内の導入予定室数が100室を突破している。不動産会社の利益を圧迫するレベニューシェアではなく、月額8,000円という固定金額のシステム利用料という形をとることで、導入へのハードルを下げる戦略が功を奏しているのだという。

カギ(スマートロック)だけのサービスだと、なかなかお金を払ってもらいにくい。予約・決済・カギの自動付与が全部備わっていると、(1室あたり月額8,000円という料金設定でも)「安いね」と言われる。(滝沢氏)

smart-nairan-mobile_screenshotスマート内覧についても、大手不動産会社を中心に、販売中のマンション物件などの内覧に利用されている。内覧先の部屋にはタブレットが置いてあり、顧客は物件の周辺情報が得られたり、不動産会社の営業担当者と会話ができたりする。開錠・閉錠時刻を記録していることから、物件毎の顧客の滞在時間を把握することができるので、不動産会社は顧客に受けのいい物件・受けの良くない物件を客観的に把握し、後の商品開発やマーケティング活動につなげることができる。

ライナフでは今回調達した資金を使って、これらのサービスの追加開発やサービス導入時のフォローアップのための人材確保に注力するとのこと。同社が持つ構想の中で、特に興味深いのは、この分野への人工知能技術の応用だ。スマート会議室では、地域や立地毎の利用頻度や傾向が把握できるため、周辺相場と比較した(Uber でいう price surge のような)繁忙時の価格変動機能が実装できるだろう。スマート内覧では、内覧中の顧客がタブレットを通じて質問ができるチャットボット音声対話ボットの開発に着手する模様。不動産会社は営業担当者の接客コストを圧縮することが可能になる。

インタビューの最後、滝沢氏は自社を駐車場時間貸サービスの「タイムズ24」になぞらえた。滝沢氏は、遠隔で駐車管理を行えるフラップ板を作り出したことで、タイムズ24 は全国に爆発的なスピードでサービスを展開できるようになったと説明。ハードウェアはあくまで手段であり、それを活用してどのようなサービスを提供すれば、ストック収益を確保していけるかを徹底的に考えていきたいと抱負を語った。

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スマートロックの「NinjaLock」は国内の家電量販店で販売されているほか、海外での売上も堅調とのこと

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